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本章
85話:イケメン騎士団長の日常 ⑥ 〜Side アルク〜
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詰所へと到着し中に入ると、いきなり団長と副団長が来たものだからスリランに在中している団員達は驚き慌てている。
団員達を宥め、これから何を行うか説明するとさらに詰所内は慌ただしくなった。
非番の団員にも協力してもらい街の門への警備人数を増やし、講習会の会場には数名見張りを立て怪しい動きがあれば連絡するようにした。
「んー…。やはり怪しいな…」
講習会にしては厳しめの警備をしており、警備員まで数名立たせていると現場から状況が伝えられる。
だが、その警備の厳しさはかえって怪しさを感じさせる…
しかし…何も証拠が無い今は無闇に立ち入り調査はできないな…。
これからどうするかオドリーと話をしていると団員が焦った声で報告をいれてくる。
「アルク団長!娼館の講習会の件で報告があります!」
「あぁ。」
「先程、講習会の会場で働いていたと名乗る青年が訪れ娼夫が性奴隷にされていると…」
「おいおいおい……。えらく俺達に都合のいい話がやってきたな…」
僕達は団員からの報告を驚いた顔をして聞き、その青年の元へと向かう。
青年は緊張した面持ちで待合室で座り、僕達が部屋へと入ると背筋をピンと伸ばしこちらに目線を向ける。
「初めまして。騎士団長のアルク・ジョワゼーレです。」
「き、騎士団長…!?初めまして…シーナです…」
僕の肩書を聞いてシーナと名乗る青年は青ざめる。
まぁ…詰所に来て騎士団長が現れたら驚いてしまうよな…
「それで娼館が娼夫を奴隷にしているとのお話ですが…詳しく話を聞かせていただけますか?」
「は、はい…」
シーナは一ヶ月前に娼館で働きだし雑用などをこなしていた。
今回、娼館のオーナーに人手が足りないから手伝えと言われ講習会の会場に連れて行かれたが……そこでシーナが目にし娼夫達へ行った行為は人として到底許せるものではなかった。
話の途中で罪悪感からかシーナは泣き出してしまう。
そんなシーナを慰めながら最後まで話を聞きいていくとシーナは鞄の中から紙の束を取り出す。
「これが…今回奴隷として売られた人達の資料です…」
その資料には名前、年齢、出身地など事細かに娼夫の情報が書かれ写真まで添えられていた。
そして下の方には取引相手と値段も書かれていた。
パラパラと資料に目を通していくと最後の方に『カオル』とゆう名前を見つけて心臓が凍りつく。
『カオル』…年齢10代…所属なし…黒髪…華奢な体型…
その紙だけは、その場で急いで書かれたのか情報が曖昧だった。
ドクドクと心臓は脈打ち僕は無意識に持っていた資料をぐしゃりと握り潰しそうになる。
「おい…おい…おいアルク!…大丈夫か?」
「あ…ご、ごめん…」
僕の異様な雰囲気にオドリーは心配そうな顔を見せる。
いけない…仕事に集中しないと…。
カオルって名前は黒髪の娼夫に多いってオドリーも言ってたじゃないか…
僕は気を引き締めてシーナから話を聞いていくが、どうしても『カオル』の名前がちらつき集中できずにいた。
「よし。分かった。シーナ…お前の身柄は騎士団でちゃんと保護するから安心しろ。よく話してくれたな。おい…アルク。外で打ち合わせするぞ」
「あぁ…分かった。シーナ…話を聞かせてくれてありがとう」
シーナを保護する事を団員に伝え、とりあえずはこの詰所で待機してもらう事にした。
部屋を出てオドリーの方へと向かうと太ももに膝蹴りをくらう。
「痛っ…!オドリーいきなりどうしたの?」
「どうしたのぉ?じゃねーよ。なんだよ途中からソワソワして落ち着きない行動しやがって…騎士団長様としてもっと堂々とした態度でいろよな」
「ごめん……」
「で?資料見てから死にそうな顔してたが…まさか知り合いの名前があったのか?」
「うん…そうなんだ…。でも、名前だけで写真も無かったから本当に本人かは分からないんだけど…」
「…もしかして資料の最後に載ってた『カオル』か?」
「うん…」
オドリーは「そうか…」と呟くとポンポンと肩を叩いてくる。
「それなら尚のことシャキッとしろ」
「うん…」
「いいか?乗り込んだ時いつもみたいに『僕』とか使うじゃねーぞ。せっかく怖い面してんだから雰囲気壊すなよ」
「使わないってば…」
「頼むぜ鬼の・騎・士・団・長・様っ!」
「もう…その名前で呼ばないでよ…」
