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本章
95話:イケメン騎士団長の日常 ⑨ 〜アルクSide〜
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「これでよし…と」
娼館の講習会事件から数日が経ち、この事件をまとめた資料を手にしクリストファー王子の執務室へと向かう。
「クリストファー王子。失礼します」
今回の定例報告会では講習会事件の報告と来週開催されるパレードの打ち合わせを行う予定だ。
講習会事件に関しての調査は全てが終わった訳ではない。
最低でも5年前から講習会を利用した娼夫の奴隷売買は行われていた。国内だけの売却ならば解決は早いのだが、他国への売却が大半を占めていて売られてしまった娼夫の足取りはこれから探っていくしかなかった。
拘束した奴隷商人の中には他国の者もおり、その奴隷商人が連れていた奴隷達の中には、今回の事件の様に強制的に服従の契約を結ばされた娼夫者達もいた。
奴隷となった者を助けだし保護したが服従の契約によって長年心を閉ざされた者達は皆虚な目をしていて、こちらが指示を出さないと食事すら取らない状態だった。精神面の治療には長い時間が必要だろうと診察した医師達は言っていた。
クリストファー王子は事件の状況説明を聞きながら娼館側が保有していた娼夫の売買資料に目を通していく。
ペラペラとページをめくっていき…最後のページでピタリと動きが止まり顔が険しくなる。
「カオル……。今回被害にあった者達は皆助け出したと言っていたな…」
「はい。皆、服従の契約を結ぶ前に助け出すことができました」
「そうか…それならいいんだ…」
クリストファー王子はその紙に書かれていた『カオル』という文字を愛しそうに撫で資料を閉じる。
「今回の事件に関わった者達を早急に探り出せ。首謀者には過酷な処罰を検討する。他国には私から掛け合おう。引き続き事件に巻き込まれた娼夫達を探しだすように」
「分かりました。では、次は来週の建国パレードの警備配置の件ですが…」
それからパレードの警備の話などをして、今回のクリストファー王子への報告は終わる。
普段ならば報告後はすぐに出ていくのだが…僕は確認しておきたい事があり失礼を承知でクリストファー王子へと声をかける。
「クリストファー王子。以前探されていた少年は見つかりましたか…?」
「あぁ…その件か…。まだ見つかってはいない」
「もうお探しにならないのですか?」
「彼を諦めるつもりは無いからな…。今も探しているところだ」
「そうですか…。早く見つかるよう私も協力します」
「あぁ…頼む」
クリストファー王子は僕と話している間、探している『カオル』を思い浮かべたのか頬を緩ませながら話していた。
クリストファー王子の探している『カオル』はまだ見つかっていない…
なんとなくそんな気はしていたが、確認の為にも知っておきたかった。
『カオルくんをクリストファー王子に会わせてはダメだ』
心の中の僕が警鐘を鳴らしている。
だが、王族と平民が対面する場など限られている。そのような場にカオルくんを連れ出さなければいいだけだ。
来週あるパレードも何千人もの人が街道を埋め尽くし誰が誰だか判断もつかないだろう。
大丈夫…大丈夫だ……。
僕はそんな事を考えながらクリストファー王子に挨拶をして部屋を後にした。
運命のパレードまで後7日……
娼館の講習会事件から数日が経ち、この事件をまとめた資料を手にしクリストファー王子の執務室へと向かう。
「クリストファー王子。失礼します」
今回の定例報告会では講習会事件の報告と来週開催されるパレードの打ち合わせを行う予定だ。
講習会事件に関しての調査は全てが終わった訳ではない。
最低でも5年前から講習会を利用した娼夫の奴隷売買は行われていた。国内だけの売却ならば解決は早いのだが、他国への売却が大半を占めていて売られてしまった娼夫の足取りはこれから探っていくしかなかった。
拘束した奴隷商人の中には他国の者もおり、その奴隷商人が連れていた奴隷達の中には、今回の事件の様に強制的に服従の契約を結ばされた娼夫者達もいた。
奴隷となった者を助けだし保護したが服従の契約によって長年心を閉ざされた者達は皆虚な目をしていて、こちらが指示を出さないと食事すら取らない状態だった。精神面の治療には長い時間が必要だろうと診察した医師達は言っていた。
クリストファー王子は事件の状況説明を聞きながら娼館側が保有していた娼夫の売買資料に目を通していく。
ペラペラとページをめくっていき…最後のページでピタリと動きが止まり顔が険しくなる。
「カオル……。今回被害にあった者達は皆助け出したと言っていたな…」
「はい。皆、服従の契約を結ぶ前に助け出すことができました」
「そうか…それならいいんだ…」
クリストファー王子はその紙に書かれていた『カオル』という文字を愛しそうに撫で資料を閉じる。
「今回の事件に関わった者達を早急に探り出せ。首謀者には過酷な処罰を検討する。他国には私から掛け合おう。引き続き事件に巻き込まれた娼夫達を探しだすように」
「分かりました。では、次は来週の建国パレードの警備配置の件ですが…」
それからパレードの警備の話などをして、今回のクリストファー王子への報告は終わる。
普段ならば報告後はすぐに出ていくのだが…僕は確認しておきたい事があり失礼を承知でクリストファー王子へと声をかける。
「クリストファー王子。以前探されていた少年は見つかりましたか…?」
「あぁ…その件か…。まだ見つかってはいない」
「もうお探しにならないのですか?」
「彼を諦めるつもりは無いからな…。今も探しているところだ」
「そうですか…。早く見つかるよう私も協力します」
「あぁ…頼む」
クリストファー王子は僕と話している間、探している『カオル』を思い浮かべたのか頬を緩ませながら話していた。
クリストファー王子の探している『カオル』はまだ見つかっていない…
なんとなくそんな気はしていたが、確認の為にも知っておきたかった。
『カオルくんをクリストファー王子に会わせてはダメだ』
心の中の僕が警鐘を鳴らしている。
だが、王族と平民が対面する場など限られている。そのような場にカオルくんを連れ出さなければいいだけだ。
来週あるパレードも何千人もの人が街道を埋め尽くし誰が誰だか判断もつかないだろう。
大丈夫…大丈夫だ……。
僕はそんな事を考えながらクリストファー王子に挨拶をして部屋を後にした。
運命のパレードまで後7日……
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