131 / 181
本章
111話:検体採取 ①
しおりを挟む
目を覚ました時には、あんなに精液まみれだった俺の身体はスッキリサッパリ。
意識飛ばした後にクリスが綺麗にしてくれたんだな…。
クリスはすでに部屋にはいなくて、多分朝食の準備か何かをしているんだろう。
この国の王子であるクリスに生活の全てを世話してもらって、さらに下半身のお世話まで…
俺、不敬罪とかで捕まったりしないよな?
そんな事を考えてたら朝から爽やか笑顔を振り撒きながらクリスが朝食を持ってきてくれる。
「カオルおはよう」
「…おはよう」
「今日は食事が終わったらグレイスのいる研究棟へ行くからね」
「うん。分かった」
今日から始まる研究の手伝い。
クリスとグレイスさんの為に…そして自分の為にもここは頑張らないといけないよな!
俺は朝食のパンを頬張りながら自分自身に気合いを入れた。
✳︎
朝食をすませるとクリスに連れられ初めて離れの塔の部屋を出る。
部屋を出る前にクリスから目立たないようにと言われフード付きのローブを着せられる。
いや…王宮でこんなの着てる方が目立たないか?
そう思ったが、今は大人しくクリスの言うことを聞いておく。
フードも被り部屋の扉を抜けると見張りの騎士が二人立っていてクリスが見えると頭を下げていた。
騎士さん達が頭を下げたので俺もフードを脱いでペコっと頭を下げて通りすぎていく。
「カオル。フードは脱いだらダメだよ」
「あ…ごめん。挨拶するのに失礼かなって…」
「騎士達のことは気にしなくていいから。さぁ行くよ」
「うん…」
クリスに再度フードを被せられると手を引かれ研究棟へと向かって行った。
研究棟は歩いて15分程の場所にあり、俺が今住んでいる建物によく似た造りをしていた。
一番奥の部屋へと案内され中に入ると積み重なった書類や本達が出迎えてくれる。
「クリストファー王子にカオルくん、ようこそ私の部屋へ~」
積み上げられた本の後ろから声が聞こえヒョコッと腕が現れる。出てきた手はヒラヒラと宙を舞いグレイスさんに歓迎される。
クリスは慣れた様子で書類や本を避けてグレイスさんの方へと向かって行くが、慣れない俺はぶつからないように歩くのに必死だ。
「久しぶりに来るが…相変わらずだな」
「そりゃ~何十年と研究してたら資料や書類も莫大な量になりますからね~。さぁカオルくん今日からよろしくね」
なんとかグレイスさんのいる場所へと辿り着くなり、さぁさぁと手を引かれて奥の部屋へと連れて行かれる。
何をするのかと思っていると見覚えのあるガラス玉が登場する。
これ、魔力測るやつだろ…。
「とりあえず魔力測定からいこうか!」
「あの…俺、魔力無しです…」
「もしかして測ったことある?でも、魔力無しが突然魔力が現れる事もあるからね!とりあえず測定してみよう!」
グレイスさんにそう言われると、もしかしたらと希望を持ち俺はガラス玉へと手をあてるが…前回と同様にガラス玉に変化は見られなかった。
「んー…魔力はやっぱり無いね」
「ですね…」
「ハルも魔力が無かったからニホン人はそういう性質なんだね…」
グレイスさんはボソボソと何かを呟く。
今、『ニホン』とか言わなかった?
聞き間違いかな…と、思っている間にグレイスさんから「次は身長測定するよ~」と声をかけられる。
その後も慌ただしく身長、体重、握力、声量など…研究に必要なのか?と、思うような検査もしていく。
「あとは、血液や体液のサンプルを取っていくよ~」
「分かりました」
血液に唾液や涙を取り終わるとコップを渡される。
これは…検尿ってことだよな…。
「トイレはあっちね~」
顔見知りの人に検尿を提出するのはなんだか恥ずかしいが…仕方ない。
トイレで用を済ませコップに採取したモノを渡すと、グレイスさんにもう一つコップを渡される。
「え?またオシッコですか?」
「ん~違うよ~。今度は精液ね!」
「えぇぇぇ!?」
思わず大声をあげるとグレイスさんは呑気に「よろしくね~」と、今まで採取した検体を持って何処かへ行ってしまう。
「マジかよ…」
思いも寄らない状況だが…仕方ない。
俺はため息をつきながら再度トイレへと向かった。
意識飛ばした後にクリスが綺麗にしてくれたんだな…。
クリスはすでに部屋にはいなくて、多分朝食の準備か何かをしているんだろう。
この国の王子であるクリスに生活の全てを世話してもらって、さらに下半身のお世話まで…
俺、不敬罪とかで捕まったりしないよな?
