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本章

80話:講習会 ②

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「痛っっ…」

酷い頭痛で目が覚め、思わず顔をしかめてしまう。

確か講習会を受けてて…俺途中で眠っちゃったんだよな…。でもなんで床で寝てんだ?

そう思い体を起こすとジャラッと音が聞こえ首にずしりと重さを感じる。

「は?何これ……?」

首に付けられた首輪と鎖を手に俺は思考が停止する。
自分の体を見れば着ていた服は脱がされて白色のワンピースの様な服を着せられている。
…下着も履いていない。

状況が分からずにキョロキョロと辺りを見渡すと、同じ格好で鎖のついた首輪に繋がれたフィウスさんが床で眠っていた。

「フィウスさん…フィウスさん…」

眠っているフィウスさんを揺すりながら声をかけると「ん…。」と目を覚ます。

「フィウスさん大丈夫ですか…?」
「あぁ…僕は大丈夫…。カオルくんこそ何か異変はない?体は大丈夫?痛いところとかない?」

フィウスさんそう言うと俺の体をペタペタと触れながら大丈夫か確認してくる。

「俺は大丈夫です!少し頭が痛いくらいで…」
「そっか…。多分、睡眠薬のせいで頭が痛いんだと思う。僕も頭が痛むから…」
「睡眠薬…?」

俺はフィウスさんの言っている事が分からず聞き返してしまう。

「入り口で配られたお茶あったでしょ?あれに睡眠薬が混ぜられてたみたい……。僕を含めて数名お茶を飲んでなかったんだけど、無理矢理飲まされて眠らされたんだ…。ごめんねカオルくん…僕が講習会になんて誘ったからカオルくんをこんな事に巻き込んでしまって…」

フィウスさん肩を震わせ目に涙を浮かべ謝ってくるが、フィウスさんはまったくもって何も悪くない。

「フィウスさん謝らないで下さい…フィウスさんは何も悪くないですよ…。まずは、ここから出る方法探しましょう」
「うん…。そうだね」

フィウスさんは涙を拭い頷く。
俺達は近くにいた人達を起こして回るが、皆自分の置かれている状況が分からず困惑している。
鎖は隅の鉄柱に繋がれ鍵をかけられ部屋のドアまでは届かない長さに調整されていた。
首輪も自分達では外せないようになっている…

「鎖も頑丈で道具とかないと壊すのは無理そうですね…」

どうしたらいいんだろう…
解決方法が見つからずに繋がれた重い鎖をジャラっと持ち上げハァ…とため息をつく。

その後も首輪や鎖を外そうと試してみるが外れる気配はない。
抜け出そうと必死になっていたせいか体が火照るように熱くなり服の胸元をパタパタあおぐ。

なんだか体の芯から熱い感じ…

なんとも言えない熱さに耐えながら鎖と格闘していると、今度は下半身に違和感を感じ始める。
触ってもいないし興奮する要素すらないのに下半身にドクドクと熱が集まってくる。
そして、すぐに緩く勃ち上がりワンピース越しにも勃起しているのがわかった…

「な、なんで…!?」

恥ずかしくて思わず隠しバレていないか周りを見てみると、俺と同じように股間を隠している人や蹲っている人…皆が同じような状態になっていた。

戸惑っていると顔を赤く上気させたフィウスさんが俺の方へとやってくる。

「カオルくん…。もしかしたら…僕達媚薬も飲まされてるかも…」
「えぇ!?」
「僕が昔お客さんから媚薬を盛られた時と凄く感覚が似てるんだ…」

フィウスさんも下半身が疼くのか辛そうな顔をして下半身を押さえていた。

媚薬のせいでどんどん硬くなっていく下半身…
逃げないといけないのに体が熱くて早くこの熱をどうにかしたいと思ってしまう。

俺は立っているのも辛くなってきてペタンと床に座り込み触りたいのを必死に我慢する。
フィウスさんは心配そうに俺に付き添ってくれる。


どうにかしなきゃ…


そう思っていると部屋のドアがガチャッと開き、講師の男が入ってきた。

「おー起きたか。それに薬もいい感じに回ってるな」

講師の男は俺達の様子を見て満足そうに言うと近くにいた娼夫が声を荒げる。

「これは一体なんなんですか!?」
「あぁ?お前達は売られたんだよ!今から立派な性奴隷だ。ご主人様が決まってる奴もいるからな…じゃあ引き渡しを始めようか」

男がそう言うと、ずらずらと男達が入ってくる。
講師の男は娼夫を買った男と書類を見ながら確認し一人ずつ娼夫達を引き渡しをしていく。

皆、嫌だ嫌だと泣き喚き抵抗するが媚薬のせいで足が立たず鎖で引きずられるようにして部屋から連れ出されていく。


なんだよこれ……。

俺はその光景が恐ろしすぎて目を逸らしカタカタと震えてしまう…

「カオルくん大丈夫…。カオルくんだけは絶対僕が守るから…」

フィウスさんは連れられて行く娼夫達を見ないように俺の顔を胸元に抱き寄せてくれる。

そして、他の娼夫達は引き渡され残りは俺達だけに…

「え~っと…これで最後ですね。ラビリンスのフィウス。…あれ?一人多いな。クソッ…追加したならちゃんとこっちにも伝えろよな…」

講師の男はブツブツと文句を言いながらフィウスさんを買った男2人に引き渡しを行う。
鎖はすでに鉄柱から外されているが媚薬で思うように体が動かない俺達は隅の方で震える事しかできなかった。

フィウスさんを買った男は、前に路地裏でフィウスさんを連れ去ろうとした男だった。
そしてもう一人は…

「おや?あなた…以前廃棄奴隷を買ってくれた…カオルくん?」
「ん?なんだジリアスの知り合いか?」
「ホープさん前に話したの覚えてません?半獣の廃棄奴隷を買っていった可愛い子がいたって話ですよ」
「あぁ。あれか…へぇ…。ん?お前見覚えあるような…」

ホープは俺を見ながら思い出せないのか首を傾げ、ジリアスは俺の方へと嬉しそうに近寄ってくる。
座り込んでいる俺との目線を合わせるように屈んで覗きこみジロジロと舐めるような目線を感じて凄く気持ち悪い…

「へぇ…カオルくんも売られたんですか…。やっぱり可愛いですね…」

ジリアスはそう言うと俺の頬を人差し指で撫で俺はビクッと体を揺らす。

「カオルくんに触らないで下さい!」

フィウスさんが俺をギュッと抱きしめてジリアスから離そうとすると、ホープがグっとフィウスさんの鎖を引っ張り俺達は引き剥がされる。

「あらあら。そんな手荒な事して…ホープさんその人に惚れてたんじゃなかったですか?えーっと、確か客は私たちで最後でしたよね…。あの!この子買い手がいないんだったら私が買ってもいいですか?」

ジリアスは講師の男にそう話しかけると、講師の男はパァッと顔を明るくして二つ返事で快諾する。

「いや~助かりますよ!じゃあ、お支払いはまた後日請求させていただきますね。では私はこれで…ゆっくりお楽しみ下さい」

講師の男は面倒事が片付いたと喜びながら部屋を出ていき、目の前には鎖を持った2人がニヤニヤと嬉しそうな表情で俺達を見下ろしていた。
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