美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

文字の大きさ
上 下
124 / 181
本章

104話:再会 ③

しおりを挟む
「んっ……」

ようやく開くようになった重い目蓋をなんとか開き俺は目を覚ます。
頭の中がまだスッキリしないが、猛烈に眠たかったあの時よりはマシだ。

まだ完全復活とは言い難いので、いつも寝ているベッドよりもふわふわでいい匂いのする布団にくるまりボーっとする。

というか…俺は今どこにいるんだ?

頭の中を整理して気を失うように眠ってしまった最後の場面を思い浮かべる。
クリスと話して、お菓子食べて、おかしい位に眠たくなって…クリスが医者に見せてくれるとか言ってたから病院とか?

布団の中から顔を出して辺りを見渡す。
部屋はロイヤルブルーで統一された家具が並び気品溢れる雰囲気を醸し出している。壁や棚にはお高そうな絵画や壺などが飾られており、病院ではない事は一目瞭然だった。

えーっと…病院じゃないならクリスの部屋?
え?クリスってもしかして金持ちなの?そーいえば、今日着てた服とか金持ちっぽかったけど…クリスの仕事って森を守る番人じゃなかったか?結構に給料高いのかな?

そんな事を考えながら体を起こしてベッドから降りる。まだ少しふらつくが、なんとか一人で歩けそうだ。

あの眠気は一体なんだったのだろうか…?何か変な病気じゃないといいけど…。

他に異変がないか体を動かし確認がてら部屋を散策する。部屋は無駄に広いし家具もアンティークっぽくて高そう…。
部屋の窓から外を見るが辺りは暗くよく分からないが、遠くの方にポツポツと灯りが見える。多分、今いる場所は大きな建物の中だということはわかった。

俺が部屋の中をウロウロしていると、コンコンとドアを叩く音がする。

「あ…はーい」
「カオル。私だ。開けるよ」

ドアの向こうからはクリスの声が聞こえ俺が返事をするとドアが開く。

「もう歩けるんだね。よかったよ」
「うん。まだ少しぼんやりするんだけどね…。お医者さん俺の体の事何か言ってた?」
「体はとくに問題はないみたいだよ。多分、疲れが溜まっていたんだね」
「そっか…俺、疲れるような事何かしたかなぁ…?」

なんとなく負に落ちないが医者がそう言うなら信じよう。

「クリス色々ありがとうな。今部屋の中を歩いてみたけど体も大丈夫みたい!」
「そう。それはよかった…」
「ここってさ、スリランから遠いの?アルクさんとエルを待たせてるから帰ろうと思うんだけど…」

俺が『帰る』と言うと、クリスの雰囲気が変わる。顔はニコニコしてんのに…なんだか怖い。

「もう夜も遅いから帰るのはオススメできないかなぁ…。それに、アルクさんとエルくんには私から連絡を入れているから大丈夫だよ。二人とも今日は帰ってこない方がいいって言っていたからね。今日は泊まっていくといいよ」
「そっか…。ありがとうなクリス!じゃあ…お言葉に甘えて…」

俺がそう答えると、クリスは嬉しそうに「カオル。お腹とか空いてない?お風呂がいい?」と、俺の世話を焼き始める。


なんだか、あの森で二人仲良く一緒に暮らしていた最初の頃を思い出し懐かしくなった。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

処理中です...