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本章
151話:お家に帰ろう! ③
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王宮へ戻り俺が住まわせてもらっていた離れの塔へと戻ればランスさんが泣きそうな顔をして俺の元へと駆け寄ってくる。
「カオル様……よかった……」
「ランスさん……。すみません俺が勝手な行動をとってしまい迷惑をかけて……」
「カオル様は何も悪くありません! 全ては私が悪いのです……。カオル様を一人にするなど……今後は絶対に何が何でもカオル様から離れません!」
「アハハ……。いや、そこまでしなくても……」
「ダメです! もう二度とカオル様を危険な目には合わせません……」
俺の手をがっしりと握りしめるイケメンに、断りを入れる事も出来ずに苦笑いを浮かべているとディランさんがやってくる。
「カオル。体調はどうだ? 洗脳が解けてしばらく経つが……どこか変化はないか?」
「はい。今のところ何も……。前の時も特に変わった事は無かったので大丈夫だと思います」
「そうか……。この後は、宮廷医師の診察と一応グレイスもカオルの体に変化がないか調べにくるが大丈夫か?」
「はい。俺は大丈夫です。あの……家にはいつ帰れそうですか?」
「そうだな……。検査をしてカオルの体調に変化がないか確認してとなると……早くて三日後かな」
三日後……。
思ったよりも早く帰れる事に喜んでいると、普通なら「嫌だ! カオルを帰さない!」と、言ってくるクリスがいない事に気づく。
「あの……ディランさん。クリスは……?」
「あぁ、クリストファーなら父である国王に今回の件を報告しに行ったよ。サリュイからヴェルニ公爵の今までの悪行の裏取りができた件と、現在進行形でヴェルニは国家反逆罪に当たる事をやっているからな……。もしかしたら、クリストファーは当分戻って来れないかもしれないな……」
なんだか色々とど偉い事件に発展してしまっているが……まぁ、俺は何もできないのでそれについてはディランさんやクリストファーに任せておこう。
ディランさんと話をしていると、先程話していた宮廷医師なるおじーちゃんとグレイスさんが一緒にやってくる。
「カオルくん~。今回は大変な事件に巻き込まれたね……。今から診察とか色々するけど体調は大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
心配そうに覗き込んでくるグレイスさんは、俺の返事に安心した表情を見せる。
「あと、一緒に来てるのが宮廷医師のオジーさんだよ」
「どうも。よろしくお願いします、カオル様」
優しい表情で微笑む白髪のおじーちゃんことオジーさんはそう言うと俺の手を取り脈を調べたりする。
グレイスさんは「とりあえず体液採取かなぁ~」と、いつもの感じで俺の唾液を採取したりしながら淡々と検査は進む。
「よし! とりあえず今、必要な検体は採取できたし後は結果次第かな!」
「私の方も今のところカオル様の体は至って健康なようなので明日もまた診察に参ります」
グレイスさんとオジーさんはそう言うと頭を下げて部屋を出て行った。
「カオル様。お疲れ様です。この後は夕食がありますが、その前にお風呂にされますか?」
「あ……そうですね。じゃあ、お風呂に……」
ランスさんは俺の返事に「分かりました」と、頭を軽く下げる風呂の準備をしに出て行く。
夕食ってことは、もう夜になるのか……。
ディランさんもランスさんも夜になればいなくなっちゃうよな……。
窓を見れば陽は落ち始め、辺りは薄暗くなっていた。
今までずっとサリュイ様と片時も離れずにいた俺は、一人になる事に少し寂しさを感じていた。
「あの……ディランさんは、今日はもう帰るんですか?」
「あぁ、その予定だが……。どうかしたか、カオル?」
「えっと……そのぉ……」
寂しいんで一緒にいて下さい!
なんて、18歳にもなって言うのは恥ずかしい……。
けど……今日くらいは甘えていいだろか?
