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本章
132話:白い悪魔 ①
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「これで契約も完了…っと!さぁカオル。お家に帰ろうか」
ご主人様につけられた首輪を触っていると、手を引かれ何処かへ連れていかれる。
扉ではなく本棚を動かすと通路が現れ、少し薄暗いその通路へと入っていく。
「今から帰る家は借り物だから少し小さいけど、本当の僕の家は大きくて立派だからカオルも気にいると思うよ」
「はい…凄く楽しみです」
手を繋ぎながら話しかけてくるご主人様の話をうんうんと頷きながら聞いていく。
しばらく歩くと行き止まりになり上に登る為の梯子がかけられていた。
梯子を登り出た場所は誰かの家の中だった…
「ほら。カオル。ぼーっとしてないで行くよ」
俺が不思議そうに部屋を見渡しているとご主人様に注意される。
急いでご主人様の元へと戻り、また手を繋ぐ。
家の中から真っ暗な外に出ると、一台の馬車が止まっていてそれに乗り込んでいく。
広々とした大きめの馬車だが、ご主人様はピッタリとくっつくように俺の隣に座ってくれる。
「ねぇカオル。僕と手を繋いでて嫌じゃない?」
「嫌じゃないです…」
「ほんと?」
「はい…」
ご主人様は俺がそう答えると嬉しそうな笑顔を見せる。
その笑顔はとても可愛らしかった。
「ご主人様はとても可愛らしいです」
「んっ!?あ…そういえば僕のことをどう見えるか正直に答えろって洗脳したんだっけ…。…可愛いって具体的にどこが可愛いの?」
どこが…俺は少し考えてからご主人様の質問に答える。
「ご主人様は元々凄く可愛いです。でも、笑うと……とっても可愛いです」
「ふふ。何それ…可愛いしか言ってないじゃん。ヴェルニから変わり者の玩具が手に入ったって聞いてたけど…カオルって本当に変わってるね」
ご主人様はそう言うと隣に座る俺の膝に頭を乗せてくる。
「こんな事されても嫌じゃない?」
「嫌じゃないですよ。ご主人様」
「そっか…。ねぇカオル。『サリュイ』って名前で呼んで」
「はい。サリュイ様」
「うん…」
サリュイ様はそのまま俺の膝の上で目を閉じる。
サリュイ様の真っ白な髪がランプに照らされ煌めいて…とても綺麗だなと思いながら俺は優しくその髪を撫でた。
しばらく馬車に揺られ、大きなお屋敷の前で止まる。
「サリュイ様。到着したみたいです」
「ん…分かった」
サリュイ様は目を擦りながら起き上がると俺の頭を撫でてくれる。
撫でてもらえて嬉しかったのでエヘヘと笑うと、サリュイ様も微笑んでくれる。
「カオルは本当に可愛いね。さぁ、家に入ろう」
サリュイ様と手を繋ぎ大きなお屋敷へと入っていくと、数人の使用人が出迎えてくれる。
サリュイ様は使用人に声をかけると、俺を部屋へと連れて行ってくれる。
「ここが僕とカオルの部屋だよ」
「はい」
「お風呂の準備をさせたけど…カオルも一緒に入る?」
「サリュイ様がよろしければ…」
「いいよ。一緒に入ろう!」
なんだか嬉しそうな顔のサリュイ様に手を引かれ浴室に向かう。大きくて立派な浴室に少し驚いていると、サリュイ様から声をかけられる。
「ねぇカオル!脱ぐの手伝ってよ~」
「はい」
着ていたシャツのボタンを外し付けていた蝶ネクタイなどを外していくが、慣れていないせいか思いの外時間がかかってしまう。
「脱がすの下手くそだね」
「すみません…」
「いいよ。ほらカオルも脱いで…」
そういうとサリュイ様が俺の服を脱がしてくれる。
ボタンを外され俺なんかよりも上手に服を脱がされ、上半身の肌が露わになると、サリュイ様は少し怪訝な顔をする。
「むっ!こんなに沢山跡つけられてる!」
跡…?
