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本章
79話:講習会の裏側
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✳︎モブ目線で話が進みます✳︎
「うへ~。今年も多いなぁ~。さっさとやっちまわないとまたお偉いさん方に文句言われるな…。ほらシーナ!俺について来い」
「は、はい!うわ…な、何ですかコレ…」
でっぷりと太った男の後ろを気弱そうな仮面を付けた青年シーナは言われるがままついて行き、連れて行かれた部屋の異様な光景にシーナは顔を青くする。
机の上に突っ伏して眠っている数十名の娼夫達。
2人以外にも数名が講習会が開かれていた会場へと入っており作業をしている。
「ゴンザガさん…これは一体何なんですか?」
「コイツらは隣国に売られる娼夫達だよ。まぁ、ほとんどが性奴隷になるんだろうがな…」
「えぇ!?」
「そう驚くなって。どの国でもやってる事だし、別に今回が初めてじゃないからな。コイツらは娼館で使えなくなって借金が返せなくなった奴や、客から注文があって高値で売れた奴らだからな。お前が思っているより悪どい事はしてないぞ」
顔をさらに青くするシーナを見て、ゴンザガはニヤっと笑う。
「ここに来たお前はすでに共犯だからな。誰かにチクればお前も捕まるぞ」
ゴンザガはそうシーナに言い放つとカバンの中に入れていた資料を引っ張り出し目を通す。
「えーっと…こいつは『アイリス』のカルロ。んで『パフューム』のノリスと…」
ゴンザガは机の上で眠っている娼夫達の顔を資料と照らし合わせ確認し手首にタグを付けて行く。
「シーナ!人数多いからお前も手伝え。書類に顔写真も載ってるから確認して間違い無ければ右手首にそいつの名前の付いたタグを付けるんだ」
「は…はい…」
シーナはゴンザガがら娼夫達の資料を受け取ると一人一人確認していく。
「『ラビリンス』のフィウス…。娼館所属無し…カ…オル……」
シーナは『カオル』の名前を書かれた資料を持ち恐る恐る顔を確認し、見覚えがあるその横顔を見て固まってしまう。
「シーナ。手が止まってるけど分からない事でもあったか?…あぁ、フリーの娼夫に当たったのか。こいつらの写真は無いからな。なになに…黒髪の可愛い顔で華奢な体型…。ざっくりした事しか書いてないな。」
「そんな……。カオルくん…」
「なんだ知り合いか?」
「あ…いえ…。話した事は無くて…。よく行く食堂で見かける子なんです…」
「そうか。知り合いじゃないなら問題ないな。そいつは商品だから変な情とか持ち込むなよ」
「…はい」
全員のタグを付け終わると、ゴンザガは廊下で待機していた男達に声をかけ娼夫達は次々に別の部屋へと連れられていく。
「ほらシーナ!ボサッとするな。次はコイツら着替えさせて出荷の準備していくんだからな。さぁいくぞ」
「はい…」
ゴンザガの後ろをついて行き辿り着いたのは地下にある広間。
そこに先程の娼夫達が寝かされ服を脱がされている。
「いいか。次はこの服に着替えさせて一人一人に首輪をつけていく。万が一、起きても逃げられないように鎖で繋いでおけよ。四隅に鉄柱があるからそこに繋げるんだ」
ジャラジャラと音を鳴らす鎖付きの首輪と着替えの服を渡されてシーナはカオル達の方へと向かう。
なるべく肌が見えないように着替えさせていると、「ちんたら着替えさせるな!さっさと脱がして服を着せろ!」と、ゴンザガから怒声があがる。
「カオルくん…ごめんね…」
シーナは小さな声でカオルに謝り服を脱がせ着替えさせると、首に首輪をつけて鎖を鉄柱にくくりつける。
「ふぅ…やっと終わったな。シーナ。これから毎年講習会の時はこの作業があるから忘れるなよ。さぁ俺達の仕事はこれで終わりだ。さっさと帰るぞ」
ゴンザガは疲れた疲れたと、ぼやきながら帰っていく。
シーナは鎖に繋がれた娼夫…そしてカオルの姿を見て拳をギュッと強く握りしめた。
