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本章
25話:ご飯と友達 ①
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アルクさんを見送るとグゥ~と俺の腹の虫が鳴く。
今はお昼前くらいか…
そういえば昨日の昼からまともに食事をとっていない事に気付く。
どうせなら、どこか美味しいご飯屋さんに行きたいな…
宿の前の通りを見渡すと数件食事が出来そうな店があった。できれば庶民的で安くて美味しい店がいいけど…と悩む。
宿屋の店員さんは美味しいご飯屋さん知らないかな?
そう思い宿屋へと戻り店員さんにオススメの店を聞く事にする。
「すみません。ここの近くで美味しい食堂とか知りませんか?できれば安めで…」
「ん?あぁ君か。ここら辺りだと…斜め前の『ライライ』って店が美味いぞ。黄色い看板が目印だからすぐ分かると思うが」
「斜め前の店で黄色い看板ですね…分かりました!今から行ってみます!」
「あそこの店は日替わり定食が安くて美味いからオススメだぞ」
「へぇ~!いい情報ありがとうございます!」
店員さんにペコっと頭を下げて斜め前の店『ライライ』へと向かう。
歩いて1分。
食堂の入り口にはデカデカと黄色い看板が立っていた。
「きっとここだな…」
お店の前からはすでにいい匂いがしていた。店の中へ入るとお客さんが多くとても賑やかだ。
注文とかどうするんだろ…。
店での注文の仕方が分からずに入り口でウロウロしていると仮面を被った赤髪の若い店員さんが「どうした?」と声をかけてくれる。
「あの、ここの店利用するのが初めてで…どう注文したらいいですか?」
「うちの店はこの列に並んでそこに張り出してあるメニュー表の中から注文するんだよ」
メニュー表…。
壁に張り出された表を見るが、この世界の文字はまったくわからない…
「あの、すみません…俺、文字が読めなくて…」
「そうなんだ。じゃあ…とりあえず日替わり定食でいい?食べれない物とかない?」
「食べれない物はないです。日替わりでお願いします!」
笑顔で答えると仮面の店員さんは俺をじっと見つめてくる。
ん?と首を傾げると「あ!そのままこの列に並んでていいから!」と、言い少し慌てた感じで奥の厨房へと消えていく。
列に並びカードで支払いを済ませ俺の番が来るとさっきの店員さんがトレーに乗った食事を渡してくれた。
「あと一品あるけど後から持ってくから。ゆっくり食っていけよ」
「ありがとうございます」
料理を受け取って空いてる席を探すが…近くの席はどこも満席だった。
店は禁煙席と喫煙席を分けるような仕切りがあり、仕切りの奥の方にも席が設けられていてそっちの方が空いていた。
奥の方は喫煙席とかなのかな?
そう思いながら奥へ行くと仮面を付けている人達ばかりが座っていた。
奥の席もそこそこ人が多く埋まっていたが、相席すれば座れそうだった。
端にある4人がけの机に1人だけ座っている席があったのでそこへ向かう。
「すみません。相席いいですか?」
「あぁ、ど……うぞ…」
先に座っていた薄茶色の髪の仮面を付けた人へと声をかけると男性は相席を了承してくれる。
「よかった。ありがとうございます」
軽く頭を下げて男性の方を見るとジッと見つめられる。
「あの…やっぱり相席ダメでした?」
「す、すまない。座ってもらって構わないよ」
なんだか気になったのでもう一度確認し男性の斜め前の席に座る。
ちょっと気まずいが美味しそうな食事を目の前に俺の腹はグルグルと鳴っているのでとりあえず食事だ!
トレーの上にはパンとサラダとビーフシチューに似た煮込み料理が乗っている。
うぅ…見るからにうまそう…
パクっと一口食べてみるが見た目通り美味しい!
昨日の昼から食事をとっていなかったのでペロリと食べてしまう。
あぁ…幸せだ…
腹が満たされて自然に口角が上がる。
「あ。こんな場所にいたのかよ…ほら残りの料理だぞ」
幸せに浸っているところに声をかけられ振り向くと、さっきの赤髪の店員さんが料理を一品持ってきてくれていた。
もう一品はパスタ料理だ。
「ありがとうございます!これもうまそう!」
満面の笑みで料理を受け取り、さっそくがっつくように食べる。
「お、おう。……美味いか?」
「うまいれす!」
食べながら話すのは行儀悪いが許して欲しい。
店員さんはそんな俺を見て嬉しそうに笑っていた。
「食事終わったらトレーと皿は入り口近くにある返却場所に置いてくれたらいいから」
口いっぱいに頬張っているのでコクコクと頷く。
それから持ってきてもらったパスタはすぐに食べ終え食事が終わった俺はトレーを返しに向かう。
返却場所にトレーを返していると厨房奥からさっきの店員さんがパタパタと走りながら出てくる。
「なぁ!君…名前なんて言うの?」
「え?カオルです…」
「カオル…うん。覚えた。俺はリオ。あのさ…料理どうだった?」
「ここの料理凄く美味しかったんです!また来ます!」
「そうか…!じゃあ来るの待ってるからな!」
リオさんはそう言うと俺に手を振り見送ってくれた。
ご飯も美味しくて安いし、店員さんも凄く優しくて俺は大満足。
「リオさんかぁ…仲良くなれるいいなぁ…」
俺はそんな事を考えながら宿へと戻っていった。
今はお昼前くらいか…
そういえば昨日の昼からまともに食事をとっていない事に気付く。
どうせなら、どこか美味しいご飯屋さんに行きたいな…
宿の前の通りを見渡すと数件食事が出来そうな店があった。できれば庶民的で安くて美味しい店がいいけど…と悩む。
宿屋の店員さんは美味しいご飯屋さん知らないかな?
