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本章
42話:夜空を翔ける 〜ディランSide〜
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~ディラン視点~
「ディランさん。カオル見ませんでしたか?」
日も暮れ私が食堂へとやってくるとリオが不安げな顔をしながらカオルの事を聞いてくる。
「いや…今日は朝に会ってからは見ていないが」
「そうですか…」
「カオルがいないのか?」
「はい。今日遊ぶ約束してたんですけど待ち合わせ場所にいなくて…ずっと待ってても来ないからカオルの宿に行ったら朝出かけてから帰ってきてないって言われて…」
リオはとても心配している様子で「もう少し周り探して来ます!」と外へと行ってしまう。
リオの話を聞いて胸騒ぎがする…
…そういえば今日はギルバートの姿を見ていない。
あんなに毎日嫌がらせのように来ていたのに…
まさか…
私はいても立ってもいられずギルドへと魔道具を取りに戻る。
ギルバート達サンクチュアリが拠点としている場所はいくつかあり、その中でも人気がなく人を隠せそうな場所が一箇所ある。
スリランから北東に進んだ場所にある森の中にサンクチュアリが密かに使用しているコテージがあったはず…
私は飛行魔道具を使用してそのコテージがある森まで飛んだ。
辺りはすでに日が暮れていた。
周りに明かりがない森は暗闇に包まれている。そんな森の中にポツンと明かりがついている場所が見える。
「あそこか…」
見つからないようにコテージへと向かう。
馬車などは見当たらず人の気配もあまりしない。
明かりが漏れている窓は鉄格子がはめられていて何か異常さを感じる。
そっと中を覗くと……洗脳の魔道具を付けられたカオルが見えた。
言葉にできない怒りがふつふつと湧き上がり拳をギュッと握りしめる。
…ダメだ。今は冷静に行動しないと。
カオルを助け出す事が最優先だ。
コテージの周囲に誰もいない事を確認し中へと侵入していく。
見張りなどもおらず、すんなりとカオルのいる部屋まで辿り着き少し拍子抜けするが気を緩めてはいけない。
部屋の扉を開くと頭に魔道具を付け手足を拘束されベッドに座り込んでいるカオルの姿が見える。
「カオル!」
部屋へと入りすぐにカオルの元へとかけよる。
私の声に反応して顔をこちらへと向けてくるが表情は虚だ…
「……?」
「カオル…無事だったか…。助けに来たぞ」
「??あなたは誰?」
「カオル?私が分からないか?」
「分からない…です…」
くそ…
カオルには強力な洗脳がかけられていて、すでに記憶まで失ってしまっていた。
どんな内容の洗脳をかけられてしまったのか…
私は不安になった。
頭に付けられた魔道具をそっと取り外すとカオルの真っ黒な瞳が私を見つめてくる。
「あなたが……俺のご主人さま?」
「ご主人様?…何を言っているんだカオル…」
「違うの?俺…ご主人様とエッチしなくちゃいけないから…ご主人様を探さないと…」
「なっ!?」
「カオルはね…性奴隷で…淫乱で…えっちが大好きなんだよ」
カオルはエヘへといつもの可愛い笑顔を見せながらとんでもない事を言ってくる。
私はカオルにこんな洗脳をかけたギルバートに殺意を覚えた。
「早くご主人様探さないと…コレ外してもらえますか?」
カオルは拘束された手足を私に差し出してくる。
手足の縄を外すと少し赤くなり痕が残っていた。
「ありがとうございました」とカオルは笑顔で私にお礼を言うと『ご主人様』を探しているのかキョロキョロと辺りを見回す。
このままではカオルはずっと『ご主人様』を探し続けるだろう…
カオルを守る為私が出来ることは…
私は覚悟を決めた。
「カオル…私がカオルのご主人様になってもいいか?」
「ん?あなたが俺のご主人様になってくれるの?」
「そうだよ」
「……嬉しい。じゃあご主人様…俺とエッチしましょう?」
そう言うと私の首に手を回してカオルは頬や首筋にちゅっちゅとキスをしてくる。
もう……たまったものではない。
「カオル!待て…待つんだ!今は早くこの場所から離れなくてはいけない。だから私と一緒に外へ逃げるんだ」
「ご主人様……お外でえっち?」
「いや…外ではしない…」
なんなんだこれは……私の理性が試されている。
カオルに外ではしないと言うと少し拗ねた顔を見せてくる。
「じゃあ違う場所でしてくれますか?」
「あ、あぁ…してあげよう」
これはカオルを助ける為の嘘なのだが…私の言葉に顔をパァっと明るくして喜ぶカオルを見ると罪悪感を感じてしまう。
「本当!?嬉しい!じゃあ早く行きましょうご主人様!」
「あぁ。カオル…一緒に帰ろう…」
私はカオルを抱きかかえコテージを出ると飛行魔道具を使い夜空を翔けていった。
「ディランさん。カオル見ませんでしたか?」
日も暮れ私が食堂へとやってくるとリオが不安げな顔をしながらカオルの事を聞いてくる。
「いや…今日は朝に会ってからは見ていないが」
「そうですか…」
「カオルがいないのか?」
「はい。今日遊ぶ約束してたんですけど待ち合わせ場所にいなくて…ずっと待ってても来ないからカオルの宿に行ったら朝出かけてから帰ってきてないって言われて…」
リオはとても心配している様子で「もう少し周り探して来ます!」と外へと行ってしまう。
リオの話を聞いて胸騒ぎがする…
…そういえば今日はギルバートの姿を見ていない。
あんなに毎日嫌がらせのように来ていたのに…
まさか…
私はいても立ってもいられずギルドへと魔道具を取りに戻る。
ギルバート達サンクチュアリが拠点としている場所はいくつかあり、その中でも人気がなく人を隠せそうな場所が一箇所ある。
スリランから北東に進んだ場所にある森の中にサンクチュアリが密かに使用しているコテージがあったはず…
私は飛行魔道具を使用してそのコテージがある森まで飛んだ。
辺りはすでに日が暮れていた。
周りに明かりがない森は暗闇に包まれている。そんな森の中にポツンと明かりがついている場所が見える。
「あそこか…」
見つからないようにコテージへと向かう。
馬車などは見当たらず人の気配もあまりしない。
明かりが漏れている窓は鉄格子がはめられていて何か異常さを感じる。
そっと中を覗くと……洗脳の魔道具を付けられたカオルが見えた。
言葉にできない怒りがふつふつと湧き上がり拳をギュッと握りしめる。
…ダメだ。今は冷静に行動しないと。
カオルを助け出す事が最優先だ。
コテージの周囲に誰もいない事を確認し中へと侵入していく。
見張りなどもおらず、すんなりとカオルのいる部屋まで辿り着き少し拍子抜けするが気を緩めてはいけない。
部屋の扉を開くと頭に魔道具を付け手足を拘束されベッドに座り込んでいるカオルの姿が見える。
「カオル!」
部屋へと入りすぐにカオルの元へとかけよる。
私の声に反応して顔をこちらへと向けてくるが表情は虚だ…
「……?」
「カオル…無事だったか…。助けに来たぞ」
「??あなたは誰?」
「カオル?私が分からないか?」
「分からない…です…」
くそ…
カオルには強力な洗脳がかけられていて、すでに記憶まで失ってしまっていた。
どんな内容の洗脳をかけられてしまったのか…
私は不安になった。
頭に付けられた魔道具をそっと取り外すとカオルの真っ黒な瞳が私を見つめてくる。
「あなたが……俺のご主人さま?」
「ご主人様?…何を言っているんだカオル…」
「違うの?俺…ご主人様とエッチしなくちゃいけないから…ご主人様を探さないと…」
「なっ!?」
「カオルはね…性奴隷で…淫乱で…えっちが大好きなんだよ」
カオルはエヘへといつもの可愛い笑顔を見せながらとんでもない事を言ってくる。
私はカオルにこんな洗脳をかけたギルバートに殺意を覚えた。
「早くご主人様探さないと…コレ外してもらえますか?」
カオルは拘束された手足を私に差し出してくる。
手足の縄を外すと少し赤くなり痕が残っていた。
「ありがとうございました」とカオルは笑顔で私にお礼を言うと『ご主人様』を探しているのかキョロキョロと辺りを見回す。
このままではカオルはずっと『ご主人様』を探し続けるだろう…
カオルを守る為私が出来ることは…
私は覚悟を決めた。
「カオル…私がカオルのご主人様になってもいいか?」
「ん?あなたが俺のご主人様になってくれるの?」
「そうだよ」
「……嬉しい。じゃあご主人様…俺とエッチしましょう?」
そう言うと私の首に手を回してカオルは頬や首筋にちゅっちゅとキスをしてくる。
もう……たまったものではない。
「カオル!待て…待つんだ!今は早くこの場所から離れなくてはいけない。だから私と一緒に外へ逃げるんだ」
「ご主人様……お外でえっち?」
「いや…外ではしない…」
なんなんだこれは……私の理性が試されている。
カオルに外ではしないと言うと少し拗ねた顔を見せてくる。
「じゃあ違う場所でしてくれますか?」
「あ、あぁ…してあげよう」
これはカオルを助ける為の嘘なのだが…私の言葉に顔をパァっと明るくして喜ぶカオルを見ると罪悪感を感じてしまう。
「本当!?嬉しい!じゃあ早く行きましょうご主人様!」
「あぁ。カオル…一緒に帰ろう…」
私はカオルを抱きかかえコテージを出ると飛行魔道具を使い夜空を翔けていった。
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