101 / 181
本章
83話:脱出
しおりを挟む
「える…えるぅぅ……」
エルの匂い…温もり…全てが安心する。
エルの胸に顔を埋めていると少しずつ気分が落ち着いてきた。
埋めていた顔を上げてエルを見つめればまだ不安そうな瞳で俺を見てくる。
「エル…ごめんな。心配かけて…。助けに来てくれてありがとう」
「アルジィ…」
そう言うとエルはぎゅぅぅっと俺を抱きしめてくる。
抱きしめられながら床に目線を落とすとジリアスがピクりとも動かずに横たわっていた。
…死んでないよな?
少し心配していると、フィウスさんの悲痛な声が聞こえてきた。
「セシリオ…止まって…。僕なら大丈夫だから…このままじゃ死んじゃう…」
フィウスさんの方へ振り返れば、ホープの体に馬乗りになったセシリオさんは「殺す…殺す…」と呟きながらホープの顔面に向かって何度も何度を拳を振り下ろしていた。
すでにホープは気絶しており抵抗もせずに顔は血で赤く染まり殴りつける度に鈍い嫌な音が聞こえる。
「セシリオ…ダメ…人殺しなんてしちゃ…」
フィウスさんは泣きながら必死にセシリオを止めようと腕にしがみ付いているが、それでもセシリオさんは拳を止めない。
「うわっ!!セシリオさん!エル!セシリオさん止めて!」
「ワカッタ」
エルはすぐにセシリオさんの元へと向かい後ろから羽交い締めにしてセシリオさんを止める。
「エル!離せっ!!俺はまだコイツを殴り足りないんだよ!!」
「ダメ…フィウス、ナイテル…」
エルの腕から抜け出そうと暴れていたが、フィウスさんの名前を出されるとハッとした顔を見せる。そして、泣いているフィウスさんの方を見て罰が悪そうに目線を下に向けた。
「すまん……」
そう言うと抵抗をやめてセシリオさんは大人しくなった。
そんなセシリオさんの姿を見たフィウスさんはふるふると肩を震わせていた。
「セシリオの…セシリオの…バカぁぁ…。うわぁぁ~ん…」
セシリオさんの方へとフィウスさんは突進するように抱きつきワンワンと泣きじゃくる。
「フィウス…ごめんな。俺、暴走してた…」
「ぐすっ…。もうあんな事しちゃダメだからね…」
「あぁ。もうしない…」
エルが羽交い締めにしていた腕を解くと、セシリオさんはフィウスさんをぎゅっと抱きしめる。
あぁ…。よかった…
そう思い安心していると俺の身体は急激に熱くなり立っていられずへたり込む。
そういえば媚薬盛られてたんだったぁ……
緊張の糸が切れると再び疼き出す体にハァハァと息を荒げて俺は耐える。
フィウスさんも同じようにセシリオさんの腕の中で辛そうな顔を見せセシリオさんが焦っている。
「アルジ!ドコカ、イタイカ?」
エルも俺の異変に気付き急いで駆け寄って来て抱き上げてくれる。
エルに触れられただけでビクっと体が跳ね、俺の反応にエルは不安な表情を見せる。
「ごめんなエル…。ちょっと体が辛いんだ…」
苦笑いしながら心配するなと声をかけるが、エルに触れられる度にピクピクと反応してしまう…
「エル。カオルもフィウスも薬を使われて発情してる。さっさと家に連れて帰るぞ」
「クスリ…。ハツジョウ…ワカッタ」
セシリオさんにそう言われるとエルは頷き2人は部屋を出る。
俺はこの疼きをどうにかしたくておかしくなりそうだった…。
早く…早く…気持ち良くなりたい…
エルの腕に抱かれて俺はずっとそんな事ばかりを考えていた。
エルの匂い…温もり…全てが安心する。
エルの胸に顔を埋めていると少しずつ気分が落ち着いてきた。
埋めていた顔を上げてエルを見つめればまだ不安そうな瞳で俺を見てくる。
「エル…ごめんな。心配かけて…。助けに来てくれてありがとう」
「アルジィ…」
そう言うとエルはぎゅぅぅっと俺を抱きしめてくる。
抱きしめられながら床に目線を落とすとジリアスがピクりとも動かずに横たわっていた。
…死んでないよな?
少し心配していると、フィウスさんの悲痛な声が聞こえてきた。
「セシリオ…止まって…。僕なら大丈夫だから…このままじゃ死んじゃう…」
フィウスさんの方へ振り返れば、ホープの体に馬乗りになったセシリオさんは「殺す…殺す…」と呟きながらホープの顔面に向かって何度も何度を拳を振り下ろしていた。
すでにホープは気絶しており抵抗もせずに顔は血で赤く染まり殴りつける度に鈍い嫌な音が聞こえる。
「セシリオ…ダメ…人殺しなんてしちゃ…」
フィウスさんは泣きながら必死にセシリオを止めようと腕にしがみ付いているが、それでもセシリオさんは拳を止めない。
「うわっ!!セシリオさん!エル!セシリオさん止めて!」
「ワカッタ」
エルはすぐにセシリオさんの元へと向かい後ろから羽交い締めにしてセシリオさんを止める。
「エル!離せっ!!俺はまだコイツを殴り足りないんだよ!!」
「ダメ…フィウス、ナイテル…」
エルの腕から抜け出そうと暴れていたが、フィウスさんの名前を出されるとハッとした顔を見せる。そして、泣いているフィウスさんの方を見て罰が悪そうに目線を下に向けた。
「すまん……」
そう言うと抵抗をやめてセシリオさんは大人しくなった。
そんなセシリオさんの姿を見たフィウスさんはふるふると肩を震わせていた。
「セシリオの…セシリオの…バカぁぁ…。うわぁぁ~ん…」
セシリオさんの方へとフィウスさんは突進するように抱きつきワンワンと泣きじゃくる。
「フィウス…ごめんな。俺、暴走してた…」
「ぐすっ…。もうあんな事しちゃダメだからね…」
「あぁ。もうしない…」
エルが羽交い締めにしていた腕を解くと、セシリオさんはフィウスさんをぎゅっと抱きしめる。
あぁ…。よかった…
そう思い安心していると俺の身体は急激に熱くなり立っていられずへたり込む。
そういえば媚薬盛られてたんだったぁ……
緊張の糸が切れると再び疼き出す体にハァハァと息を荒げて俺は耐える。
フィウスさんも同じようにセシリオさんの腕の中で辛そうな顔を見せセシリオさんが焦っている。
「アルジ!ドコカ、イタイカ?」
エルも俺の異変に気付き急いで駆け寄って来て抱き上げてくれる。
エルに触れられただけでビクっと体が跳ね、俺の反応にエルは不安な表情を見せる。
「ごめんなエル…。ちょっと体が辛いんだ…」
苦笑いしながら心配するなと声をかけるが、エルに触れられる度にピクピクと反応してしまう…
「エル。カオルもフィウスも薬を使われて発情してる。さっさと家に連れて帰るぞ」
「クスリ…。ハツジョウ…ワカッタ」
セシリオさんにそう言われるとエルは頷き2人は部屋を出る。
俺はこの疼きをどうにかしたくておかしくなりそうだった…。
早く…早く…気持ち良くなりたい…
エルの腕に抱かれて俺はずっとそんな事ばかりを考えていた。
47
お気に入りに追加
3,454
あなたにおすすめの小説


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる