美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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本章

152話:お家に帰ろう! ④

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「今日も体調に大きな変化は無しと……。よし! カオルくん。お家に帰っても大丈夫そうだよ」
「ほんとですか! やったぁ~」

無事に検査が終わり洗脳後の俺の体調にも変化がない事も確認でき、晴れて俺は帰宅が許される。
といっても、一人で帰る事はできない。

何故なら俺は……クリスの嫁候補として認定されかけているからだ!!泣

ランスさんが言うには、元々クリスは俺を探すように貴族のお偉いさん方にお願いしていたようで、今回の失踪騒動で俺の存在が明るみになったようだ……。
クリスから結婚しようだの、しいては付き合ってくれなんて告白すらされていない俺にとっては寝耳に水の出来事に目を白黒させた。

違うと否定はしてみるものの、クリスが俺を囲い込んでいる状況がすでに嫁候補らしく、何の権力も持たない俺がピーピー喚いたところで状況は変わらないのだ……。

そんなこんなで次期国王候補で第一王子であるクリスの嫁候補となれば、命を狙われる危険が付き纏うものだとランスさんは真剣な表情で話をしてくる。
そんな話を聞かされた俺はガクブルだ……。
家に帰る条件としてランスさんの護衛は絶対必須。もし、ランスさんが護衛できない場合はディランさんかバルドさんが護衛につくことになったのだ……。

というか、嫁って……。
俺はクリスと結婚なんて考えたこともないぞ……。
それに俺はまだ18歳だし……男だし……童貞だって捨ててないのに……。
クリスと結婚したら俺は永遠に童貞……!? 
いや待て……。他の人とでも俺は挿れられるばかりで、俺はなんで挿れられないんだ!?
あ~でも俺がイケメン様達に突っ込むなんて……想像できない。
それにやっぱりオッパイに包まれて俺は童貞を卒業したい……。

なんてアホみたいな事を考えながら、懐かしの『スリラン』に向けて馬車は進んでいく。
王家の馬車だと分からないように外装は少しおんぼろ風だが、内装はクッション生地からして質が違う。
揺れも少ない馬車に揺られること半日……。
俺は見慣れた建物の前に立つ。

あぁ……。すでに懐かしい……。

ランスさんに護衛されながら、宿屋の扉を開けば受付にドルンさんの姿が見え、俺を見た瞬間ガタッと勢いよく立ち上がる。

「カオルくんっ! 無事……だったんだね……」
「はい……。すみません……心配かけて……」
「カオルくんが無事ならいいんだよ! 今、エルも部屋にいるから早く顔を見せてあげて」
「はい!」

階段を上がり俺の部屋の扉の前に着くと少し緊張してしまう。手紙で心配しないでくれと書いたが、エルが寂しがっていないか気になっていた。
サリュイ様に洗脳されてた時期もいれると、なかなか長い時間を一人にさせてしまったけど……エルは元気だろうか……。

緊張と不安が入り混じりながら部屋のドアノブに手をかけようとした時、中から扉が開きエルが勢いよく飛び出してくる。

「アルジッッッ!!!」
「うわっ! ビックリした……」
「アルジ……アルジ……アルジィィ………」

エルに背骨が折れてしまいそうな位にぎゅうぎゅうに抱きつかれ息をするのも苦しいが……それだけエルに心配をかけてしまったんだと反省する。

「ごめんな、エル。ずっと一緒だって約束したのに離れて……」
「アルジ……。コレカラハ……ズットイッショ……ズット……ズット……」
「うん……。ずっと一緒にいるよ、エル」

抱きかかえられたまま、ぐりぐりと俺の胸に顔を埋めるエルの頭を撫でてやると、ようやく落ち着いてくれる。

「……アルジ。アレ、ダレ?」
「あれって……あぁ、あの人はランスさんだよ。俺をここまで連れてきてくれた人だ」

エルは俺を抱きかかえたままランスさんに敵意剥き出しの鋭い視線向けている。
エルに大丈夫だと教えてやれば、少しだけ表情は柔らかくなる。

「挨拶が遅くなり申し訳ありません。カオル様の護衛についています。ランスです。どうぞよろしくお願いします」
「エルデス……。アルジノドレイデス」

互いに自己紹介するが、その雰囲気はあまり良くはない。というか、エル。自己紹介で俺の奴隷アピールしなくてもいいんだぞ……。

「ランスさん。エルはその……俺の奴隷というか……家族みたいな関係なんです」
「家族ですか……」

俺の言葉にランスさんは少しだけ渋い顔をする。
エルは俺の『家族』発言に目を輝かせ、嬉しそうに尻尾を振っている。

「オレ、カゾク??」
「あぁ、そうだよ」
「フフ。アルジト……カゾク……」

満面の笑みを見せるエルに少し安心する。
こうして俺は久しぶりに我が家へと帰宅したのだった。
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