美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

文字の大きさ
上 下
134 / 181
本章

114話:塔の上のカオルくん ①

しおりを挟む
「すんごい暇だな…」


澄み渡る青空をボケーーっと見ながら俺は今日も日課の日向ぼっこを行う。
大きな窓を開けるとバルコニーがあり、今日ものほほんとバルコニーでくつろぎ優雅なひと時を過ごしている。

最初はバルコニーに出ることさえクリスは渋ったが、監禁されてた時に外に出たかったんだよなぁ…と、呟くと許してくれた。


ここに来てからもう10日が経つ。
初めは大変だった研究の手伝いも今は毎日の身体計測だけなので、それ以外は自由時間になっている。

クリスからはとりあえず部屋から出ないようにと言われたが…はっきり言って退屈だ。

最初の頃はクリスと一緒に過ごす時間も多かったのだが、やはり王族というのは忙しいらしく最近は朝と晩を過ごすくらいだ。

暇すぎるので今日も部屋から持ってきた椅子に座りバルコニーから外の庭園を眺める。
手入れの行き届いた庭は色とりどりの花が咲いている。そして、その周囲を甲冑を着た兵士さん達が警備している。

皆仕事頑張ってんのに俺はこんなグータラしてていいのかなぁ~

そんな事を考えていると、ポカポカ陽気に誘われるように眠たくなりうたた寝する。
そんな日々を繰り返しながら過ごしていた。

✳︎

ある日、いつものように外を眺めていると警備をしていた仮面をつけた兵士さんがチラッと俺を見てきたような気がした。

気になってそのままじーっと見ていると、またチラッとこちらを見てくるので、とりあえずペコっと頭を下げる。
俺の行動に驚いたのか兵士さんは体を小さく揺らし、間をおいてペコっと頭を下げて挨拶してくれた。

クリスとグレイスさん以外の人との繋がりがない俺は挨拶しただけなのになんだか嬉しくなって顔がニヤけてしまう。

それから、庭園を警備する兵士さんを見かけると挨拶をして少しずつ仲良くなったと勝手に思い込む。
さらに兵士さんに手を振ってフレンドリー感を強調してみると、兵士さんは周りをキョロキョロと確認して俺に小さく手を振り返してくれた。

それが凄く嬉しくて、俺はまた満面の笑みで兵士さんに向けて大きく手を振った。




俺がバルコニーから顔を出しヘラヘラと毎日兵士さんに向けて手を振る行為は兵士さん達の間で『離れの塔の警備につけば謎の美少年に手を振ってもらえる』と、噂され今では塔の警備は取り合うくらいの人気スポットになった事など知らずに、俺は新たな日課を手に入れ少し楽しみが増えたなぁ~と、呑気に考えていた。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...