美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

文字の大きさ
上 下
49 / 181
本章

34.5話:イケメン店員の事情〜リオSide〜②

しおりを挟む
買い物当日。
俺はお気に入りの服屋へとカオルを案内していく。
色んな服を試着しながら「どうかな?」と俺に聞いてくるカオルに俺は終始頬が緩みっぱなしだった。

「似合ってる」って言うと恥ずかしそうに照れるところとか凄く可愛い!

服屋で何着か購入して、今度着てくるからと嬉しそうに話してくれて次はどこに…と言っている時だった。


「あ。おいリオ…なんでこんなところにいるんだよ」

今一番聞きたくない声が聞こえる。
何故か俺に突っ掛かってくるモウルーネ男爵兄弟。

いつものように俺をけなす言葉を言ってくるがカオルもいるので耐える。
カオルは怒った顔をして俺を見てくるが「大丈夫だから」と言って笑ってみせる。

俺が我慢すればいいだけなんだ…
こんなのいつもの事……
拳を握り締めながら相手が飽きて帰るのを待っていた時だった。


「おい!そこの2人!リオは醜くも気持ち悪くもない!カッコいいんだよ!それに…童貞でもねーんだよ!!……俺達は付き合ってるんだからな!」

カオルの言葉に俺もモウルーネ男爵の兄弟も唖然としてしまう。
驚いているとカオルの手が俺の頬へと伸びてきてカオルの方へと顔を向けると…

カオルの顔が…唇が…え?何?何が起こった?

気がつけばカオルの宿まで手を引かれ連れていかれる。
宿に着くなりカオルは申し訳なさそうにさっきの事を謝ってくるが…全然問題ない。

むしろ俺なんかとキスして…嫌じゃないの?
そう思って聞いてみると「嫌じゃないよ」と答えてくれて…嬉しくて思わず抱きしめる。

もう一度キスして欲しかてお願いするとカオルは笑顔でキスをしてくれる。


あぁ…もう…カオル好きだぁ…

カオルのキスで惚けていたが、モウルーネ男爵の事はきちんと説明しておかないといけないと思い今までの事を話す。
またアイツらが来た時の事も考えて一応付き合ったフリをすることになった。

偽の恋人同士でもカオルと付き合っていると思うと嬉しい…。


翌日、いつものように食堂で働いていると…
モウルーネ兄弟がやってきていた。

「おいリオ。昨日の黒髪の青年は何処にいる」

相変わらず傲慢な態度。
もうすぐ昼飯時…カオルが来る前追い払いたい…

「さあな。アイツはここには来ないよ。…早く帰ってくれ」
「ふん。どうだかな。今日はアイツが来るまでここにいる」
「えぇ…兄さん…こんな所早く出ようよ…」


そうだ弟。早くそいつを連れて帰れ。
帰ろう帰ろうと催促する弟を無視して居座る兄…はっきり言って迷惑だ。

俺が横を通ればグチグチといつものように文句を言ってくるが無視する。
お前に付き合っていられる程暇じゃないんだ。

そうこうしてるとカオルが店にやって来てしまった…

「あ。リオ~今日の昼飯……げっ!」

カオルは男爵兄弟を見つけてあからさまに嫌な顔を見せる。
一方兄はカオルを見つけると、いかにも嬉しそうな顔をしてカオルに詰め寄る。

「なぁ…お前はリオに脅されて付き合ってるんだろう?」
「あのなぁ…リオの事が好きで付き合ってるに決まってるだろ!」

店の中がカオルの一言で騒つく…
何人かの常連は俺を睨んでくるが…俺だって皆の前でこんな事言われてビックリしてるんだから睨まないで欲しい。

男爵兄は泣きそうな顔で何も言わずに走り去っていく。


「なんなんだよアイツ…」
「さぁ…何がしたいんだろうな…」

…多分、男爵兄はカオルの事が気になってるんだろう。
性格は最悪だが俺よりもずっといい見た目のアイツがカオルに興味を持っているのは、あまりいい状況ではない。
もし…男爵兄がカオルに手を出してきたら…

カオルを奪われてしまう事に俺は怖くなってしまっていたが…そんな考えはすぐに消える。

毎日毎日俺達の前に現れる男爵兄弟は懲りもせずカオルに

「リオの事なんて本当は嫌いなんだろう?」
「あんな醜いやつの何処がいいんだ?」

など、聞いてくるものだからカオルはいつもイライラしながら答えていた。

「だーかーらー…俺はリオが好きなんだよ!」

嘘だと分かってても毎日カオルから「好き」だと言われると凄く嬉しい気持ちになる。
カオルには悪いが……ほんの少しだけ毎日やって来るあのクソ兄弟に感謝してしまっていた。



それからカオルと恋人キスの練習や、風呂に入った時には互いに抜きあったり…
そしてついに今日はカオルと繋がってしまった。

俺の上で腰を振るカオルは本当に可愛くてやらしくて…たまらなかった。


俺とカオルの関係はきっと友達だ。
あるいはセフレか…

それ以上になりたいけれど…
身分が高い訳でもない、金持ちでもない、顔も良くない…。
臆病な俺は自分の気持ちなど伝えられなかった。

でもそれでもいいんだ。
ずっとずっとカオルの側にいられればそれでいい。

俺は親友という形でカオルを離さないから。


しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

処理中です...