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本章

115話:一方その頃イケメン達は… ① 〜リオSide〜

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     ~リオSide~


カオルが失踪してから3日…。
今日もカオルを探すが手掛かりは何もなかった。

自分達だけでは見つける事ができずギルドにもカオルの捜索協力を依頼した。
アルクさんは騎士団で仕事をしているらしく、そちらでも捜索願いを出して対応してくれるようだ。
色々な人に声をかけ、町の中を歩き回ればあっという間に一日が終わる。


日も暮れ今日も食堂に顔を出さないエルに食事を持っていく。
コンコンと部屋のドアを叩くと「ハイ…」と、弱々しい声が聞こえてくる。
中に入れば明かりもつけていない薄暗い部屋で、カオルの服を大事そうに抱え蹲るエルの姿が見える。

「エル。飯持ってきたぞ」
「オナカ、ヘッテナイ…」
「食わないとカオルが帰って来た時に心配するぞ」
「…………。」

俺が話しかけても目線も合わせず虚な目をして下を向いたまま…。
食事を持って行くたびに「イラナイ」「オナカヘッテナイ」と言い、食事を拒否するエルだがカオルの名前を出せば渋々食事を口にする。

エルはカオルが帰ってくると信じてこの部屋に篭りずっと待っている。

エルがちゃんと飯を食うか見ていると部屋のドアをコンコンと叩く音がして代わりに俺が返事をする。
入ってきたのはドルンさんだった。

「どうしたんですか?」
「いや…実はエルくん宛に手紙がきててね…」
「エルに?」

エルは俯いていた顔を上げ、自分にきた手紙を不思議そうに見る。
ドルンさんから手紙を手渡されスンスンと匂いを嗅ぐと目を見開いて焦るように封筒を開け始める。

「テガミ…アルジノニオイ…」
「えっ!?」

エルの言葉に俺とドルンさんは驚いた顔をしてエルの方へとかけよる。
手紙を開封すると一枚の便箋が入っていた。

『急にいなくなってごめん。
体調を崩して友達に助けてもらった。
今は元気にしているから安心してくれ!
しばらくそっちには戻れそうにないので、また手紙を書くから!』

手紙を覗き込むとカオルの癖のある丸みを帯びた字で書かれていた。
これを書いたのはカオルだと分かる…。
だけど…なんかカオルらしくない…。

「なんか…カオルっぽくないな…」
「ウン…」

エルも俺と同じように感じたようで手紙を怪しむように見て、またスンスンと匂いを嗅ぐ。

「ニオイ…モウヒトツ…。シッテル…」
「ん?」

エルはそう言うと、がさごそと部屋の荷物を漁る。

「コレ、オナジニオイ」

持ってきたのは大きめの茶色い皮のカバン。
俺はカオルがこのカバンを使っていたところを見たことはないけど…。

「このカバン…カオルくんがこの宿に来たときに持ってたカバンだね。カオルくんの年代にしては大人が好むカバンを使っているなと思って印象に残ってたんだ」

ドルンさんはカバンを見ながらそう呟く。
このカバンがカオルに繋がる手掛かり…。

「一緒に宿に来たのはアルクさんだったから、アルクさんなら何か知っているかもしれないね…」

俺達がカバンを囲んで話をしていると、またドアをノックする音が聞こえエルの様子を見にきたアルクさんがタイミングよく現れる。

「あ!アルクさんいいところに!カオルとこの町で最初に会ったのってアルクさんですよね?」
「え?あぁ。多分そうだけど…」
「アルクさん…カオルがどこから来たとか聞いたことありますか?」

部屋に来てすぐ俺に質問責めにあいアルクさんは「え?え?」と、何がなんだか分からない顔をしながら俺の質問に答えてくれる。

「ん~どこから…。そういえば、僕に会う前は誰かに世話になっていたって言ってたな…。そして…その人が豹変して…無理矢理孕まされそうになったって…」

「「「ッッ!!?」」」

衝撃的な言葉に三人の視線がアルクさんに集中する。

「仕事をどうするか悩んでて帰る家もなさそうだったから、この部屋を僕が借りて住むように勧めたんだけど……よく考えたら、その人から逃げてきたのかな…」
「アルクさん…実は今日、カオルから手紙がきたんです。その手紙に残ってた匂いがこのカバンの匂いと同じだって…」

俺の言葉にアルクさんは手紙に目を向けた後にカバンへと目線をうつす。

「つまり…カオルくんは逃げ出して来た相手にまた連れ戻された…」
「そうかもしれません…」

孕まされそうになって逃げ出してきたなんて…
俺の知らないカオルの辛い過去の話を聞いて自分のことのように胸がズキズキと痛む。


重要な手掛かりになったカバンを無言のまま見つめているとエルがポツリと呟く。

「アルジ…タスケニイク…」

怒りに満ちた目をギラギラと輝かせてエルが唸る。

「そうだね…。カオルくんを助けよう」
「うん。また情報を集めて…絶対カオルを連れ戻す…」


小さな手掛かりを見つけた俺達はカオルを連れ去った奴から必ずカオルを助け出すと心に決めた。
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