上 下
45 / 181
本章

32話:友情とカミングアウト ①

しおりを挟む
「なぁ…リオってどんな事されたら嬉しい?」
「嬉しいって…例えば?」
「ん~エッチの時…」
「はぁ!?」


俺の部屋でリオとまったり過ごしていた午後の昼下がり。
2人でベッドの上でゴロゴロしながらたわいのない話をしている時に俺は軽い気持ちで最近の悩みをリオにぶつけてしまう。

「エッチって…この前まで誰とも付きあったこと無いとか言ってたけど、誰かと付き合いだしたのか?」

…そう言えばリオにそんな事言ったな。
俺はなんと答えていいか迷い、何も考えずに聞いてしまった事を後悔する。
俺があたふたしながら言い訳を考えていると、リオはじっと俺を怪しむような目線を向けてくる。


「なぁ……カオルって普段仕事は何してるんだ?」
「え!?あ…あのぉ……」

いきなり仕事の事を聞かれてさらに言い淀む俺に向けられるリオの真っ直ぐな視線が痛い…。


リオには正直に娼夫だって言っちゃっていいのかな?
でも……軽蔑されるかな?
そんな奴と友達なんて嫌だって言われたらどうしよう…
リオに嫌われたら俺…俺……

そんな事を考えてたらどんどん不安になり…涙が溢れてきそうになった。

「カ、カオル!?なんで泣くんだよ!?」
「ぐすっ…ごめんリオ…。俺……娼夫なんだよ…黙っててごめん…」
「なんで謝るんだよ…。泣かなくていいよカオル…」

リオは申し訳ないって顔をして優しく頭を撫でてくれる。

「俺…リオに嫌われたくなくて隠してたんだ…」
「そっか…俺こそ無理矢理聞いてごめん。実はカオルは……そうなんじゃないかなって思ってたんだ。でも俺は別にカオルが娼夫でも嫌いにならないからな!」

真っ直ぐに俺を見て嫌いにならないと言ってくれるリオを見て安心すると、さらに涙がポロポロ…

「りおぉぉ~」
「カオル泣くなって…」

リオは泣きじゃくる俺をギュッと抱きしめて優しく撫でてくれる。

「さっき聞いてきた事って仕事の事で悩んでるのか?」
「…うん。俺、経験が少ないからいつもお客さんの方が俺を気持ちよくしてくれてて…」
「う、うん…」

それから俺はリオにアルクさんとどんな感じでエッチをしているか悩みを話していく。
リオは顔を真っ赤にしながらも真剣に話を聞いてくれた。

「つまり…もっと気持ち良くなってもらう為に色んなことを試してみたいけど、お客さんで試すのは気が引けるって事?」
「うん…」
「なるほどなぁ…娼館にいたら他の娼夫に聞いたり最初の研修でそういうの教えてもらえたりしてもらえるもんな」
「そうなんだ…」

なるほど…娼館にはそんなメリットもあるのかと納得する。

「娼館に入って研修受けてすぐ辞めたりとかできないよなぁ…」
「そんな事して近場で客とってたら後で娼館側からどんな嫌がらせされるか分からないな…」

怖っっ。でも…そうだよなぁ……
ハァ…とため息を付いているとリオがじぃっと俺の事を見てポツリと呟く。


「なぁ……カオル…俺と練習するか?」





しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!

柑橘
BL
王道詰め合わせ。 ジャンルをお確かめの上お進み下さい。 7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです! ※目線が度々変わります。 ※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。 ※火曜日20:00  金曜日19:00  日曜日17:00更新

ある日、人気俳優の弟になりました。2

樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

処理中です...