98 / 181
本章
80話:講習会 ②
しおりを挟む「痛っっ…」
酷い頭痛で目が覚め、思わず顔をしかめてしまう。
確か講習会を受けてて…俺途中で眠っちゃったんだよな…。でもなんで床で寝てんだ?
そう思い体を起こすとジャラッと音が聞こえ首にずしりと重さを感じる。
「は?何これ……?」
首に付けられた首輪と鎖を手に俺は思考が停止する。
自分の体を見れば着ていた服は脱がされて白色のワンピースの様な服を着せられている。
…下着も履いていない。
状況が分からずにキョロキョロと辺りを見渡すと、同じ格好で鎖のついた首輪に繋がれたフィウスさんが床で眠っていた。
「フィウスさん…フィウスさん…」
眠っているフィウスさんを揺すりながら声をかけると「ん…。」と目を覚ます。
「フィウスさん大丈夫ですか…?」
「あぁ…僕は大丈夫…。カオルくんこそ何か異変はない?体は大丈夫?痛いところとかない?」
フィウスさんそう言うと俺の体をペタペタと触れながら大丈夫か確認してくる。
「俺は大丈夫です!少し頭が痛いくらいで…」
「そっか…。多分、睡眠薬のせいで頭が痛いんだと思う。僕も頭が痛むから…」
「睡眠薬…?」
俺はフィウスさんの言っている事が分からず聞き返してしまう。
「入り口で配られたお茶あったでしょ?あれに睡眠薬が混ぜられてたみたい……。僕を含めて数名お茶を飲んでなかったんだけど、無理矢理飲まされて眠らされたんだ…。ごめんねカオルくん…僕が講習会になんて誘ったからカオルくんをこんな事に巻き込んでしまって…」
フィウスさん肩を震わせ目に涙を浮かべ謝ってくるが、フィウスさんはまったくもって何も悪くない。
「フィウスさん謝らないで下さい…フィウスさんは何も悪くないですよ…。まずは、ここから出る方法探しましょう」
「うん…。そうだね」
フィウスさんは涙を拭い頷く。
俺達は近くにいた人達を起こして回るが、皆自分の置かれている状況が分からず困惑している。
鎖は隅の鉄柱に繋がれ鍵をかけられ部屋のドアまでは届かない長さに調整されていた。
首輪も自分達では外せないようになっている…
「鎖も頑丈で道具とかないと壊すのは無理そうですね…」
どうしたらいいんだろう…
解決方法が見つからずに繋がれた重い鎖をジャラっと持ち上げハァ…とため息をつく。
その後も首輪や鎖を外そうと試してみるが外れる気配はない。
抜け出そうと必死になっていたせいか体が火照るように熱くなり服の胸元をパタパタあおぐ。
なんだか体の芯から熱い感じ…
なんとも言えない熱さに耐えながら鎖と格闘していると、今度は下半身に違和感を感じ始める。
触ってもいないし興奮する要素すらないのに下半身にドクドクと熱が集まってくる。
そして、すぐに緩く勃ち上がりワンピース越しにも勃起しているのがわかった…
「な、なんで…!?」
恥ずかしくて思わず隠しバレていないか周りを見てみると、俺と同じように股間を隠している人や蹲っている人…皆が同じような状態になっていた。
戸惑っていると顔を赤く上気させたフィウスさんが俺の方へとやってくる。
「カオルくん…。もしかしたら…僕達媚薬も飲まされてるかも…」
「えぇ!?」
「僕が昔お客さんから媚薬を盛られた時と凄く感覚が似てるんだ…」
フィウスさんも下半身が疼くのか辛そうな顔をして下半身を押さえていた。
媚薬のせいでどんどん硬くなっていく下半身…
逃げないといけないのに体が熱くて早くこの熱をどうにかしたいと思ってしまう。
俺は立っているのも辛くなってきてペタンと床に座り込み触りたいのを必死に我慢する。
フィウスさんは心配そうに俺に付き添ってくれる。
どうにかしなきゃ…
そう思っていると部屋のドアがガチャッと開き、講師の男が入ってきた。
「おー起きたか。それに薬もいい感じに回ってるな」
講師の男は俺達の様子を見て満足そうに言うと近くにいた娼夫が声を荒げる。
「これは一体なんなんですか!?」
「あぁ?お前達は売られたんだよ!今から立派な性奴隷だ。ご主人様が決まってる奴もいるからな…じゃあ引き渡しを始めようか」
男がそう言うと、ずらずらと男達が入ってくる。
講師の男は娼夫を買った男と書類を見ながら確認し一人ずつ娼夫達を引き渡しをしていく。
皆、嫌だ嫌だと泣き喚き抵抗するが媚薬のせいで足が立たず鎖で引きずられるようにして部屋から連れ出されていく。
なんだよこれ……。
俺はその光景が恐ろしすぎて目を逸らしカタカタと震えてしまう…
「カオルくん大丈夫…。カオルくんだけは絶対僕が守るから…」
フィウスさんは連れられて行く娼夫達を見ないように俺の顔を胸元に抱き寄せてくれる。
そして、他の娼夫達は引き渡され残りは俺達だけに…
「え~っと…これで最後ですね。ラビリンスのフィウス。…あれ?一人多いな。クソッ…追加したならちゃんとこっちにも伝えろよな…」
講師の男はブツブツと文句を言いながらフィウスさんを買った男2人に引き渡しを行う。
鎖はすでに鉄柱から外されているが媚薬で思うように体が動かない俺達は隅の方で震える事しかできなかった。
フィウスさんを買った男は、前に路地裏でフィウスさんを連れ去ろうとした男だった。
そしてもう一人は…
「おや?あなた…以前廃棄奴隷を買ってくれた…カオルくん?」
「ん?なんだジリアスの知り合いか?」
「ホープさん前に話したの覚えてません?半獣の廃棄奴隷を買っていった可愛い子がいたって話ですよ」
「あぁ。あれか…へぇ…。ん?お前見覚えあるような…」
ホープは俺を見ながら思い出せないのか首を傾げ、ジリアスは俺の方へと嬉しそうに近寄ってくる。
座り込んでいる俺との目線を合わせるように屈んで覗きこみジロジロと舐めるような目線を感じて凄く気持ち悪い…
「へぇ…カオルくんも売られたんですか…。やっぱり可愛いですね…」
ジリアスはそう言うと俺の頬を人差し指で撫で俺はビクッと体を揺らす。
「カオルくんに触らないで下さい!」
フィウスさんが俺をギュッと抱きしめてジリアスから離そうとすると、ホープがグっとフィウスさんの鎖を引っ張り俺達は引き剥がされる。
「あらあら。そんな手荒な事して…ホープさんその人に惚れてたんじゃなかったですか?えーっと、確か客は私たちで最後でしたよね…。あの!この子買い手がいないんだったら私が買ってもいいですか?」
ジリアスは講師の男にそう話しかけると、講師の男はパァッと顔を明るくして二つ返事で快諾する。
「いや~助かりますよ!じゃあ、お支払いはまた後日請求させていただきますね。では私はこれで…ゆっくりお楽しみ下さい」
講師の男は面倒事が片付いたと喜びながら部屋を出ていき、目の前には鎖を持った2人がニヤニヤと嬉しそうな表情で俺達を見下ろしていた。
11
お気に入りに追加
3,423
あなたにおすすめの小説
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる