美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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本章

111話:検体採取 ①

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目を覚ました時には、あんなに精液まみれだった俺の身体はスッキリサッパリ。
意識飛ばした後にクリスが綺麗にしてくれたんだな…。

クリスはすでに部屋にはいなくて、多分朝食の準備か何かをしているんだろう。
この国の王子であるクリスに生活の全てを世話してもらって、さらに下半身のお世話まで…

俺、不敬罪とかで捕まったりしないよな?
そんな事を考えてたら朝から爽やか笑顔を振り撒きながらクリスが朝食を持ってきてくれる。

「カオルおはよう」
「…おはよう」
「今日は食事が終わったらグレイスのいる研究棟へ行くからね」
「うん。分かった」

今日から始まる研究の手伝い。
クリスとグレイスさんの為に…そして自分の為にもここは頑張らないといけないよな!

俺は朝食のパンを頬張りながら自分自身に気合いを入れた。


✳︎

朝食をすませるとクリスに連れられ初めて離れの塔の部屋を出る。
部屋を出る前にクリスから目立たないようにと言われフード付きのローブを着せられる。

いや…王宮でこんなの着てる方が目立たないか?

そう思ったが、今は大人しくクリスの言うことを聞いておく。
フードも被り部屋の扉を抜けると見張りの騎士が二人立っていてクリスが見えると頭を下げていた。
騎士さん達が頭を下げたので俺もフードを脱いでペコっと頭を下げて通りすぎていく。

「カオル。フードは脱いだらダメだよ」
「あ…ごめん。挨拶するのに失礼かなって…」
「騎士達のことは気にしなくていいから。さぁ行くよ」
「うん…」

クリスに再度フードを被せられると手を引かれ研究棟へと向かって行った。
研究棟は歩いて15分程の場所にあり、俺が今住んでいる建物によく似た造りをしていた。
一番奥の部屋へと案内され中に入ると積み重なった書類や本達が出迎えてくれる。


「クリストファー王子にカオルくん、ようこそ私の部屋へ~」

積み上げられた本の後ろから声が聞こえヒョコッと腕が現れる。出てきた手はヒラヒラと宙を舞いグレイスさんに歓迎される。
クリスは慣れた様子で書類や本を避けてグレイスさんの方へと向かって行くが、慣れない俺はぶつからないように歩くのに必死だ。

「久しぶりに来るが…相変わらずだな」
「そりゃ~何十年と研究してたら資料や書類も莫大な量になりますからね~。さぁカオルくん今日からよろしくね」

なんとかグレイスさんのいる場所へと辿り着くなり、さぁさぁと手を引かれて奥の部屋へと連れて行かれる。

何をするのかと思っていると見覚えのあるガラス玉が登場する。
これ、魔力測るやつだろ…。

「とりあえず魔力測定からいこうか!」
「あの…俺、魔力無しです…」
「もしかして測ったことある?でも、魔力無しが突然魔力が現れる事もあるからね!とりあえず測定してみよう!」

グレイスさんにそう言われると、もしかしたらと希望を持ち俺はガラス玉へと手をあてるが…前回と同様にガラス玉に変化は見られなかった。

「んー…魔力はやっぱり無いね」
「ですね…」
「ハルも魔力が無かったからニホン人はそういう性質なんだね…」

グレイスさんはボソボソと何かを呟く。
今、『ニホン』とか言わなかった?
聞き間違いかな…と、思っている間にグレイスさんから「次は身長測定するよ~」と声をかけられる。

その後も慌ただしく身長、体重、握力、声量など…研究に必要なのか?と、思うような検査もしていく。

「あとは、血液や体液のサンプルを取っていくよ~」
「分かりました」

血液に唾液や涙を取り終わるとコップを渡される。
これは…検尿ってことだよな…。

「トイレはあっちね~」

顔見知りの人に検尿を提出するのはなんだか恥ずかしいが…仕方ない。
トイレで用を済ませコップに採取したモノを渡すと、グレイスさんにもう一つコップを渡される。

「え?またオシッコですか?」
「ん~違うよ~。今度は精液ね!」
「えぇぇぇ!?」

思わず大声をあげるとグレイスさんは呑気に「よろしくね~」と、今まで採取した検体を持って何処かへ行ってしまう。

「マジかよ…」

思いも寄らない状況だが…仕方ない。
俺はため息をつきながら再度トイレへと向かった。
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