美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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46話:ご主人様と俺 ② 〜ディランSide〜

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「ごーしゅーじーんーさーまーー!」

ソファーで寝ていた私の上に何故かカオルが跨っている。
しかも凄く怒った顔で…

「俺との約束忘れてたでしょ?…まぁ俺が先に寝ちゃったのも悪いんですけど。という事で今からご奉仕いいですか?」

そう言うと私のズボンへと手を伸ばしだしたので慌てて止める。
この様子だと洗脳はまだ解けていないか…

起き上がりカオルの格好を見れば昨日のTシャツ一枚のままで…
跨っているもんだから下着が丸見えで…
目のやり場に凄く困る。

「カオル待ちなさい…そういう事は夜やるものだ…」
「えぇぇ…俺ご奉仕したいのに…」

カオルを直視しないように目を背けながら注意すると拗ねながらも私の上から降りていく。

しかし…こんな事が洗脳が解けるまで毎日繰り返されてはたまったものではない。

「カオルの気持ちもよく分かるが、いつでもどこでもやるのは私は好きではないんだ」

私の言葉にカオルは顔を悲しげに曇らせる。
少し言いすぎてしまったか。
だがこれくらい言わないと…

「じゃあ…ちゃんと決めたらいいですか?」
「まぁ…そういう事だな…」
「それなら毎晩ベッドでご奉仕って事でいいんですよね?ちゃんと時間も場所も決めたからこれでいいですよねご主人様?約束しましたもんね?」

カオルが鬼気迫る表情で言ってくるものだから私は「そうだな…」と答えることしかできなかった…。

「ふふ。今日の夜が楽しみだなぁ~」

ウキウキとしているカオルを見て今日も睡眠薬を使わないといけないのかと頭を抱えた。




「ご主人様、何処かへ出掛けるんですか?」

朝食を済ませてギルドへと向かう支度をしているとカオルが少し心配そうな顔をして聞いてくる。

「あぁ、今日も仕事に行かないといけないからな」
「俺は…留守番ですか?」
「いや、一緒に連れて行く予定だよ」

カオルは離れなくていいと分かると嬉しそうに笑顔を見せ私に抱きついてきた。


ギルドでの仕事は今まで外に出ることも多かったのだが、今はカオルもいるので私は部屋に籠もって溜め込んでいた報告書の整理など行うことにした。
散々溜め込んでいたのでかなりの量が積み重なっているな…

カオルは来客用のソファーで大人しく座っていたが1時間程して私の机の方へとやってくる。

「ご主人様。俺、邪魔しないから隣にいていいですか?」

カオルが寂しそうな顔をして言うので「いいよ」と言って書類を来客用のソファーへ持っていき隣同士に座り仕事を再開するのだが…

ここで問題が発生する。


カオルはソファーに座るなりピッタリと横にくっつき私の顔をじぃーっと見てくる。
「どうした?」と、顔を向け目を合わせると嬉しそうにふにゃりと微笑むのが可愛くて可愛くて…

仕事にまったく集中できない。

いつもの倍の時間がかかりながら仕事をしているとカオルは眠そうにうつらうつらしている。

「カオル寝ていてもいいよ」
「ん…はい…」

カオルはモソモソと動き私の膝の上にちょこんと頭を乗せて眠ってしまう。

……か、可愛いぃ。

それからもカオルの寝顔を見ながら仕事をしていたので、やはり仕事は捗らなかった…。


どうにか仕事を一通り片付け終わるとカオルが目を覚ましたので食事をとりに食堂へと向かう事にする。


「……カオル!あぁ…よかった無事で…」

食堂の店員リオが嬉しそうにカオルの元へとかけよる。
リオにも簡単に状況は伝えているが、かなり心配していたのでカオルに会えてとても喜んでいた。

「えーっと…ご主人様この人は?」
「カオル……俺の事覚えてないのか…?」
「リオすまない。まだ記憶が戻っていないんだ。カオルこの子はお前の友達のリオだよ」
「俺の友達……そうなんだ…」

やはりあんなに仲が良かったリオのこともカオルは覚えていなかった。
カオルも友達の事まで忘れていた事がショックだったのか少し悲しい表情を見せる。
そんなカオルを見てリオはカオルの手を取り声をかける。

「カオル。また俺と友達になってくれる?」
「いいの?俺、リオくんのこと覚えてなかったのに…」
「気にするなよ。記憶戻らなくてもカオルは俺の大切な友達なんだから。それに『くん』とか付けるなよ…なんか変な感じするからさ」
「うん…分かったよリオ」

リオの言葉にカオルは嬉しそうに笑顔を浮かべていた。


それから食事を済ませて家に帰り着くとカオルは私の腕をガッチリ掴んでくる。

「ご主人様!今日こそは俺にご奉仕させて下さいね!さぁ、お風呂に入ったらベッドに行きましょう!」

ウキウキしながら入浴の準備をして風呂へと向かって行くカオルを見送り今日も睡眠薬を取り出す。

「カオル…すまん……」


次の日の朝、また寝落ちしてしまった事を悔やむカオルを慰めたのは言うまでもない。
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