✳︎✳︎次の話からはモブとの絡みがあります。ご注意下さい✳︎✳︎
「うへ~。今年も多いなぁ~。さっさとやっちまわないとまたお偉いさん方に文句言われるな…。ほらシーナ!俺について来い」
「は、はい!うわ…な、何ですかコレ…」
でっぷりと太った男の後ろを気弱そうな仮面を付けた青年シーナは言われるがままついて行き、連れて行かれた部屋の異様な光景にシーナは顔を青くする。
机の上に突っ伏して眠っている数十名の娼夫達。
2人以外にも数名が講習会が開かれていた会場へと入っており作業をしている。
「ゴンザガさん…これは一体何なんですか?」
「コイツらは隣国に売られる娼夫達だよ。まぁ、ほとんどが性奴隷になるんだろうがな…」
「えぇ!?」
「そう驚くなって。どの国でもやってる事だし、別に今回が初めてじゃないからな。コイツらは娼館で使えなくなって借金が返せなくなった奴や、客から注文があって高値で売れた奴らだからな。お前が思っているより悪どい事はしてないぞ」
顔をさらに青くするシーナを見て、ゴンザガはニヤっと笑う。
「ここに来たお前はすでに共犯だからな。誰かにチクればお前も捕まるぞ」
ゴンザガはそうシーナに言い放つとカバンの中に入れていた資料を引っ張り出し目を通す。
「えーっと…こいつは『アイリス』のカルロ。んで『パフューム』のノリスと…」
ゴンザガは机の上で眠っている娼夫達の顔を資料と照らし合わせ確認し手首にタグを付けて行く。
「シーナ!人数多いからお前も手伝え。書類に顔写真も載ってるから確認して間違い無ければ右手首にそいつの名前の付いたタグを付けるんだ」
「は…はい…」
シーナはゴンザガがら娼夫達の資料を受け取ると一人一人確認していく。
「『ラビリンス』のフィウス…。娼館所属無し…カ…オル……」
シーナは『カオル』の名前を書かれた資料を持ち恐る恐る顔を確認し、見覚えがあるその横顔を見て固まってしまう。
「シーナ。手が止まってるけど分からない事でもあったか?…あぁ、フリーの娼夫に当たったのか。こいつらの写真は無いからな。なになに…黒髪の可愛い顔で華奢な体型…。ざっくりした事しか書いてないな。」
「そんな……。カオルくん…」
「なんだ知り合いか?」
「あ…いえ…。話した事は無くて…。よく行く食堂で見かける子なんです…」
「そうか。知り合いじゃないなら問題ないな。そいつは商品だから変な情とか持ち込むなよ」
「…はい」
全員のタグを付け終わると、ゴンザガは廊下で待機していた男達に声をかけ娼夫達は次々に別の部屋へと連れられていく。
「ほらシーナ!ボサッとするな。次はコイツら着替えさせて出荷の準備していくんだからな。さぁいくぞ」
「はい…」
ゴンザガの後ろをついて行き辿り着いたのは地下にある広間。
そこに先程の娼夫達が寝かされ服を脱がされている。
「いいか。次はこの服に着替えさせて一人一人に首輪をつけていく。万が一、起きても逃げられないように鎖で繋いでおけよ。四隅に鉄柱があるからそこに繋げるんだ」
ジャラジャラと音を鳴らす鎖付きの首輪と着替えの服を渡されてシーナはカオル達の方へと向かう。
なるべく肌が見えないように着替えさせていると、「ちんたら着替えさせるな!さっさと脱がして服を着せろ!」と、ゴンザガから怒声があがる。
「カオルくん…ごめんね…」
シーナは小さな声でカオルに謝り服を脱がせ着替えさせると、首に首輪をつけて鎖を鉄柱にくくりつける。
「ふぅ…やっと終わったな。シーナ。これから毎年講習会の時はこの作業があるから忘れるなよ。さぁ俺達の仕事はこれで終わりだ。さっさと帰るぞ」
ゴンザガは疲れた疲れたと、ぼやきながら帰っていく。
シーナは鎖に繋がれた娼夫…そしてカオルの姿を見て拳をギュッと強く握りしめた。
✳︎✳︎次の話からはモブとの絡みがあります。ご注意下さい✳︎✳︎
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