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本章
24話:揺れる心〜さっきの決断はどこへ〜
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「じゃあカオルくんそろそろ出ようか」
宿のチェックアウトの時間が来たので俺達は出発する準備をする。
アルクさんは仮面を付けマントを被り出会った時と同じように外見を隠すような格好をしている。
「そういえばカオルくんは、これからどこかの娼館に入るの?」
「えーっと…」
娼館かぁ…
そこらへんの事は何も考えてなかったなぁ。
確かに娼夫として仕事をしていくなら娼館とかに勤めた方がいいのだろうけど、どんな客でも取れって言われたら……無理かもぉ。
クリスやアルクさんみたいな綺麗どころならまだしも、中年おじさんとかはちょっとなぁ…。
さっそく問題発生して頭を抱えているとアルクさんが提案してくれる。
「悩んでるならこのままフリーの娼夫でいるのはどうかな?お客なら僕が付いてるからお金でカオルくんが困る事は無いと思うよ。一緒に暮らせないのなら宿も借りるからそこで生活したらいいよ」
ニッコリ笑ってアルクさんはパトロン宣言をしてくる。
「え…?で、でもぉ…」
さっき『自分の力で生きていく!』など力強く宣言した手前アルクさんに頼るのは…
でも…でも…すっごくいい条件なんですけどぉ…
俺がウジウジと考えているとアルクさんは畳み掛けるように説得してくる。
「娼館に行ったら沢山のお客を相手しても取り分は娼館側と良くて折半。悪いところは7:3や8:2もあるよ?それに娼館によってはとんでもないプレイもさせられるよ?カオルくん複数相手もできる?道具使われても大丈夫?縛られて痛い事されても誰も助けてくれないよ?」
アルクさんの質問攻めに俺は「ヒッ…」と小さく悲鳴をあげ…ただただ顔を青くするしかなくて…
「フ、フリーで行きたいと思います…」
俺の返事にアルクさんは嬉しそうに微笑んでくれて、一時的に援助する事を約束をしてくれた。
俺の自立への道のりはまだまだ遠いようだ…。
「じゃあ僕のカード渡しておくね」
アルクさんはそう言うと銀色の手の平サイズの四角いプレートを出してくる。
「カード?…これは何ですか?」
「ん?カオルくんはカード知らない?」
「はい。知らないです」
アルクさんの説明によると、この世界は通貨もあるがほとんどが『カード』を使っての支払いを行うようだ。
アルクさん名義のカードをもらい俺も使えるように追加で契約してもらう。
「これで大丈夫。お金は好きなように使っていいからね」
好きなように使えるカードを渡すとか…
アルクさん人が良すぎて心配になるレベルだよ。
そうしてチェックアウトしにカウンターへと向かうと昨日の受付の店員さんがいた。俺を心配してくれていたのか、俺の姿を見てホッとした表情を見せる。
アルクさんはカードで支払いをしながら店員さんに質問をしていた。
「この宿は長期滞在もできますか?」
「あぁ、できるよ」
店員さんに確認が済むと俺の方へと振り返り「借りるのはこの宿でもいいかな?」と確認してくる。
俺が頷くとアルクさんは話を進めていく。
「じゃあ…とりあえず半年間一室部屋を借りたいです。シャワーとトイレ付きの部屋でお願いします」
「そうなると…今日泊まってもらった部屋しか空いてないが、あの部屋でも構わないか?」
「はい。大丈夫です」
あっという間に俺の住む宿が決定。
「ここなら綺麗だし防犯も優れてるから僕も安心だよ」
「ありがとうございます。何から何まですみません…」
「ううん。いいんだよ。僕がカオルくんにしてあげたいだけだから」
アルクさんはそう言って嬉しそうに笑顔を見せてくれる。
優しくてイケメンのアルクさんに買ってもらって本当に良かったと俺は心の底から思った。
その後、アルクさんは仕事の緊急呼び出しがあり、嫌だ帰りたくないと駄々をこねだすが、なんとかなだめると渋々帰ることを決意してくれる。
「また3日後に会いに来るからね!」と、俺を抱きしめ別れを惜しみながら帰っていく。