そんな事を考えてたら朝から爽やか笑顔を振り撒きながらクリスが朝食を持ってきてくれる。
「カオルおはよう」
「…おはよう」
「今日は食事が終わったらグレイスのいる研究棟へ行くからね」
「うん。分かった」
今日から始まる研究の手伝い。
クリスとグレイスさんの為に…そして自分の為にもここは頑張らないといけないよな!
俺は朝食のパンを頬張りながら自分自身に気合いを入れた。
✳︎
朝食をすませるとクリスに連れられ初めて離れの塔の部屋を出る。
部屋を出る前にクリスから目立たないようにと言われフード付きのローブを着せられる。
いや…王宮でこんなの着てる方が目立たないか?
そう思ったが、今は大人しくクリスの言うことを聞いておく。
フードも被り部屋の扉を抜けると見張りの騎士が二人立っていてクリスが見えると頭を下げていた。
騎士さん達が頭を下げたので俺もフードを脱いでペコっと頭を下げて通りすぎていく。
「カオル。フードは脱いだらダメだよ」
「あ…ごめん。挨拶するのに失礼かなって…」
「騎士達のことは気にしなくていいから。さぁ行くよ」
「うん…」
クリスに再度フードを被せられると手を引かれ研究棟へと向かって行った。
研究棟は歩いて15分程の場所にあり、俺が今住んでいる建物によく似た造りをしていた。
一番奥の部屋へと案内され中に入ると積み重なった書類や本達が出迎えてくれる。
「クリストファー王子にカオルくん、ようこそ私の部屋へ~」
積み上げられた本の後ろから声が聞こえヒョコッと腕が現れる。出てきた手はヒラヒラと宙を舞いグレイスさんに歓迎される。
クリスは慣れた様子で書類や本を避けてグレイスさんの方へと向かって行くが、慣れない俺はぶつからないように歩くのに必死だ。
「久しぶりに来るが…相変わらずだな」
「そりゃ~何十年と研究してたら資料や書類も莫大な量になりますからね~。さぁカオルくん今日からよろしくね」
なんとかグレイスさんのいる場所へと辿り着くなり、さぁさぁと手を引かれて奥の部屋へと連れて行かれる。
何をするのかと思っていると見覚えのあるガラス玉が登場する。
これ、魔力測るやつだろ…。
「とりあえず魔力測定からいこうか!」
「あの…俺、魔力無しです…」
「もしかして測ったことある?でも、魔力無しが突然魔力が現れる事もあるからね!とりあえず測定してみよう!」
グレイスさんにそう言われると、もしかしたらと希望を持ち俺はガラス玉へと手をあてるが…前回と同様にガラス玉に変化は見られなかった。
「んー…魔力はやっぱり無いね」
「ですね…」
「ハルも魔力が無かったからニホン人はそういう性質なんだね…」
グレイスさんはボソボソと何かを呟く。
今、『ニホン』とか言わなかった?
聞き間違いかな…と、思っている間にグレイスさんから「次は身長測定するよ~」と声をかけられる。
その後も慌ただしく身長、体重、握力、声量など…研究に必要なのか?と、思うような検査もしていく。
「あとは、血液や体液のサンプルを取っていくよ~」
「分かりました」
血液に唾液や涙を取り終わるとコップを渡される。
これは…検尿ってことだよな…。
「トイレはあっちね~」
顔見知りの人に検尿を提出するのはなんだか恥ずかしいが…仕方ない。
トイレで用を済ませコップに採取したモノを渡すと、グレイスさんにもう一つコップを渡される。
「え?またオシッコですか?」
「ん~違うよ~。今度は精液ね!」
「えぇぇぇ!?」
思わず大声をあげるとグレイスさんは呑気に「よろしくね~」と、今まで採取した検体を持って何処かへ行ってしまう。
「マジかよ…」
思いも寄らない状況だが…仕方ない。
俺はため息をつきながら再度トイレへと向かった。
36
お気に入りに追加
3,454
あなたにおすすめの小説


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる