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本章
88.5話:イケメン半獣人の事情 ② 〜エルSide〜
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自分を見上げる少年を見て、今日はどんな風に痛めつけられるのだろうか…と思っていると奴隷商の男は何も言わないエルに声を荒げる。
「ほらエル挨拶しろ!これからお前のご主人様になる方だぞ」
奴隷商の男の言葉の意味がすぐには理解できずに黙っていると、話はどんどん進んでいきようやく自分が目の前の少年に売られた事を理解する。
コノヒトガ…オレヲ…コロシテクレルノ…?
奴隷商の男は自分を廃棄すると言っていたので、そんな自分を買う理由など一つだ。
死んでもいい奴隷。
きっと沢山痛い事をされる。
それでもいい。
もうこんな世界から早く消えてしまいたかった。
エルがそんな事を思っている間に契約を結ぶ準備が進められた。
自分を傷つける客達はエルが抵抗し自分に歯向かわないように服従の契約を結ぶ事がほとんどだった。
しかし目の前にいる少年は違った。
服従の契約を嫌がり主従の契約すらも結びたくない様子だった。
「ごめんな…。主従の契約だけ結ばせてほしい…」
奴隷の自分に『ごめん』と言ってくる少年の言葉の意味が分からず少年と主従の契約を結ぶ。
契約を結ぶ時は体が支配される感覚に包まれ冷たく不快な気持ちになるのだが少年との奴隷契約は少し違う感覚がした。
アッタカイ……?
今まで感じた事のないほわっとした感覚にエルは少し戸惑ってしまう。
契約が終わると少しでも体を綺麗にする為に別室へと連れられる。
「じゃあエル。またあとでな」
少年は自分を見て優しい笑顔で微笑んでくれた。
別室で体を拭かれ着替えをしている間も、エルの頭の中では少年の笑顔がずっと浮かんでいた。
着替えを終えて部屋へ戻ると少年が近づいてきてまた柔らかい笑顔を向けてくれる。
「えーっと…俺の名前はカオル。改めてエルよろしくな」
「…カオル。オレノ……アルジ…」
「うん!そうだよ!」
エルが喋るとカオルは嬉しそうに笑ってくれる。
今までの主人達とは違うカオルにエルは不思議な気持ちになった。
奴隷商人の元を離れエルは久しぶりの外に出る。
暗い地下に長いこといたせいか外の世界はとても眩しく見えた。
カオルの後ろを少し離れて歩いていると人通りの多い道へと出る。あまりの人の多さにエルが戸惑っているとカオルが心配そうに覗き込んでくる。
「エルどうした?」
「ヒト…タクサン…」
「あぁそうだね。人が多い場所を歩くの初めてなのかな…?怖い?」
「…コワクナイ」
主人であるカオルに迷惑をかければ殴られる…。
そう思っているとカオルはまた笑顔を見せてくる。
「じゃあ人も多いし、はぐれないように手を繋いで行こうか!」
そう言って右手を握ってくるカオルにエルはとても驚いた。
今までの主人達が自分に触れてくる時は暴力を振るう時だけだった。
こんな風に優しく触れられた事などない…
エルはカオルが今までの主人達とは違うのだ感じた。
握られた手を握り返すと嬉しそうな顔を見せてくれるカオルにエルは少しずつ好意を寄せていた。
それからカオルと過ごす日々はエルにとって幸せでしかなかった。
毎日自分に向けて見せてくれるキラキラと輝くような大好きなカオルの笑顔。
甘いカオルの香りも、優しい手も…エルが生きていく上でカオルの存在は無くてはならないモノになっていった。
アルジ…スキ…
そしていつしかエルはカオルに特別な感情を抱くようになる。
自分とカオルは奴隷と主人という特殊な関係。
だが、その関係が続く限りエルは永遠にカオルだけのモノになれる。
奴隷の証であり、ずっと自分を縛っていた忌々しい奴隷の首輪は今ではカオルと自分を繋ぐ無くてはならない大切な物になった。
「アルジ…ズット…イッショ…」
エルは首輪を大事そうに撫でながら、これからもずっと…永遠にカオルと幸せな日々が過ごせるように願うのだった。
「ほらエル挨拶しろ!これからお前のご主人様になる方だぞ」
奴隷商の男の言葉の意味がすぐには理解できずに黙っていると、話はどんどん進んでいきようやく自分が目の前の少年に売られた事を理解する。
コノヒトガ…オレヲ…コロシテクレルノ…?
奴隷商の男は自分を廃棄すると言っていたので、そんな自分を買う理由など一つだ。
死んでもいい奴隷。
きっと沢山痛い事をされる。
それでもいい。
もうこんな世界から早く消えてしまいたかった。
エルがそんな事を思っている間に契約を結ぶ準備が進められた。
自分を傷つける客達はエルが抵抗し自分に歯向かわないように服従の契約を結ぶ事がほとんどだった。
しかし目の前にいる少年は違った。
服従の契約を嫌がり主従の契約すらも結びたくない様子だった。
「ごめんな…。主従の契約だけ結ばせてほしい…」
奴隷の自分に『ごめん』と言ってくる少年の言葉の意味が分からず少年と主従の契約を結ぶ。
契約を結ぶ時は体が支配される感覚に包まれ冷たく不快な気持ちになるのだが少年との奴隷契約は少し違う感覚がした。
アッタカイ……?
今まで感じた事のないほわっとした感覚にエルは少し戸惑ってしまう。
契約が終わると少しでも体を綺麗にする為に別室へと連れられる。
「じゃあエル。またあとでな」
少年は自分を見て優しい笑顔で微笑んでくれた。
別室で体を拭かれ着替えをしている間も、エルの頭の中では少年の笑顔がずっと浮かんでいた。
着替えを終えて部屋へ戻ると少年が近づいてきてまた柔らかい笑顔を向けてくれる。
「えーっと…俺の名前はカオル。改めてエルよろしくな」
「…カオル。オレノ……アルジ…」
「うん!そうだよ!」
エルが喋るとカオルは嬉しそうに笑ってくれる。
今までの主人達とは違うカオルにエルは不思議な気持ちになった。
奴隷商人の元を離れエルは久しぶりの外に出る。
暗い地下に長いこといたせいか外の世界はとても眩しく見えた。
カオルの後ろを少し離れて歩いていると人通りの多い道へと出る。あまりの人の多さにエルが戸惑っているとカオルが心配そうに覗き込んでくる。
「エルどうした?」
「ヒト…タクサン…」
「あぁそうだね。人が多い場所を歩くの初めてなのかな…?怖い?」
「…コワクナイ」
主人であるカオルに迷惑をかければ殴られる…。
そう思っているとカオルはまた笑顔を見せてくる。
「じゃあ人も多いし、はぐれないように手を繋いで行こうか!」
そう言って右手を握ってくるカオルにエルはとても驚いた。
今までの主人達が自分に触れてくる時は暴力を振るう時だけだった。
こんな風に優しく触れられた事などない…
エルはカオルが今までの主人達とは違うのだ感じた。
握られた手を握り返すと嬉しそうな顔を見せてくれるカオルにエルは少しずつ好意を寄せていた。
それからカオルと過ごす日々はエルにとって幸せでしかなかった。
毎日自分に向けて見せてくれるキラキラと輝くような大好きなカオルの笑顔。
甘いカオルの香りも、優しい手も…エルが生きていく上でカオルの存在は無くてはならないモノになっていった。
アルジ…スキ…
そしていつしかエルはカオルに特別な感情を抱くようになる。
自分とカオルは奴隷と主人という特殊な関係。
だが、その関係が続く限りエルは永遠にカオルだけのモノになれる。
奴隷の証であり、ずっと自分を縛っていた忌々しい奴隷の首輪は今ではカオルと自分を繋ぐ無くてはならない大切な物になった。
「アルジ…ズット…イッショ…」
エルは首輪を大事そうに撫でながら、これからもずっと…永遠にカオルと幸せな日々が過ごせるように願うのだった。
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