自分の体へと目線を落とすと、所々赤い跡がついていた。
「…なんかムカつく」
そう言うとサリュイ様は赤い跡の上に唇を当て、チュッと吸い付いてくる。
少しピリッとした痛みに体をビクつかせると、サリュイ様がチラリと俺の方を見てくる。
「痛かった?」
「大丈夫です…少し驚いてしまいました…。すみません」
「この跡を見て何か思い出す?」
サリュイ様にそう言われてじぃ…と跡を見つめると、なんだかボンヤリと人影が…
「人の影が見えます…」
「ん~…少し思い出しちゃうんだね。まぁ、そこまで強い命令してないから仕方ないか。ねぇ…カオルの前の飼い主はどんな人だったの?」
「飼い主…?」
「ご主人様みたいな人だよ」
ご主人様……あ、前にそう呼んでた人が二人いたな…
「太った気持ち悪い人と…もう一人…」
「二人いたの?」
「はい…。もう一人のご主人様は凄く優しくて、強くて、そして…カッコいいんです。ご主人様はタレ目な人で笑うと凄く優し……むぐっ!」
俺がもう一人のご主人様のことを説明していると、サリュイ様が不機嫌な顔をして俺の口を手で覆う。
「もう分かったから!それ以上知らない男の事褒めないで」
「ふぁい…」
「さ、早く下も脱いで。お風呂行くよ」
俺は言われた通り履いていたズボンと下着を脱いで、サリュイ様と一緒に浴室へと向かった。
ご主人様につけられた首輪を触っていると、手を引かれ何処かへ連れていかれる。
扉ではなく本棚を動かすと通路が現れ、少し薄暗いその通路へと入っていく。
「今から帰る家は借り物だから少し小さいけど、本当の僕の家は大きくて立派だからカオルも気にいると思うよ」
「はい…凄く楽しみです」
手を繋ぎながら話しかけてくるご主人様の話をうんうんと頷きながら聞いていく。
しばらく歩くと行き止まりになり上に登る為の梯子がかけられていた。
梯子を登り出た場所は誰かの家の中だった…
「ほら。カオル。ぼーっとしてないで行くよ」
俺が不思議そうに部屋を見渡しているとご主人様に注意される。
急いでご主人様の元へと戻り、また手を繋ぐ。
家の中から真っ暗な外に出ると、一台の馬車が止まっていてそれに乗り込んでいく。
広々とした大きめの馬車だが、ご主人様はピッタリとくっつくように俺の隣に座ってくれる。
「ねぇカオル。僕と手を繋いでて嫌じゃない?」
「嫌じゃないです…」
「ほんと?」
「はい…」
ご主人様は俺がそう答えると嬉しそうな笑顔を見せる。
その笑顔はとても可愛らしかった。
「ご主人様はとても可愛らしいです」
「んっ!?あ…そういえば僕のことをどう見えるか正直に答えろって洗脳したんだっけ…。…可愛いって具体的にどこが可愛いの?」
どこが…俺は少し考えてからご主人様の質問に答える。
「ご主人様は元々凄く可愛いです。でも、笑うと……とっても可愛いです」
「ふふ。何それ…可愛いしか言ってないじゃん。ヴェルニから変わり者の玩具が手に入ったって聞いてたけど…カオルって本当に変わってるね」
ご主人様はそう言うと隣に座る俺の膝に頭を乗せてくる。
「こんな事されても嫌じゃない?」
「嫌じゃないですよ。ご主人様」
「そっか…。ねぇカオル。『サリュイ』って名前で呼んで」
「はい。サリュイ様」
「うん…」
サリュイ様はそのまま俺の膝の上で目を閉じる。
サリュイ様の真っ白な髪がランプに照らされ煌めいて…とても綺麗だなと思いながら俺は優しくその髪を撫でた。
しばらく馬車に揺られ、大きなお屋敷の前で止まる。
「サリュイ様。到着したみたいです」
「ん…分かった」
サリュイ様は目を擦りながら起き上がると俺の頭を撫でてくれる。
撫でてもらえて嬉しかったのでエヘヘと笑うと、サリュイ様も微笑んでくれる。
「カオルは本当に可愛いね。さぁ、家に入ろう」
サリュイ様と手を繋ぎ大きなお屋敷へと入っていくと、数人の使用人が出迎えてくれる。
サリュイ様は使用人に声をかけると、俺を部屋へと連れて行ってくれる。
「ここが僕とカオルの部屋だよ」
「はい」
「お風呂の準備をさせたけど…カオルも一緒に入る?」
「サリュイ様がよろしければ…」
「いいよ。一緒に入ろう!」
なんだか嬉しそうな顔のサリュイ様に手を引かれ浴室に向かう。大きくて立派な浴室に少し驚いていると、サリュイ様から声をかけられる。
「ねぇカオル!脱ぐの手伝ってよ~」
「はい」
着ていたシャツのボタンを外し付けていた蝶ネクタイなどを外していくが、慣れていないせいか思いの外時間がかかってしまう。
「脱がすの下手くそだね」
「すみません…」
「いいよ。ほらカオルも脱いで…」
そういうとサリュイ様が俺の服を脱がしてくれる。
ボタンを外され俺なんかよりも上手に服を脱がされ、上半身の肌が露わになると、サリュイ様は少し怪訝な顔をする。
「むっ!こんなに沢山跡つけられてる!」
跡…?
自分の体へと目線を落とすと、所々赤い跡がついていた。
「…なんかムカつく」
そう言うとサリュイ様は赤い跡の上に唇を当て、チュッと吸い付いてくる。
少しピリッとした痛みに体をビクつかせると、サリュイ様がチラリと俺の方を見てくる。
「痛かった?」
「大丈夫です…少し驚いてしまいました…。すみません」
「この跡を見て何か思い出す?」
サリュイ様にそう言われてじぃ…と跡を見つめると、なんだかボンヤリと人影が…
「人の影が見えます…」
「ん~…少し思い出しちゃうんだね。まぁ、そこまで強い命令してないから仕方ないか。ねぇ…カオルの前の飼い主はどんな人だったの?」
「飼い主…?」
「ご主人様みたいな人だよ」
ご主人様……あ、前にそう呼んでた人が二人いたな…
「太った気持ち悪い人と…もう一人…」
「二人いたの?」
「はい…。もう一人のご主人様は凄く優しくて、強くて、そして…カッコいいんです。ご主人様はタレ目な人で笑うと凄く優し……むぐっ!」
俺がもう一人のご主人様のことを説明していると、サリュイ様が不機嫌な顔をして俺の口を手で覆う。
「もう分かったから!それ以上知らない男の事褒めないで」
「ふぁい…」
「さ、早く下も脱いで。お風呂行くよ」
俺は言われた通り履いていたズボンと下着を脱いで、サリュイ様と一緒に浴室へと向かった。
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