美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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78話:講習会 ①

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「カオルくんお待たせ~。遅くなってごめんね」
「いえ。全然大丈夫ですよ!」
「よぉカオル、エル!お待たせ~」
「コンニチハ」

初めてあった日から何度かフィウスさんとセシリオさんと食事やお茶をしている。

今日もフィウスさんオススメの喫茶店で待ち合わせをしていた。
2人ともいい人で一緒にいると楽しいし、何よりエルを見ても嫌な顔せず付き合ってくれる事が凄く嬉しかった。

セシリオさんに2人と一緒にいると楽しいと伝えると「お前は本当に変わり者すぎるな…」と言われた。

セシリオさん的には連絡先を交換しても自分セシリオがいるから俺からは連絡してこないだろうと思っていたらしい。

フィウスさんでさえ、セシリオさんの姿に慣れるまでに数週間かかり今は信頼関係があるから平気だけれど、普通の人なら怖くてまったく近づいて来ないらしい。

それなのに初対面から仮面を外したセシリオさんの顔も平気だし、なんなら軽く懐いている俺を少し気味が悪いと思っていると言われた。


「俺から見ればセシリオさん綺麗でカッコ良く見えるんですよ」
「はぁ!?……お前何か変な薬やってないだろな?」
「セシリオ!!お前…またそんな事を言って…カオルくんに謝りなさい!」

俺の言葉に引くレベルで驚いているセシリオさんと、セシリオさんの言葉に怒るフィウスさん。

相変わらずこの2人は凄く仲がいい。
よく喧嘩もしてるけど…

俺がそう思っていると、エルがクイクイと俺の服の裾を引っ張ってくる。

「アルジ…。オレハ…?」
「ん…?あぁ!エルも凄くカッコいいし、可愛いぞぉ~」
「…ウレシイ」

俺の言葉にエルはニコニコと笑い尻尾を可愛らしくフリフリと振る。


席についたフィウスさんの手には紙が握られていて、その紙に書いてあったのは『講習会』の文字。

「あぁこれは週末に開かれる講習会だよ」

俺の目線に気づいたのかフィウスさんが説明してくれる。

「毎年この時期に大手の娼館が変更になった料金の設定や法律とかを講習会で説明するんだよ。知っておいた方が仕事しやすいから娼館に所属している娼夫は強制参加なんだ」
「へぇ~そうゆう講習会とか開いてくれるんですねぇ」
「カオルくんも一緒に行く?フリーの娼夫さんもよく参加してるよ。講習会は無料だからね」

そうゆうの今まで気にしてなかったけど知ってた方がいいよな…フィウスさんも一緒なら安心だし。

「行きます!」
「じゃあ…待ち合わせして一緒に行こうか!」

フィウスさんと当日の待ち合わせ場所と時間を決め、それから俺達はいつものようにお喋りして美味しいお茶と軽食を食べて楽しい時間を過ごした。


✳︎

それから数日後の週末…

エルを連れてフィウスさんとの待ち合わせ場所へと向かうと、すでにフィウスさんとセシリオさんが待っていた。

「すみません!お待たせしました…」
「全然!僕達が少し早く着いてしまっただけだから!じゃあ、行こうか」

軽い挨拶を済ませて、講習会が開かれる会場へと4人で向かう。会場になる木造の大きな洋館には娼夫と思われる人達が続々と中に入って行く。

「じゃあ僕とカオルくんは講習会受けてくるからセシリオとエルくんは待っててくれる?多分2時間くらいで終わると思うから」
「はいよ~」
「ワカッタ」
「エル。セシリオさんと一緒に待っててね!じゃあ行ってきます」

2人に見送られ会場へと入っていくと、入り口すぐに受付が見えそちらに向かう。
受付をしているでっぷり太った男性に所属している娼館名と名前を伝えると、カードを渡されそのカードと同じ色の部屋で講習会を受ける仕組みになっているようだ。
フィウスさんの後ろに並び俺は受付の順番を待った。

「え~っと…『ラビリンス』所属のフィウスさんね。はいはい。じゃあこのカードと同じ色の部屋に向かって下さいね」
「ありがとうございます。あの、次の子僕の知り合いなんですが講習会が初めてで…一緒の部屋で受けれますか?」
「ん?そうだなぁ…その子が所属している娼館は?」
「娼館には所属してない子で…」
「そうかい。じゃあ大丈夫だよ。名前と顔の確認をさせてもらおうか」
「よかった!じゃあカオルくん受付してもらおう」

フィウスさんが受付の人へ話をつけてくれ、俺は同じ部屋で講習会を受けることができるようにしてもらった。
男性から赤色のカードを受け取り部屋へと向かう。
俺達の部屋は一番離れた場所にあった。

部屋に着くと入り口で講習会の資料と飲み物を渡される。
部屋の中は長机と椅子が並べられていて、すでに半分以上が埋まっていた。

「前の方なら並んで座れそうだね」

2人で前の方の席へと座り、俺は喉が渇いたので入り口でもらったお茶を飲みながら講習会が始まるまでフィウスさんと話をしながら時間を潰す。

「フィウスさんとセシリオさんってどれくらい一緒にいるんですか?」
「セシリオとはもう2年になるかな…。」
「そうなんですね~。2人とも凄く仲がいいですよね!」
「まぁ…ずっと一緒にいると自然と仲良くなるよね。セシリオと出会った最初の頃は見た目も怖いし口も悪いから苦手だったんだけど、護衛の仕事はきちんとしてくれるし案外優しいところもあるって分かってから少しずつ仲良くなっていったんだ」

フィウスさんは少し照れ笑いしながらセシリオさんの話をしてくれる。
…もしかして2人はいい感じなのかな?

そんな事を思っていると、講習会の講師らしき人が現れて話を始めたので俺達も話を中断し講習会の説明を受けた。

手渡された資料を見ながらおじさんが説明を始めるのだが、資料の内容をただ読んでいるだけなので…はっきり言って退屈だった。

学校で嫌いな教科の授業を受けているようで、ふぁ…と欠伸が出てしまう。
フィウスさんの方を見ると真剣に話を聞いていたので、俺も眠気と闘いながら説明を聞く。

だけど、俺の意志とは逆にどんどん眠たくなっていく。

やばい…寝たらダメなの…に、凄く…眠たい…

俺は強烈な眠気に目蓋も開かなくなり座っている事もままならず机の上に突っ伏してしまう。

「カオルくんどうしたの…?あらら。眠っちゃったんだね」

フィウスさんの声が聞こえて返事しなきゃと思うが眠たすぎて…声も出せない…

しばらくするとフィウスさんの戸惑う声が聞こえてくる。

「え…?何これ……。皆なんで眠ってるの…。カオルくん!カオルくん!起きて!」

フィウスさんは俺の名前を必死に呼び体をユサユサと揺さぶってくる。

フィウスさんが呼んでる…目を開けないと…と思うがダメだ。
もう眠たくて…たまらない…


するとフィウスさんと俺の近くに誰かが近づいてくる気配がする…

「なんだお前は飲まなかったのか…まぁいいか…」

さっきまで講習会で説明をしていたのおじさんの冷たい声が頭上で聞こえたかと思うと、フィウスさんの悲鳴が部屋に響く。


フィ…ウスさん…

俺は何も出来ずそのまま深い眠りに落ちてしまった。
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