美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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143話:一方その頃イケメン達は… ④〜ディランSide〜

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数日かけ王都へと戻りクリストファーとの面会を希望するが、クリストファーは私から逃げるように姿を現さない。
クリストファーの専属騎士でもあるランスに、クリストファーに会えないか声をかけても返事を濁されるばかり……。

流石に痺れを切らした私はランスが止めるのも無視して強行突破しクリストファーの執務室へと乗り込むがそこにはクリストファーの姿は無かった。
ここにいないならば自室かと思い自室に向かうもクリストファーはいない……。

一体クリストファーは何処に……?

私を止めようと後ろからついてくるランスの方に振り返れば、私が何を言いたいのか分かったのか気まずそうに顔を逸らす。

「ランス。クリストファーは何処だ」
「ディラン様……。あの……クリストファー王子は……その……」
「クリストファーが『カオル』という少年を隠しているのは知っている。私はその少年を探しているんだ」
「———っっ!?」

私がカマをかけるようにカオルの名前を出せば、ランスの顔はサッ…と青ざめ騎士らしくない情けない顔を晒し俯く。拳をギュッと握りしめなが小刻みに肩を震わせるランスを見てカオルに何かあったのではないかと不安がぎる……。


「おい……。もしかしてカオルに何かあったのか……?」
「それは……」
「何かあったのかと聞いているんだっ!!」

ランスの胸ぐらを掴み顔を上げさせれば、ランスは下唇を噛み締め悔しそうな表情を見せる。

「………クリストファー王子の元へ案内します。そこでカオル様の件については説明いたします」
「クリストファーのところに案内してくれるんだな?」
「はい……」

その言葉に掴んでいた手を解くとランスは「ついてきて下さい……」と言い私の前を歩いていく。
城を出てランスが向かった先は王妃が懐妊した際に使用する離れの塔……。

まさか……カオルはクリストファーとの子を身篭っている……のか……?
いや……カオルが姿を消してからそんなに時間は経っていない。卵珠を使用しても妊娠したと分かるまでには時間が必要だ。
しかし……クリストファーがこの塔を使用するということはカオルとクリストファーは……そのような関係だという事なのか……?

塔に向かうにつれて胸はざわつき、考えれば考えるほど私にとって最悪の展開が浮かぶ。


こんな事ならば……あの時私のモノにするべきだった……。


後悔が渦巻く中、塔の中へと通され最上階の部屋へと向かう。ランスが部屋の扉をノックすると「……入れ」と、クリストファーの声が聞こえる。

ランスが部屋の扉を開けると、ソファーに座り項垂れているクリストファーの姿だけが目に入る。
ランスを押しのけて部屋へと入りぐるりと辺りを見渡すがカオルの姿は見えない。

「クリストファー……。カオルは何処だ……」

私の声にピクッ…と体を揺らし反応したクリストファーは重々しく顔を上げる。
普段は小綺麗にしているクリストファーなのだが、無精髭が生え髪も整えもせず寝癖がついたまま私を見つめる瞳は虚ろだ……。

「カオルは……いません……。また……私の前から……カオルは消えた………。カオル……カオル……カオル……」
「カオルが消えただと……?」

ブツブツとカオルの名前を呟くクリストファーでは話にならないと思った私は、近くにいるランスへと事情を聞けば……その内容に表情は険しくなる。

「つまりヴェルニ公爵家主催の社交界に参加した後、カオルが姿を消したと?」
「はい……。目撃情報ではカオル様が一人で出て行ったという情報しかなく……。ヴェルニ公爵家も調べさせましたがカオル様に繋がる情報は見つかりませんでした……」
「ヴェルニ公爵か……」

話を聞けば聞くほどにカオルがいなくなった原因がヴェルニ側にあると感じてしまう。ヴェルニと言えばサンクチュアリやギルバートの件もあり悪質な犯罪にも手を染めている……。
それに、第二王子派からしてみれば『カオル』という存在はクリストファーにとって弱点でもある。


「分かった……。ヴェルニ公爵についてはギルドの総力を上げて調査する。クリストファー……クリストファー!」

ブツブツと不気味な雰囲気でカオルの名を呟くクリストファーの胸ぐらを掴み視線を合わせれば光を失った黄金色の瞳は不安気に揺れていた。

「カオルを絶対に見つけだすぞ……。いいな!」

私の言葉にクリストファーは弱々しく頷いた。
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