172 / 181
本章
152話:お家に帰ろう! ④
しおりを挟む
「今日も体調に大きな変化は無しと……。よし! カオルくん。お家に帰っても大丈夫そうだよ」
「ほんとですか! やったぁ~」
無事に検査が終わり洗脳後の俺の体調にも変化がない事も確認でき、晴れて俺は帰宅が許される。
といっても、一人で帰る事はできない。
何故なら俺は……クリスの嫁候補として認定されかけているからだ!!泣
ランスさんが言うには、元々クリスは俺を探すように貴族のお偉いさん方にお願いしていたようで、今回の失踪騒動で俺の存在が明るみになったようだ……。
クリスから結婚しようだの、しいては付き合ってくれなんて告白すらされていない俺にとっては寝耳に水の出来事に目を白黒させた。
違うと否定はしてみるものの、クリスが俺を囲い込んでいる状況がすでに嫁候補らしく、何の権力も持たない俺がピーピー喚いたところで状況は変わらないのだ……。
そんなこんなで次期国王候補で第一王子であるクリスの嫁候補となれば、命を狙われる危険が付き纏うものだとランスさんは真剣な表情で話をしてくる。
そんな話を聞かされた俺はガクブルだ……。
家に帰る条件としてランスさんの護衛は絶対必須。もし、ランスさんが護衛できない場合はディランさんかバルドさんが護衛につくことになったのだ……。
というか、嫁って……。
俺はクリスと結婚なんて考えたこともないぞ……。
それに俺はまだ18歳だし……男だし……童貞だって捨ててないのに……。
クリスと結婚したら俺は永遠に童貞……!?
いや待て……。他の人とでも俺は挿れられるばかりで、俺はなんで挿れられないんだ!?
あ~でも俺がイケメン様達に突っ込むなんて……想像できない。
それにやっぱりオッパイに包まれて俺は童貞を卒業したい……。
なんてアホみたいな事を考えながら、懐かしの『スリラン』に向けて馬車は進んでいく。
王家の馬車だと分からないように外装は少しおんぼろ風だが、内装はクッション生地からして質が違う。
揺れも少ない馬車に揺られること半日……。
俺は見慣れた建物の前に立つ。
あぁ……。すでに懐かしい……。
ランスさんに護衛されながら、宿屋の扉を開けば受付にドルンさんの姿が見え、俺を見た瞬間ガタッと勢いよく立ち上がる。
「カオルくんっ! 無事……だったんだね……」
「はい……。すみません……心配かけて……」
「カオルくんが無事ならいいんだよ! 今、エルも部屋にいるから早く顔を見せてあげて」
「はい!」
階段を上がり俺の部屋の扉の前に着くと少し緊張してしまう。手紙で心配しないでくれと書いたが、エルが寂しがっていないか気になっていた。
サリュイ様に洗脳されてた時期もいれると、なかなか長い時間を一人にさせてしまったけど……エルは元気だろうか……。
緊張と不安が入り混じりながら部屋のドアノブに手をかけようとした時、中から扉が開きエルが勢いよく飛び出してくる。
「アルジッッッ!!!」
「うわっ! ビックリした……」
「アルジ……アルジ……アルジィィ………」
エルに背骨が折れてしまいそうな位にぎゅうぎゅうに抱きつかれ息をするのも苦しいが……それだけエルに心配をかけてしまったんだと反省する。
「ごめんな、エル。ずっと一緒だって約束したのに離れて……」
「アルジ……。コレカラハ……ズットイッショ……ズット……ズット……」
「うん……。ずっと一緒にいるよ、エル」
抱きかかえられたまま、ぐりぐりと俺の胸に顔を埋めるエルの頭を撫でてやると、ようやく落ち着いてくれる。
「……アルジ。アレ、ダレ?」
「あれって……あぁ、あの人はランスさんだよ。俺をここまで連れてきてくれた人だ」
エルは俺を抱きかかえたままランスさんに敵意剥き出しの鋭い視線向けている。
エルに大丈夫だと教えてやれば、少しだけ表情は柔らかくなる。
「挨拶が遅くなり申し訳ありません。カオル様の護衛についています。ランスです。どうぞよろしくお願いします」
「エルデス……。アルジノドレイデス」
互いに自己紹介するが、その雰囲気はあまり良くはない。というか、エル。自己紹介で俺の奴隷アピールしなくてもいいんだぞ……。
「ランスさん。エルはその……俺の奴隷というか……家族みたいな関係なんです」
「家族ですか……」
俺の言葉にランスさんは少しだけ渋い顔をする。
エルは俺の『家族』発言に目を輝かせ、嬉しそうに尻尾を振っている。
「オレ、カゾク??」
「あぁ、そうだよ」
「フフ。アルジト……カゾク……」
満面の笑みを見せるエルに少し安心する。
こうして俺は久しぶりに我が家へと帰宅したのだった。