そう思い宿屋へと戻り店員さんにオススメの店を聞く事にする。
「すみません。ここの近くで美味しい食堂とか知りませんか?できれば安めで…」
「ん?あぁ君か。ここら辺りだと…斜め前の『ライライ』って店が美味いぞ。黄色い看板が目印だからすぐ分かると思うが」
「斜め前の店で黄色い看板ですね…分かりました!今から行ってみます!」
「あそこの店は日替わり定食が安くて美味いからオススメだぞ」
「へぇ~!いい情報ありがとうございます!」
店員さんにペコっと頭を下げて斜め前の店『ライライ』へと向かう。
歩いて1分。
食堂の入り口にはデカデカと黄色い看板が立っていた。
「きっとここだな…」
お店の前からはすでにいい匂いがしていた。店の中へ入るとお客さんが多くとても賑やかだ。
注文とかどうするんだろ…。
店での注文の仕方が分からずに入り口でウロウロしていると仮面を被った赤髪の若い店員さんが「どうした?」と声をかけてくれる。
「あの、ここの店利用するのが初めてで…どう注文したらいいですか?」
「うちの店はこの列に並んでそこに張り出してあるメニュー表の中から注文するんだよ」
メニュー表…。
壁に張り出された表を見るが、この世界の文字はまったくわからない…
「あの、すみません…俺、文字が読めなくて…」
「そうなんだ。じゃあ…とりあえず日替わり定食でいい?食べれない物とかない?」
「食べれない物はないです。日替わりでお願いします!」
笑顔で答えると仮面の店員さんは俺をじっと見つめてくる。
ん?と首を傾げると「あ!そのままこの列に並んでていいから!」と、言い少し慌てた感じで奥の厨房へと消えていく。
列に並びカードで支払いを済ませ俺の番が来るとさっきの店員さんがトレーに乗った食事を渡してくれた。
「あと一品あるけど後から持ってくから。ゆっくり食っていけよ」
「ありがとうございます」
料理を受け取って空いてる席を探すが…近くの席はどこも満席だった。
店は禁煙席と喫煙席を分けるような仕切りがあり、仕切りの奥の方にも席が設けられていてそっちの方が空いていた。
奥の方は喫煙席とかなのかな?
そう思いながら奥へ行くと仮面を付けている人達ばかりが座っていた。
奥の席もそこそこ人が多く埋まっていたが、相席すれば座れそうだった。
端にある4人がけの机に1人だけ座っている席があったのでそこへ向かう。
「すみません。相席いいですか?」
「あぁ、ど……うぞ…」
先に座っていた薄茶色の髪の仮面を付けた人へと声をかけると男性は相席を了承してくれる。
「よかった。ありがとうございます」
軽く頭を下げて男性の方を見るとジッと見つめられる。
「あの…やっぱり相席ダメでした?」
「す、すまない。座ってもらって構わないよ」
なんだか気になったのでもう一度確認し男性の斜め前の席に座る。
ちょっと気まずいが美味しそうな食事を目の前に俺の腹はグルグルと鳴っているのでとりあえず食事だ!
トレーの上にはパンとサラダとビーフシチューに似た煮込み料理が乗っている。
うぅ…見るからにうまそう…
パクっと一口食べてみるが見た目通り美味しい!
昨日の昼から食事をとっていなかったのでペロリと食べてしまう。
あぁ…幸せだ…
腹が満たされて自然に口角が上がる。
「あ。こんな場所にいたのかよ…ほら残りの料理だぞ」
幸せに浸っているところに声をかけられ振り向くと、さっきの赤髪の店員さんが料理を一品持ってきてくれていた。
もう一品はパスタ料理だ。
「ありがとうございます!これもうまそう!」
満面の笑みで料理を受け取り、さっそくがっつくように食べる。
「お、おう。……美味いか?」
「うまいれす!」
食べながら話すのは行儀悪いが許して欲しい。
店員さんはそんな俺を見て嬉しそうに笑っていた。
「食事終わったらトレーと皿は入り口近くにある返却場所に置いてくれたらいいから」
口いっぱいに頬張っているのでコクコクと頷く。
それから持ってきてもらったパスタはすぐに食べ終え食事が終わった俺はトレーを返しに向かう。
返却場所にトレーを返していると厨房奥からさっきの店員さんがパタパタと走りながら出てくる。
「なぁ!君…名前なんて言うの?」
「え?カオルです…」
「カオル…うん。覚えた。俺はリオ。あのさ…料理どうだった?」
「ここの料理凄く美味しかったんです!また来ます!」
「そうか…!じゃあ来るの待ってるからな!」
リオさんはそう言うと俺に手を振り見送ってくれた。
ご飯も美味しくて安いし、店員さんも凄く優しくて俺は大満足。
「リオさんかぁ…仲良くなれるいいなぁ…」
俺はそんな事を考えながら宿へと戻っていった。
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