「ディランさんがよければ……今日は一緒にいてほしいな……なんて」
エヘヘと照れながらディランさんにそう伝えればい、ディランさんはタレ目をさらに細めて俺を抱きしめてくれる。
「もちろんだよカオル……。カオルが望む限り一緒にいるよ」
「本当ですか! ありがとうございます、ディランさん!」
ディランさんの言葉が嬉しくて俺も手が回らないけど精一杯ディランさんに抱きつく。
そしてその晩は、目一杯ディランさんに甘えるように過ごし、なんなら添い寝もしてくれて俺は幸せいっぱいな気分で眠りに落ちたのだった。
「カオル様……よかった……」
「ランスさん……。すみません俺が勝手な行動をとってしまい迷惑をかけて……」
「カオル様は何も悪くありません! 全ては私が悪いのです……。カオル様を一人にするなど……今後は絶対に何が何でもカオル様から離れません!」
「アハハ……。いや、そこまでしなくても……」
「ダメです! もう二度とカオル様を危険な目には合わせません……」
俺の手をがっしりと握りしめるイケメンに、断りを入れる事も出来ずに苦笑いを浮かべているとディランさんがやってくる。
「カオル。体調はどうだ? 洗脳が解けてしばらく経つが……どこか変化はないか?」
「はい。今のところ何も……。前の時も特に変わった事は無かったので大丈夫だと思います」
「そうか……。この後は、宮廷医師の診察と一応グレイスもカオルの体に変化がないか調べにくるが大丈夫か?」
「はい。俺は大丈夫です。あの……家にはいつ帰れそうですか?」
「そうだな……。検査をしてカオルの体調に変化がないか確認してとなると……早くて三日後かな」
三日後……。
思ったよりも早く帰れる事に喜んでいると、普通なら「嫌だ! カオルを帰さない!」と、言ってくるクリスがいない事に気づく。
「あの……ディランさん。クリスは……?」
「あぁ、クリストファーなら父である国王に今回の件を報告しに行ったよ。サリュイからヴェルニ公爵の今までの悪行の裏取りができた件と、現在進行形でヴェルニは国家反逆罪に当たる事をやっているからな……。もしかしたら、クリストファーは当分戻って来れないかもしれないな……」
なんだか色々とど偉い事件に発展してしまっているが……まぁ、俺は何もできないのでそれについてはディランさんやクリストファーに任せておこう。
ディランさんと話をしていると、先程話していた宮廷医師なるおじーちゃんとグレイスさんが一緒にやってくる。
「カオルくん~。今回は大変な事件に巻き込まれたね……。今から診察とか色々するけど体調は大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
心配そうに覗き込んでくるグレイスさんは、俺の返事に安心した表情を見せる。
「あと、一緒に来てるのが宮廷医師のオジーさんだよ」
「どうも。よろしくお願いします、カオル様」
優しい表情で微笑む白髪のおじーちゃんことオジーさんはそう言うと俺の手を取り脈を調べたりする。
グレイスさんは「とりあえず体液採取かなぁ~」と、いつもの感じで俺の唾液を採取したりしながら淡々と検査は進む。
「よし! とりあえず今、必要な検体は採取できたし後は結果次第かな!」
「私の方も今のところカオル様の体は至って健康なようなので明日もまた診察に参ります」
グレイスさんとオジーさんはそう言うと頭を下げて部屋を出て行った。
「カオル様。お疲れ様です。この後は夕食がありますが、その前にお風呂にされますか?」
「あ……そうですね。じゃあ、お風呂に……」
ランスさんは俺の返事に「分かりました」と、頭を軽く下げる風呂の準備をしに出て行く。
夕食ってことは、もう夜になるのか……。
ディランさんもランスさんも夜になればいなくなっちゃうよな……。
窓を見れば陽は落ち始め、辺りは薄暗くなっていた。
今までずっとサリュイ様と片時も離れずにいた俺は、一人になる事に少し寂しさを感じていた。
「あの……ディランさんは、今日はもう帰るんですか?」
「あぁ、その予定だが……。どうかしたか、カオル?」
「えっと……そのぉ……」
寂しいんで一緒にいて下さい!
なんて、18歳にもなって言うのは恥ずかしい……。
けど……今日くらいは甘えていいだろか?
「ディランさんがよければ……今日は一緒にいてほしいな……なんて」
エヘヘと照れながらディランさんにそう伝えればい、ディランさんはタレ目をさらに細めて俺を抱きしめてくれる。
「もちろんだよカオル……。カオルが望む限り一緒にいるよ」
「本当ですか! ありがとうございます、ディランさん!」
ディランさんの言葉が嬉しくて俺も手が回らないけど精一杯ディランさんに抱きつく。
そしてその晩は、目一杯ディランさんに甘えるように過ごし、なんなら添い寝もしてくれて俺は幸せいっぱいな気分で眠りに落ちたのだった。
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