美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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本章

76話:娼夫仲間 ①

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「あとは…エルの新しい服を買いに行ったら今日の買い物は終わり!帰ったら夕飯食べに行こうなー」
「ウン。ユウハン、タノシミ」
「今日のメニューは何だろうなぁ~」

エルと買い物中、服屋へ向かいながら夕飯の話題で盛り上がっていると路地裏の方からガタッと何かが倒れる物音と「いやっ…」とゆう人の声が聞こえてきた。

「エル…ちょっと待ってて…」

俺は気になって路地裏の方を除いてみると、奥の方でうずくまっている人とその人を取り囲む3人の男の姿が目に入る。

腕を掴み無理矢理引きずって何処かへ連れて行こうとしており、蹲っている人は嫌だ嫌だと叫んでいた…

「おいっ!何してるんだ!」

思わず叫んでしまい男達は俺の方へと目を向ける。

「あっ!?誰だお前…おい。あいつも連れてこい」

男達の中でもリーダー格の男がそう言うと、1人が俺の方へと向かってくる。
体格がやや大きめの男はニヤニヤ笑いながら俺の方へと迫ってくる。

やば…俺じゃ絶対に敵わない…

思わず後退りすると背中にトンッと当たり振り向くとエルがいた。
俺を捕まえに来た男はエルを見ると止まり睨み付けてくる。

「な、なんだよお前!」
「アルジ…ツレテイク…ダメ…」

エルは今まで見たことがないくらい凄く冷酷な表情で男の胸ぐらを掴むとそのまま宙に浮かせる。エルよりも身長の低い男は足をバタつかせて「離せ!クソッ!」と喚く事しかできない。
そんなエルの姿を見て奥にいる男達もギョッと驚いた表情を見せる。


「な、なんなんだアイツ。クソッ…もういい!コイツだけでも…」

「お~い…コラコラコラ。俺のご主人様を何処に連れていくつもりかなぁ~」

男達とは違う威圧的な声が路地裏の奥から聞こえたと同時に奥にいた男達が地面に倒れる。
一瞬の出来事に俺達は何が起きたのか把握できなかった。

倒れた男達の側には仮面を付けたスラリとした体型の長身の男が立っていて蹲っていた人を抱きかかえていた。

「おい。そこの宙ぶらりん。今日は殺さないでやるから、ここに寝てる二人連れて帰れよ。後、また俺のご主人様に近づいたら殺すって寝てる二人にも伝えておけよ~」

仮面の男性が宙ぶらりんの男にそう言ったのでエルがパッと手を離すと、掴まれた男は尻餅をつき慌てて倒れている二人の方へ逃げて行く。

仮面の男性はご主人様と呼んでいた人を抱きかかえたままこちらに向かってくる。

「お二人さん。ご主人様を助けてくれたみたいでありがとなぁ~」
「あ、あの…助けていただきありがとうございました…。セシリオ…。ちゃんとお礼したいから降ろして」
「えぇ~~ご主人様を自由にしたら、また厄介ごとに巻き込まれてしまうから嫌なんだけど。このまま俺に抱っこされてた方が安全だと思うんだけどなぁ~」

セシリオと呼ばれた仮面の男性は渋々ご主人様と呼んでいた人を降ろす。

セシリオさんは白黒のツートンカラーの髪にピョコっとふわふわの白い豹柄の耳、ローブの下からは長い尻尾が見えていて…雪豹の半獣人だった。


「あの…本当にありがとうございました。僕はフィウスと言います。よかったらお礼をしたいのですが…夕食をご馳走させてもらえませんか?」

フィウスさんは俺達に深々と頭を下げてお礼をしてくれる。

フィウスさんは薄顔のタレ目でヒョロっとした体型をしている。
どこか疲れた顔をしていて苦労が多そうな幸が薄い雰囲気の人だ。
この世界だと…儚げな美人系になるのかな?いや可愛い系か?

「そんな気にしないで下さい。俺達は通りがかっただけですし、特に何もしてないので…」
「まぁまぁそう言うなって!せっかく同じ半獣人にも出会えたし飯くらいご主人様に奢られておけって!」
「セシリオ!そんな馴れ馴れしく話しかけたりしない!」

セシリオさんはフィウスさんに怒られながら、エルへと目線を向けてニカッと笑いかける。

「じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて、夕食ご馳走になります」
「お~よかったよかった!じゃあ、ご主人様!腹も減ったし早く飯いきましょ~」
「ちょっとセシリオ…。はぁ…。すみません」
「いえいえ。気にしないで下さい」

フィウスさんは困った顔をしてセシリオさんへと目を向けて何度目かのため息をついた。

セシリオさんはそんなフィウスさんの事など気にせずに手を引きながらお店へと向かい、俺達はその後ろをついて行った。
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