美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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本章

140話:一方その頃イケメン達は… ③〜バルドSide〜

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ディランさんから話を聞きカオルと出会った時のことを一つずつ思い出していく。
カオルは何処に行こうとしていた…?
確か……村を目指していたよな…

「ディランさん……。カオルは最初バリスの森の近くの村を目指していました……。もしかしたらその村にカオルに繋がる手掛かりがあるかもしれません…」
「西側に確か小さな村があったな……。分かった。まずはそこを目指そう」

俺とディランさんの仕事の予定を調整し、バリスの森の近くにある村へ向かう。
目的の村へと向かう道中も何かカオルに繋がる手掛かりはないか村や集落に立ち寄りながら聞き込みをするが収穫はなかった。

数日間かけて村へと到着すると冒険者など滅多に来ない平和な村なのか物珍しい視線を向けられる。
村長の元を訪ねカオルの事を聞くが…村長からはそのような少年を見たことはないと言われた。
他にも村人達へ聞き込みをしていくが、これといった有益な情報はなかった……。

「手掛かりはありませんでしたね…」
「あぁ……。こうなると…次は奴隷商をしらみ潰しにあたっていくか……。気が遠くなりそうな話だな……」

カオルが何処から来たのか……。
カオルが奴隷として売られたのならば、まずはそこから探し売却先を特定するのが一番効率がいいか……。


「あ、あの……」

そんな事を考えていると村にいた一人の青年が体をビクつかせながらこちらへとやってくる。

「ん? どうしたんだ?」

俺が声を掛ければ「ヒッ…」と、小さな叫び声をあげながら青年は恐る恐る口を開いた。

「も、もしかして……バリスの森の禁足地に入った犯人を探しているんですか……?」
「禁足地……?」
「す、す、す、すみませんでした! つい出来心で入っただけなんです! あそこで見たことは誰にも言っていません! どうか…どうかお許しを……」

ぷるぷると体を震わせて青年は土下座するように地べたに這いつくばる。
青年の突然の行為に驚いた俺は慌てて顔をあげるように声をかける。

「お、おいおい……。顔を上げてくれ。俺たちは別に禁足地の事なんて……」
「……いや。ちょっと待てバルド。すまないが顔をあげてもらえるかな。君はどうして私達が禁足地に入った者を探していると思ったんだい?」
「人を探しているんですよね……?禁足地にいた黒髪の『カオル』という少年を…。あの日は何故か森の奥に進めて……つい出来心だったんです! それに俺はあの少年に何もしていません! 途中でやってきた人が少年を森の奥へと連れていったんです!」
「えっ……?」

思わぬ所で『カオル』の名前が飛び出し俺は思わず目を見開き、ディランさんも驚いた顔をして「まさか……」と何か思い当たる事があったのか考え込む。

「あのぉ……」

黙り込む俺達を見て村の青年は恐々と声をかけてくる。

「あぁ…すまない。禁足地の件で話をしにきた訳ではないから気にしなくていい。だが、もう禁足地に足を踏み入れてはいけないよ」
「は、はい! もちろんそのつもりです!」

ディランさんにそう声をかけられると青年は「失礼しました!」と頭を下げて俺達の前から去っていく。


「ディランさん。何か思い当たる事でもあるんですか?」
「あぁ……。バルドはバリスの森に禁足地がある事は知っていたか?」
「いえ……」
「バリスの森の奥には結界に守られた禁足地と言われる場所があるんだ。何故そこが結界で守られ禁足地にされているか、はっきりとした理由を村人達は知らない……」

その理由とカオルに何か関係があるのだろうか……。
ディランさんの話を遮らないように俺は小さく頷く。

「お前だから理由を話すが……あの場所が禁足地として結界による保護が行われたのは、クリストファーがあの森で過ごしていたからだ」
「クリストファー王子が……」
「あぁ。幼い頃に色々とあってな……。成長した今も時折バリスの森に訪れているんだが……まさかクリストファーがカオルを……」
「ん? えっ……? ディランさん……ど、どういう事ですか??」

ディランさんは眉間に皺を寄せ大きなため息をつくと衝撃の事実を俺に告げる。


「カオルをあの森に閉じ込めていたのはクリストファーの可能性が高い」

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