上 下
117 / 181
本章

97話:酒は飲んでも飲まれるな! ②

しおりを挟む
2人ともベッドサイドにちょこんと座り、お話をじっくり聞ける状態にする。
シーナさんは深呼吸をすると俺の方を真っ直ぐ見てくる。
その顔は何か覚悟を決めた顔だった。

「嫌な事を思い出させてしまうかもしれないけれど…カオルくんが少し前に被害に合った事件に僕は関わっていたんだ。君が眠らされて奴隷として売られる事を知っていながら僕はその手伝いを断れなかった…。最後は見捨てるようにカオルくん達をあの場所に置いていってしまった…。僕は怖くて…逆らえなくて…。全てが終わった後に助けてくれと誰かに頼る事しか出来なかった卑怯な人間なんだ…。今もカオルくんに謝る事で自分の気持ちを楽にしようとしてる…。最低だよね…」

シーナさんは目に涙を溜めポツリポツリと話しだす。
酔っ払いの俺はその話をうんうんと頷きながら聞いていく。

「シーナさんは…俺達を助けたかったの?」
「うん…。助けたかった…。でも出来なかった…」
「そっかぁ…。多分、俺がシーナさんと同じ立場だったら…俺も怖くて断ることなんて出来なかったと思う。俺だったら助けを求めに行くのも怖くて…逃げ出してたかもしれない…。」
「カオルくん……そんな優しい事…言わないで…」

ヒクッヒクッと涙を堪えながらシーナさんは顔をくしゃくしゃに歪ませる。
そんなシーナさんを慰めるように頭をヨシヨシと撫でてあげる。

そういえば事件後にセシリオさんが、俺達を助けて欲しいって言ってきた講習会の関係者がいたって言っていた。
その人がいなかったら助けるのが遅れて…俺達はもっと酷いことをされてたかもしれないって思った事がある。

シーナさんがその講習会の事件を知らせに来てくれた人ならば、俺にとっては恩人なんじゃね?


「ねぇシーナさん…。手貸して…」
「ぐすっ…ぅん……」

俺はシーナさんの手を借りると俺の胸に当てる。

「俺が今…こんなに元気なのはシーナさんのおかげだね。シーナさんが皆に知らせてくれなかったら俺もっと傷ついてたと思うんだ…」
「カオルくん……」
「シーナさんは俺の恩人だよ…。だから…お礼にエッチさせてーー!!」
「ふぇっ…?」

涙をハラハラと流すシーナさんは凄く凄く綺麗でエロくて酔っ払いの俺はムラムラが止まらない。
よし!カオルいっきまーーす!!

「シーナさん!暗い話はもう終わり!!さぁ気持ちいい事沢山しましょ~!!」

俺は戸惑うシーナさんにガバッと抱きつき胸元に顔を埋める。スーハースーハーと匂いを嗅いでいる俺の姿ははたからみれば変態以外の何者でもない。

やっぱり美人さんはいい匂いだぁ…。
柑橘系の爽やかな香りに包まれてカオルとっても幸せです…♡


「カ、カオルくん…。そんなにくっついたら…僕汗臭いよ?」
「シーナさんはいい匂いですよぉ~。俺この香り大好きです~」

胸元から顔を上げてヘラっと笑いかけると、シーナさんの顔はボンッと赤くなる。

「ふふふ~。シーナさん凄く可愛い…」

俺の言葉や行動一つ一つに顔を赤く染めたり驚いたり…くるくる変わる表情がすっごく可愛くて、俺は一人で大興奮している。

今も『可愛い』なんて言われたから、また顔を赤くしてどうリアクションしていいのか分からずに眉を下げ困った顔をしている。

あぁ…めっちゃ可愛い。
シーナさんとキスしたいなぁ…。
してもいいかなぁ?ダメって言われても強引にやっちゃっていいかなぁ~?


「ねぇシーナさん。キスしていいですかぁ?」
「へ?キス…?僕とカオルくんが?え?そ、そんな事して…いいの…?」
「はい♡キスたくさんしましょ~」

シーナさんは驚いた顔はしてるけど嫌そうな顔はしていないので、まずはホッペからキスをしていく。

シーナさんのホッペはスベスベでフニフニで、ずーっとキスしてられる。
それから可愛い唇をカプっといただく。

唇もホッペに負けじと柔らかくて…最高!
ハムハムと唇を堪能していふとシーナさんは目をつぶり、ふるふると震えながら何かに耐えていた。

「シーナさん…やっぱりキス嫌だった?」
「ち、違うんだカオルくん!僕…キスが初めてで…緊張して…」
「あ…。ファーストキス…。シーナさんごめんなさい…」

やっちまった俺は猛省。
大事なファーストキスを俺が奪ってしまった…。
今度は俺がしょんぼり落ち込んでいるとシーナさんがヨシヨシと撫でてくれる。

「カオルくん…。僕はカオルくんとキスできて嬉しいよ」
「ほんとに?」
「うん。本当だよ」

初めて見せてくれたシーナさんの笑顔に俺は胸キュン。
嬉しくってまたシーナさんに抱きついて、たくさんたくさんキスをした。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

処理中です...