人が消えた世界で

第一章

６話〜ガイルSide〜

　　　～ガイルSide～




「森の中に突然屋敷が現れた！？」
「はい……。それが中へと入ろうとしたのですが強固な結界が張られていて私達では入れないのです……。それでご協力いただけないかと…」

そう申し訳なさそうに話をしてくるのは長年森を管理してい者達だった。
二日前に突如現れたという大きな屋敷。
それまでは木々が生い茂る鬱蒼とした森しか無かったそうだ。

あまりにも気味の悪い出来事に対処出来ず領主である私の元へとやってきたようだ。


私達家族がこの土地の領主としてやってきてもうすぐ二年になる。
辺境の地にやってきた私達を温かく迎え入れてくれた領民たっての願いならば私も叶えてあげたい。

「分かりました。私は魔術はからきしなので妻のイザベラにも協力してもらうように伝えておきます」
「あぁ……ありがとうございます！」


私の元を訪ねてきた者達は安心した表情で屋敷を去って行く。
私もすぐに妻のイザベラへ状況を話せば二つ返事で了承してくれる。


「へぇ～突然現れた屋敷かぁ……なんだかワクワクするわね！　それに結界まで張ってるなんて…何かとんでもない物が隠されているんじゃないかしら！　結界解除なんて久々だから腕がなるわぁ～」
「はは。魔術の事となるとイザベラは生き生きするね…」

イザベラは元々は王国に使える宮廷魔導師だった。魔力も強く魔術のセンスも飛び抜けていたイザベラは魔術をこよなく愛していた。
だが、私と結婚し子どもが生まれてからは家族中心の生活を送り宮廷魔導師の仕事も辞めている。

「それで、その屋敷にはいつ行くの？」
「一応、明日の予定にしているよ」
「明日ね！　分かったわ！」

そう言うとイザベラは嬉しそうに明日の準備を始め、私も屋敷の中には何があるのだろうか…と、野次馬感覚で明日の事を考えていた。

明日、私達が百年前に絶滅したと言われる『人』と出会う事になるとは知らずに。