「ほんとですか! やったぁ~」
無事に検査が終わり洗脳後の俺の体調にも変化がない事も確認でき、晴れて俺は帰宅が許される。
といっても、一人で帰る事はできない。
何故なら俺は……クリスの嫁候補として認定されかけているからだ!!泣
ランスさんが言うには、元々クリスは俺を探すように貴族のお偉いさん方にお願いしていたようで、今回の失踪騒動で俺の存在が明るみになったようだ……。
クリスから結婚しようだの、しいては付き合ってくれなんて告白すらされていない俺にとっては寝耳に水の出来事に目を白黒させた。
違うと否定はしてみるものの、クリスが俺を囲い込んでいる状況がすでに嫁候補らしく、何の権力も持たない俺がピーピー喚いたところで状況は変わらないのだ……。
そんなこんなで次期国王候補で第一王子であるクリスの嫁候補となれば、命を狙われる危険が付き纏うものだとランスさんは真剣な表情で話をしてくる。
そんな話を聞かされた俺はガクブルだ……。
家に帰る条件としてランスさんの護衛は絶対必須。もし、ランスさんが護衛できない場合はディランさんかバルドさんが護衛につくことになったのだ……。
というか、嫁って……。
俺はクリスと結婚なんて考えたこともないぞ……。
それに俺はまだ18歳だし……男だし……童貞だって捨ててないのに……。
クリスと結婚したら俺は永遠に童貞……!?
いや待て……。他の人とでも俺は挿れられるばかりで、俺はなんで挿れられないんだ!?
あ~でも俺がイケメン様達に突っ込むなんて……想像できない。
それにやっぱりオッパイに包まれて俺は童貞を卒業したい……。
なんてアホみたいな事を考えながら、懐かしの『スリラン』に向けて馬車は進んでいく。
王家の馬車だと分からないように外装は少しおんぼろ風だが、内装はクッション生地からして質が違う。
揺れも少ない馬車に揺られること半日……。
俺は見慣れた建物の前に立つ。
あぁ……。すでに懐かしい……。
ランスさんに護衛されながら、宿屋の扉を開けば受付にドルンさんの姿が見え、俺を見た瞬間ガタッと勢いよく立ち上がる。
「カオルくんっ! 無事……だったんだね……」
「はい……。すみません……心配かけて……」
「カオルくんが無事ならいいんだよ! 今、エルも部屋にいるから早く顔を見せてあげて」
「はい!」
階段を上がり俺の部屋の扉の前に着くと少し緊張してしまう。手紙で心配しないでくれと書いたが、エルが寂しがっていないか気になっていた。
サリュイ様に洗脳されてた時期もいれると、なかなか長い時間を一人にさせてしまったけど……エルは元気だろうか……。
緊張と不安が入り混じりながら部屋のドアノブに手をかけようとした時、中から扉が開きエルが勢いよく飛び出してくる。
「アルジッッッ!!!」
「うわっ! ビックリした……」
「アルジ……アルジ……アルジィィ………」
エルに背骨が折れてしまいそうな位にぎゅうぎゅうに抱きつかれ息をするのも苦しいが……それだけエルに心配をかけてしまったんだと反省する。
「ごめんな、エル。ずっと一緒だって約束したのに離れて……」
「アルジ……。コレカラハ……ズットイッショ……ズット……ズット……」
「うん……。ずっと一緒にいるよ、エル」
抱きかかえられたまま、ぐりぐりと俺の胸に顔を埋めるエルの頭を撫でてやると、ようやく落ち着いてくれる。
「……アルジ。アレ、ダレ?」
「あれって……あぁ、あの人はランスさんだよ。俺をここまで連れてきてくれた人だ」
エルは俺を抱きかかえたままランスさんに敵意剥き出しの鋭い視線向けている。
エルに大丈夫だと教えてやれば、少しだけ表情は柔らかくなる。
「挨拶が遅くなり申し訳ありません。カオル様の護衛についています。ランスです。どうぞよろしくお願いします」
「エルデス……。アルジノドレイデス」
互いに自己紹介するが、その雰囲気はあまり良くはない。というか、エル。自己紹介で俺の奴隷アピールしなくてもいいんだぞ……。
「ランスさん。エルはその……俺の奴隷というか……家族みたいな関係なんです」
「家族ですか……」
俺の言葉にランスさんは少しだけ渋い顔をする。
エルは俺の『家族』発言に目を輝かせ、嬉しそうに尻尾を振っている。
「オレ、カゾク??」
「あぁ、そうだよ」
「フフ。アルジト……カゾク……」
満面の笑みを見せるエルに少し安心する。
こうして俺は久しぶりに我が家へと帰宅したのだった。
9
お気に入りに追加
3,454
あなたにおすすめの小説


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる