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本章
27話:ご飯と友達 ③
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「リオお待たせ!」
「おー!俺も今来たところ」
今日はリオと買い物の約束をしていた日。
俺の服はクリスの家から持ってきた数枚しかなくて、服をどこで買ったらいいかリオに相談すると買い物に付き合ってくれると言ってくれた。
いつもはTシャツで店中を駆け回っているリオしか見たことがなかったが、シャツ1枚変わっただけでなんだか雰囲気が違う。
身長は俺より少し高いくらいなのに手足が長くて白シャツ一枚羽織っただけで滲み出るオシャレ感。
服を着こなすとはこういう事なのか…
赤髪にルビーの瞳に猫顔のリオはどちらかというと可愛らしい系だと思っていたが、普段とは格好が違うだけでカッコいい感じにもなるイケメンが羨ましい…。
「じゃあカオル行こうか」
「うん!」
友達と遊ぶなんて久しぶりすぎて俺は昨日からワクワクしていた。
スリランの町は通りによって店も雰囲気も違う。
俺達が普段過ごしている通りは食堂や飲み屋、娼館と夜にかけて活気が出てくる。
今歩いている通りは服や雑貨などの店が多く立ち並び昼間の人通りは多いが落ち着いた雰囲気の場所だ。
「ここの店は値段は少し高いけどいい服が多いんだ」
そう言って店の中に入っていくと今日リオが着ている服に似たデザインの服が売られている。
「俺に似合う服あるかな…」
リオのような体型ではない俺は若干の不安を感じる。
「大丈夫だって!試着すればしっくりくる服が見つかるから」
そう言うとリオは俺に合いそうな服を数着持ってきてくれて何度も試着をさせられた。
「カオルこの服似合ってるよ!」
「そうかなぁ~」
リオに褒められるとちょっと照れてしまう。
さっそくリオが選んでくれた服を数着購入して店を後にする。
じゃあ次はどこに行こうか?…と、話をしていた時だった。
「おいリオ…。なんでこんなとこにいるんだよ」
後ろから声をかけられ振り向くと意地悪そうな顔をしたでっぷりと太った男達が立っていた。
「…なんだよ文句あるのかよ」
リオがイラっとした口調で声をかけてきた男達に言い返すと、でっぷりと太った男(略してデブ男)達は次々にリオを傷付けるような言葉を吐いてくる。
「お前みたいな醜い奴が服なんて気にしてもしょうがないんだよ。さっさとあの薄汚い食堂に帰れ」
デブ男1号がそう言えばデブ男2号がゲラゲラと笑いながら「そうだそうだ」と囃し立てる。
なんだよコイツらぁぁあ!!
「なぁ…リオ…」
俺は腹が立って何か言ってやろうかと思ったがリオは「大丈夫だから」と俺に優しく笑いかけて止めてくる。
「お前がいくら綺麗に着飾っても意味ないだろ。どうせ気持ち悪がられるんだから。おい。隣にいる可愛いアンタも早くそいつから離れた方がいいぞ。童貞は何してくるから分からないからなぁ~」
デブ男1号と2号は下品な笑い声をあげてリオの事をバカにする。
リオは怒りを抑えるように拳を握りしめていて…
俺はもう我慢の限界だった。
「おい!そこの2人!リオは醜くも気持ち悪くもない!カッコいいんだよ!それに…童貞でもねーんだよ!!……俺達は付き合ってるんだからな!」
俺は怒りのあまり訳の分からない事を口走るとリオの顔を俺の方へ向けるとデブ男達の前で…
むちゅっ!とキスをする。
「リオ行こう!」
「あ…あぁ…」
呆然とするデブ男達を置き去りにして俺はリオの手を引いて宿の方へと歩いて行く。
そのままリオを俺の部屋まで連れて帰る頃には少し冷静になり自分がリオにとんでもないことをしてしまったと気付く。
「あの……リオ…。さっきはごめん。俺あいつらが許せなくてリオにひどい事しちゃった…」
ムカついたからと言ってリオにキスしたのはいけなかった…。
でも、挨拶でキスとかしてるだろうから…まぁ大丈夫だよな?
だって童貞をバカにする事は、個人的にも許せないし。アイツらを信じさせるにはキスして見せつけてやるのが一番だと思ったわけで…
頭の中でグルグルと言い訳が回る。
「ううん。いいんだよ。カオルが言ってくれた言葉嬉しかったし」
そう言うとリオはニコっと笑ってくれる。
よかった…怒ってなかった…。
「それとさ…確認なんだけど、カオルは俺とキスするの嫌じゃないの?」
リオとキスするのは…別に問題ない。
友達になったら挨拶のキスくらいするだろうし。
「リオとのキスは嫌じゃないよ」
そう言うと、頬を少し赤くしてリオが嬉しそうに俺を抱きしめてくる。
「なぁ、もう一回キスしていいか?」
「ん?いいよ」
これは感謝のキス?
そう思いながらリオの唇にちゅっとキスをする。
キスし終わるとリオは少し潤んだ熱っぽい視線で俺を見つめてくる。
「さっきの2人は前から俺に絡んでくる貴族の息子達なんだ。少しは言い返すんだけど平民の俺は我慢するしかなくて…カオルが言い返してくれて嬉しかった。けど…アイツらに付き合ってるって言ったから落ち着くまで付き合ってるフリしてもいいか?違うってバレるとカオルに何してくるか分からないし…」
げっ…あのデブ男2人は貴族だったのかよ。
だからリオは何言われても我慢してたのか…
「うん、わかった!任せてくれよ!」
と、大口叩いてみたものの……
フリとはいえ俺、誰かと付き合うなんて初めてでした。
「カオルありがとう…」
「あのなリオ…。任せてって言ったけど誰かと付き合ったりとかした事なくてさ、どうしたらいい?」
「そうなんだ…。俺も初めてだからよく分からないんだけど…手を繋ぐとか抱きしめたりとかキスとかをするって事なのかな?」
恋愛初心者の2人で、あーでもないこーでもないとカップルがしそうな事を話ながら、俺達は付き合ってるフリをするという不思議な関係を始める事にした。
「おー!俺も今来たところ」
今日はリオと買い物の約束をしていた日。
俺の服はクリスの家から持ってきた数枚しかなくて、服をどこで買ったらいいかリオに相談すると買い物に付き合ってくれると言ってくれた。
いつもはTシャツで店中を駆け回っているリオしか見たことがなかったが、シャツ1枚変わっただけでなんだか雰囲気が違う。
身長は俺より少し高いくらいなのに手足が長くて白シャツ一枚羽織っただけで滲み出るオシャレ感。
服を着こなすとはこういう事なのか…
赤髪にルビーの瞳に猫顔のリオはどちらかというと可愛らしい系だと思っていたが、普段とは格好が違うだけでカッコいい感じにもなるイケメンが羨ましい…。
「じゃあカオル行こうか」
「うん!」
友達と遊ぶなんて久しぶりすぎて俺は昨日からワクワクしていた。
スリランの町は通りによって店も雰囲気も違う。
俺達が普段過ごしている通りは食堂や飲み屋、娼館と夜にかけて活気が出てくる。
今歩いている通りは服や雑貨などの店が多く立ち並び昼間の人通りは多いが落ち着いた雰囲気の場所だ。
「ここの店は値段は少し高いけどいい服が多いんだ」
そう言って店の中に入っていくと今日リオが着ている服に似たデザインの服が売られている。
「俺に似合う服あるかな…」
リオのような体型ではない俺は若干の不安を感じる。
「大丈夫だって!試着すればしっくりくる服が見つかるから」
そう言うとリオは俺に合いそうな服を数着持ってきてくれて何度も試着をさせられた。
「カオルこの服似合ってるよ!」
「そうかなぁ~」
リオに褒められるとちょっと照れてしまう。
さっそくリオが選んでくれた服を数着購入して店を後にする。
じゃあ次はどこに行こうか?…と、話をしていた時だった。
「おいリオ…。なんでこんなとこにいるんだよ」
後ろから声をかけられ振り向くと意地悪そうな顔をしたでっぷりと太った男達が立っていた。
「…なんだよ文句あるのかよ」
リオがイラっとした口調で声をかけてきた男達に言い返すと、でっぷりと太った男(略してデブ男)達は次々にリオを傷付けるような言葉を吐いてくる。
「お前みたいな醜い奴が服なんて気にしてもしょうがないんだよ。さっさとあの薄汚い食堂に帰れ」
デブ男1号がそう言えばデブ男2号がゲラゲラと笑いながら「そうだそうだ」と囃し立てる。
なんだよコイツらぁぁあ!!
「なぁ…リオ…」
俺は腹が立って何か言ってやろうかと思ったがリオは「大丈夫だから」と俺に優しく笑いかけて止めてくる。
「お前がいくら綺麗に着飾っても意味ないだろ。どうせ気持ち悪がられるんだから。おい。隣にいる可愛いアンタも早くそいつから離れた方がいいぞ。童貞は何してくるから分からないからなぁ~」
デブ男1号と2号は下品な笑い声をあげてリオの事をバカにする。
リオは怒りを抑えるように拳を握りしめていて…
俺はもう我慢の限界だった。
「おい!そこの2人!リオは醜くも気持ち悪くもない!カッコいいんだよ!それに…童貞でもねーんだよ!!……俺達は付き合ってるんだからな!」
俺は怒りのあまり訳の分からない事を口走るとリオの顔を俺の方へ向けるとデブ男達の前で…
むちゅっ!とキスをする。
「リオ行こう!」
「あ…あぁ…」
呆然とするデブ男達を置き去りにして俺はリオの手を引いて宿の方へと歩いて行く。
そのままリオを俺の部屋まで連れて帰る頃には少し冷静になり自分がリオにとんでもないことをしてしまったと気付く。
「あの……リオ…。さっきはごめん。俺あいつらが許せなくてリオにひどい事しちゃった…」
ムカついたからと言ってリオにキスしたのはいけなかった…。
でも、挨拶でキスとかしてるだろうから…まぁ大丈夫だよな?
だって童貞をバカにする事は、個人的にも許せないし。アイツらを信じさせるにはキスして見せつけてやるのが一番だと思ったわけで…
頭の中でグルグルと言い訳が回る。
「ううん。いいんだよ。カオルが言ってくれた言葉嬉しかったし」
そう言うとリオはニコっと笑ってくれる。
よかった…怒ってなかった…。
「それとさ…確認なんだけど、カオルは俺とキスするの嫌じゃないの?」
リオとキスするのは…別に問題ない。
友達になったら挨拶のキスくらいするだろうし。
「リオとのキスは嫌じゃないよ」
そう言うと、頬を少し赤くしてリオが嬉しそうに俺を抱きしめてくる。
「なぁ、もう一回キスしていいか?」
「ん?いいよ」
これは感謝のキス?
そう思いながらリオの唇にちゅっとキスをする。
キスし終わるとリオは少し潤んだ熱っぽい視線で俺を見つめてくる。
「さっきの2人は前から俺に絡んでくる貴族の息子達なんだ。少しは言い返すんだけど平民の俺は我慢するしかなくて…カオルが言い返してくれて嬉しかった。けど…アイツらに付き合ってるって言ったから落ち着くまで付き合ってるフリしてもいいか?違うってバレるとカオルに何してくるか分からないし…」
げっ…あのデブ男2人は貴族だったのかよ。
だからリオは何言われても我慢してたのか…
「うん、わかった!任せてくれよ!」
と、大口叩いてみたものの……
フリとはいえ俺、誰かと付き合うなんて初めてでした。
「カオルありがとう…」
「あのなリオ…。任せてって言ったけど誰かと付き合ったりとかした事なくてさ、どうしたらいい?」
「そうなんだ…。俺も初めてだからよく分からないんだけど…手を繋ぐとか抱きしめたりとかキスとかをするって事なのかな?」
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