とりあえず寝る場所とお金は確保できたな…。
俺はこれからどうしていくか考えながらアルクさんを見送った。
宿のチェックアウトの時間が来たので俺達は出発する準備をする。
アルクさんは仮面を付けマントを被り出会った時と同じように外見を隠すような格好をしている。
「そういえばカオルくんは、これからどこかの娼館に入るの?」
「えーっと…」
娼館かぁ…
そこらへんの事は何も考えてなかったなぁ。
確かに娼夫として仕事をしていくなら娼館とかに勤めた方がいいのだろうけど、どんな客でも取れって言われたら……無理かもぉ。
クリスやアルクさんみたいな綺麗どころならまだしも、中年おじさんとかはちょっとなぁ…。
さっそく問題発生して頭を抱えているとアルクさんが提案してくれる。
「悩んでるならこのままフリーの娼夫でいるのはどうかな?お客なら僕が付いてるからお金でカオルくんが困る事は無いと思うよ。一緒に暮らせないのなら宿も借りるからそこで生活したらいいよ」
ニッコリ笑ってアルクさんはパトロン宣言をしてくる。
「え…?で、でもぉ…」
さっき『自分の力で生きていく!』など力強く宣言した手前アルクさんに頼るのは…
でも…でも…すっごくいい条件なんですけどぉ…
俺がウジウジと考えているとアルクさんは畳み掛けるように説得してくる。
「娼館に行ったら沢山のお客を相手しても取り分は娼館側と良くて折半。悪いところは7:3や8:2もあるよ?それに娼館によってはとんでもないプレイもさせられるよ?カオルくん複数相手もできる?道具使われても大丈夫?縛られて痛い事されても誰も助けてくれないよ?」
アルクさんの質問攻めに俺は「ヒッ…」と小さく悲鳴をあげ…ただただ顔を青くするしかなくて…
「フ、フリーで行きたいと思います…」
俺の返事にアルクさんは嬉しそうに微笑んでくれて、一時的に援助する事を約束をしてくれた。
俺の自立への道のりはまだまだ遠いようだ…。
「じゃあ僕のカード渡しておくね」
アルクさんはそう言うと銀色の手の平サイズの四角いプレートを出してくる。
「カード?…これは何ですか?」
「ん?カオルくんはカード知らない?」
「はい。知らないです」
アルクさんの説明によると、この世界は通貨もあるがほとんどが『カード』を使っての支払いを行うようだ。
アルクさん名義のカードをもらい俺も使えるように追加で契約してもらう。
「これで大丈夫。お金は好きなように使っていいからね」
好きなように使えるカードを渡すとか…
アルクさん人が良すぎて心配になるレベルだよ。
そうしてチェックアウトしにカウンターへと向かうと昨日の受付の店員さんがいた。俺を心配してくれていたのか、俺の姿を見てホッとした表情を見せる。
アルクさんはカードで支払いをしながら店員さんに質問をしていた。
「この宿は長期滞在もできますか?」
「あぁ、できるよ」
店員さんに確認が済むと俺の方へと振り返り「借りるのはこの宿でもいいかな?」と確認してくる。
俺が頷くとアルクさんは話を進めていく。
「じゃあ…とりあえず半年間一室部屋を借りたいです。シャワーとトイレ付きの部屋でお願いします」
「そうなると…今日泊まってもらった部屋しか空いてないが、あの部屋でも構わないか?」
「はい。大丈夫です」
あっという間に俺の住む宿が決定。
「ここなら綺麗だし防犯も優れてるから僕も安心だよ」
「ありがとうございます。何から何まですみません…」
「ううん。いいんだよ。僕がカオルくんにしてあげたいだけだから」
アルクさんはそう言って嬉しそうに笑顔を見せてくれる。
優しくてイケメンのアルクさんに買ってもらって本当に良かったと俺は心の底から思った。
その後、アルクさんは仕事の緊急呼び出しがあり、嫌だ帰りたくないと駄々をこねだすが、なんとかなだめると渋々帰ることを決意してくれる。
「また3日後に会いに来るからね!」と、俺を抱きしめ別れを惜しみながら帰っていく。
とりあえず寝る場所とお金は確保できたな…。
俺はこれからどうしていくか考えながらアルクさんを見送った。
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