僕の嫌いなあだ名をオドリーに呼ばれ背中を叩かれて再度気合いを入れられる。
それから僕達は準備を整えると講習会が開かれている会場へと向かった。
団員達を宥め、これから何を行うか説明するとさらに詰所内は慌ただしくなった。
非番の団員にも協力してもらい街の門への警備人数を増やし、講習会の会場には数名見張りを立て怪しい動きがあれば連絡するようにした。
「んー…。やはり怪しいな…」
講習会にしては厳しめの警備をしており、警備員まで数名立たせていると現場から状況が伝えられる。
だが、その警備の厳しさはかえって怪しさを感じさせる…
しかし…何も証拠が無い今は無闇に立ち入り調査はできないな…。
これからどうするかオドリーと話をしていると団員が焦った声で報告をいれてくる。
「アルク団長!娼館の講習会の件で報告があります!」
「あぁ。」
「先程、講習会の会場で働いていたと名乗る青年が訪れ娼夫が性奴隷にされていると…」
「おいおいおい……。えらく俺達に都合のいい話がやってきたな…」
僕達は団員からの報告を驚いた顔をして聞き、その青年の元へと向かう。
青年は緊張した面持ちで待合室で座り、僕達が部屋へと入ると背筋をピンと伸ばしこちらに目線を向ける。
「初めまして。騎士団長のアルク・ジョワゼーレです。」
「き、騎士団長…!?初めまして…シーナです…」
僕の肩書を聞いてシーナと名乗る青年は青ざめる。
まぁ…詰所に来て騎士団長が現れたら驚いてしまうよな…
「それで娼館が娼夫を奴隷にしているとのお話ですが…詳しく話を聞かせていただけますか?」
「は、はい…」
シーナは一ヶ月前に娼館で働きだし雑用などをこなしていた。
今回、娼館のオーナーに人手が足りないから手伝えと言われ講習会の会場に連れて行かれたが……そこでシーナが目にし娼夫達へ行った行為は人として到底許せるものではなかった。
話の途中で罪悪感からかシーナは泣き出してしまう。
そんなシーナを慰めながら最後まで話を聞きいていくとシーナは鞄の中から紙の束を取り出す。
「これが…今回奴隷として売られた人達の資料です…」
その資料には名前、年齢、出身地など事細かに娼夫の情報が書かれ写真まで添えられていた。
そして下の方には取引相手と値段も書かれていた。
パラパラと資料に目を通していくと最後の方に『カオル』とゆう名前を見つけて心臓が凍りつく。
『カオル』…年齢10代…所属なし…黒髪…華奢な体型…
その紙だけは、その場で急いで書かれたのか情報が曖昧だった。
ドクドクと心臓は脈打ち僕は無意識に持っていた資料をぐしゃりと握り潰しそうになる。
「おい…おい…おいアルク!…大丈夫か?」
「あ…ご、ごめん…」
僕の異様な雰囲気にオドリーは心配そうな顔を見せる。
いけない…仕事に集中しないと…。
カオルって名前は黒髪の娼夫に多いってオドリーも言ってたじゃないか…
僕は気を引き締めてシーナから話を聞いていくが、どうしても『カオル』の名前がちらつき集中できずにいた。
「よし。分かった。シーナ…お前の身柄は騎士団でちゃんと保護するから安心しろ。よく話してくれたな。おい…アルク。外で打ち合わせするぞ」
「あぁ…分かった。シーナ…話を聞かせてくれてありがとう」
シーナを保護する事を団員に伝え、とりあえずはこの詰所で待機してもらう事にした。
部屋を出てオドリーの方へと向かうと太ももに膝蹴りをくらう。
「痛っ…!オドリーいきなりどうしたの?」
「どうしたのぉ?じゃねーよ。なんだよ途中からソワソワして落ち着きない行動しやがって…騎士団長様としてもっと堂々とした態度でいろよな」
「ごめん……」
「で?資料見てから死にそうな顔してたが…まさか知り合いの名前があったのか?」
「うん…そうなんだ…。でも、名前だけで写真も無かったから本当に本人かは分からないんだけど…」
「…もしかして資料の最後に載ってた『カオル』か?」
「うん…」
オドリーは「そうか…」と呟くとポンポンと肩を叩いてくる。
「それなら尚のことシャキッとしろ」
「うん…」
「いいか?乗り込んだ時いつもみたいに『僕』とか使うじゃねーぞ。せっかく怖い面してんだから雰囲気壊すなよ」
「使わないってば…」
「頼むぜ鬼の・騎・士・団・長・様っ!」
「もう…その名前で呼ばないでよ…」
僕の嫌いなあだ名をオドリーに呼ばれ背中を叩かれて再度気合いを入れられる。
それから僕達は準備を整えると講習会が開かれている会場へと向かった。
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