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第一章
32話
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いつものように僕は読書をしに温室へと向かう。
温室のドアを開ければアストさんが先に来ていた。アストさんはいつもの場所でソファーの上に大きな体を丸めちょこんと座っている。
「おはようハイル」
「アストさん、おはようございます」
アストさんは温かい笑顔で迎えてくれて、僕も自然と笑顔になる。
少し離れた場所にあるソファーへと向かい僕も腰を下ろし本を開く。
しかし、パラパラとページをめくっていき本の続きを読んでいくがまったく頭に入ってこない。
やっぱり…このままじゃダメなんだ。
僕からアストさんに向き合わないと…
そう思いアストさんの方を見れば穏やかな顔をして目を閉じていた。
「あの…アストさん…。起きてますか?」
「ん?どうしたハイル?」
僕が声をかけるとゆっくりと目を開きこちらに視線を向けてくれる。
流暢に話すようになったアストさんは、もうあの時のような怖いだけの獣ではないんだ…。
僕は読んでいた本をパンッ…と閉じ立ち上がると、首を傾げ僕を見つめるアストさんの方へと向かう。無言で近づいて来る僕をアストさんは不思議そうな目で見つめてくる。
「ハイル…?」
「アストさん…お願いです…。そのままじっとしてて欲しいです…」
「うん」
僕から離れようと浮かせた腰を再度ソファーへと戻しアストさんはピシッと座り直す。
僕は、どんどん近づいていきアストさんの目の前で止まる。
ゆらゆらと何かを期待して揺れる尻尾…怖かった牙や爪も今のアストさんにはない。
あの獰猛な獅子とは違う。全然違うんだ…
あるのは僕に好意を向けてくれる笑顔だけ…
怖がっているのは僕だけなんだ。
大丈夫…大丈夫…大丈夫…
アストさんは目の前で黙り込む僕の行動を蜂蜜色の瞳でじっと見つめてくる。
「アストさん…体に触れても…いいですか?」
「あぁ。いいぞ」
僕の言葉に頷いてくれ、深呼吸しながらさらにアストさんへと近づいていき、ふるふると震える手を伸ばし…指先でアストさんの腕をちょん…と触れる。
「触れた…」
少しだけだがアストさんに触れた…!
緊張はしたけれど恐怖心はまったく湧いてこなかった!
僕が喜んでいるとアストさんは僕の方を見つめウズウズと体を揺らしている。
「あの…どうしました?」
「俺もハイルに触りたい」
「え!?あ…ど、どうしよう…」
自分が触ることだけしか考えてなかった…
「じゃあ…握手とか?」
「握手?」
不思議そうな顔をしているので、アストさんの指先を恐る恐る握る。
「これが握手?」
「ちょっと違いますけど…これが今の僕の精一杯です…」
アストさんは震えながら握っている指先を見てニコリと笑顔を見せる。
「じゃあ、俺からアストに握手!」
そう言うとアストさんは優しく僕の指先を握り返してくれる。
「ハイル…大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
僕がそう答えるとアストさんはニカっと笑い、いつもの笑顔を見せてくれた。
温室のドアを開ければアストさんが先に来ていた。アストさんはいつもの場所でソファーの上に大きな体を丸めちょこんと座っている。
「おはようハイル」
「アストさん、おはようございます」
アストさんは温かい笑顔で迎えてくれて、僕も自然と笑顔になる。
少し離れた場所にあるソファーへと向かい僕も腰を下ろし本を開く。
しかし、パラパラとページをめくっていき本の続きを読んでいくがまったく頭に入ってこない。
やっぱり…このままじゃダメなんだ。
僕からアストさんに向き合わないと…
そう思いアストさんの方を見れば穏やかな顔をして目を閉じていた。
「あの…アストさん…。起きてますか?」
「ん?どうしたハイル?」
僕が声をかけるとゆっくりと目を開きこちらに視線を向けてくれる。
流暢に話すようになったアストさんは、もうあの時のような怖いだけの獣ではないんだ…。
僕は読んでいた本をパンッ…と閉じ立ち上がると、首を傾げ僕を見つめるアストさんの方へと向かう。無言で近づいて来る僕をアストさんは不思議そうな目で見つめてくる。
「ハイル…?」
「アストさん…お願いです…。そのままじっとしてて欲しいです…」
「うん」
僕から離れようと浮かせた腰を再度ソファーへと戻しアストさんはピシッと座り直す。
僕は、どんどん近づいていきアストさんの目の前で止まる。
ゆらゆらと何かを期待して揺れる尻尾…怖かった牙や爪も今のアストさんにはない。
あの獰猛な獅子とは違う。全然違うんだ…
あるのは僕に好意を向けてくれる笑顔だけ…
怖がっているのは僕だけなんだ。
大丈夫…大丈夫…大丈夫…
アストさんは目の前で黙り込む僕の行動を蜂蜜色の瞳でじっと見つめてくる。
「アストさん…体に触れても…いいですか?」
「あぁ。いいぞ」
僕の言葉に頷いてくれ、深呼吸しながらさらにアストさんへと近づいていき、ふるふると震える手を伸ばし…指先でアストさんの腕をちょん…と触れる。
「触れた…」
少しだけだがアストさんに触れた…!
緊張はしたけれど恐怖心はまったく湧いてこなかった!
僕が喜んでいるとアストさんは僕の方を見つめウズウズと体を揺らしている。
「あの…どうしました?」
「俺もハイルに触りたい」
「え!?あ…ど、どうしよう…」
自分が触ることだけしか考えてなかった…
「じゃあ…握手とか?」
「握手?」
不思議そうな顔をしているので、アストさんの指先を恐る恐る握る。
「これが握手?」
「ちょっと違いますけど…これが今の僕の精一杯です…」
アストさんは震えながら握っている指先を見てニコリと笑顔を見せる。
「じゃあ、俺からアストに握手!」
そう言うとアストさんは優しく僕の指先を握り返してくれる。
「ハイル…大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
僕がそう答えるとアストさんはニカっと笑い、いつもの笑顔を見せてくれた。
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