美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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本章

38話:ギルド見学

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今日は前にバルドさんと約束していたギルド『アトラース』への見学へとやってきた。

まぁギルドへは誰でも気軽に行けるのだが異世界人の俺はやはりギルドなんて慣れなくて少しドキドキしている。

大きな木の扉を開け中に入ると冒険者で賑わっていた。アトラースは仮面を付けた人が多くいる。
皆、冒険者という事もあって鍛えられた肉体の人も多く…

つまりはイケメンと筋肉のコラボレーション。
マジ眼福…。


この前出会ったギルバートさん達は仮面を付けない人達が多く利用しているギルド『グリッター』を拠点としているらしい。
ギルド同士では表立って対立はしていないが、所属している冒険者同士でのいざこざはあるようだ…。


そんな事を思い返しながらギルド内の待合い室でバルドさんを待っていると、待合い室のドアが開きバルドさんとディランさんがやってきた。

「カオル待たせたな」
「ディランさん、バルドさんこんにちは。お邪魔します」

挨拶を済ませるとバルドさんは申し訳なさそうな顔をして謝ってくる。

「カオルすまない…。せっかく来てもらったんだが急な依頼が何故か・・・俺指定で入ってな…変わりにディランさんが俺の変わりにギルドを案内してくれるそうだ」

バルドさんはそう言うと少し恨めしそうにディランさんへと目線を向ける。
ディランさんは俺に和かな笑顔を見せながら「カオルよろしくな」と言ってくれた。

「そうなんですね…バルドさん残念ですけど仕事頑張ってください!ディランさんよろしくお願いします」
「気になった事があれば何でも聞いてくれ。さぁバルドはさっさと仕事に向かわないと依頼主に迷惑かけるぞ」
「はいはいはい…じゃあなカオル。…ディランさんカオルをよろしくお願いしますね」

そう言うとバルドさんは俺に手を振って依頼先へと向かっていった。


「ところでカオルはギルドで何を見たいんだ?見るといっても特段何もないんだがなぁ…」
「えーっと…俺、冒険者の仕事の事とか知りたいのと魔道具とか見てみたくて…」
「そんなものでいいのか?じゃあ私の後についておいで」

ギルドの中を案内されながら魔道具を管理する部屋へと到着する。
棚にズラリと並べられた魔道具を見て俺は興奮する。

「何がなんだか分からないですけど…凄い感じがします」
「はは。ここいらのは駆け出しの冒険者達が練習用に使うものが多いんだ。戦闘用の魔道具に慣れるのには少しコツがいるからな」

そう言うとディランさんは一本の剣を手に取りブツブツと呟くと剣は炎を纏いだす。

「凄っ!!」
「この剣には炎の属性魔法が埋め込まれていて魔力量によって炎の熱量を変化できるんだ」

ディランさんは魔力を一気に流し込み炎はさらに大きくなる。
俺は目を輝かせながらその現象をずっと見ていた。

「カオルは魔力はどれくらいあるんだ?」
「俺ですか?…調べた事ないので分からないです」
「じゃあ、この際だから調べてみるか?」
「いいんですか!?」

ディランさんは部屋の奥からガラスの球体を持ってきて机の上に置く。

これはよく異世界モノで出てくる魔力測定器ではないだろうか。
このパターンでいくと…

俺は実はもの凄い魔力を内に秘めていて、手をかざすととんでもない光を放ちガラスの球体は粉々に割れる…。

それを目にしたディランさんに

「まさか…こんな事が起きるなんて…。こんなにも魔力が強い者は今まで見たことがない。カオル…この事は誰にも言うんじゃないぞ」
「えぇ!?俺にそんな力が!!」

俺は戸惑いながらも、この力を正義の為だけに使うと決意する…。



…よし。脳内リハーサルは完璧だ。
いつでもどんとこい。

「カオルじゃあここに手をかざしてみてごらん」
「…はい」

俺はドキドキしながらガラスの球体に手をかざしていく。


「…………。」

ガラス玉は何も反応しない。
これはアレか?逆に何も無くて凄い系のヤツか?

俺がそう思っているとディランさんが言いにくそうに話しかけてくる。
…その感じで大体何を言われるか想像できてしまいましたよディランさん。

「残念だがカオルには魔力は無いようだな」
「俺もなんとなくそうなんじゃないかと思いました…」

ハァ…と、ため息をつくとディランさんに「あまり気にするな」と、慰められ頭を撫でられる。
大きな手と俺を優しく見つめてくれる少しタレ目がちの瞳に傷ついた俺の心も癒されていく。

あぁ…イケメンって凄いな。
ホストクラブに心を癒されに行く女性の気持ちが今なら分かる気がする。

そんな事を思いながら俺は大人しくディランさんのナデナデを堪能させていただいた。


その後も冒険者の仕事の事など色々とディランさんから話を聞き気がつけば日は暮れていた。

「うわ…もう夕方。ディランさん今更ですけど俺とずっといて大丈夫だったんですか?仕事とか…」
「あぁ。今日は仕事を休むと言っていたから大丈夫だ。気にするな。それより腹も減っただろう?夕飯を食べに行こう」
「はいっ!」

それからはいつものようにリオの食堂へと行き一緒にご飯を食べて俺を宿まで送ってくれた。

「今日は本当にありがとうございました。凄く楽しかったです」
「カオルが喜んでくれて嬉しいよ…。なぁカオルにとって私はどんな存在…かな?」
「え…?」

いきなりの質問に俺は戸惑う。
ディランさんの存在はホッコリ系癒し担当です!なんて言ったら怒られるよな。
どう伝えたらいいかなぁ…

「ディランさんは俺にとって心の安らぎというか…一緒にいると凄く心が落ち着きます。優しいしカッコいいし…ディランさんの笑った顔とか凄く好きです」

自分で言っててちょっと恥ずかしくなってエヘヘと照れ笑いしてしまう。
ディランさんも俺の言葉を聞いてどこか恥ずかしそうにしている。

「そうか…私もカオルと同じ気持ちだ。カオルの笑顔は凄く可愛くて…とても好きだ」

そしてまたディランさんと俺は互いに恥ずかしがりながら照れ笑い。

なんだこの感じ。
付き合いたてのカップルかよ。


道行く人に変な目で見られている事も気付かずに俺とディランさんは2人して宿屋の前でエヘヘと笑い合っていた。
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