美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

赤牙

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本章

23話:カオルくんの決断

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俺の衝撃的な言葉に絶句し固まっていたアルクさんだが、すぐに我に返りあたふたしながら俺の体をペタペタと触り出す。

「カオルくん…妊娠してるの?体調大丈夫?体キツくない?あぁ…昨日も今日も体に負担かけてしまったよね…」
「いや…まだ妊娠したとか分からなくて。実はここに来る前に世話になってた人が豹変して…その時に『孕ませる』って言われて…」

「…まさか無理矢理されたの?」
「………少し」

いつも朗らかな表情のアルクさんの顔から表情が消え恐ろしく冷徹な顔に変わっていき…
あまりの怖さに震える俺…

「そうか…。その…エッチする時に小さな……そう、これくらいの『玉』を入れられたか覚えてる?」

そう言うとアルクさんはビー玉位の大きさの物を指刺す。
クリスとの行為を思い出すがクリスの指とナニ以外に入れられた思い出はない。

「いや…ないと思います」
「あぁよかった……じゃあ大丈夫だよ」

アルクさんはホッとした表情を見せいつもの優しい顔に戻る。

「子を宿す為には『卵珠らんしゅ』を中に入れて相手の精を注いでもらうと妊娠できるんだよ」
「そっか……よかった…」

俺は『中出しされたら妊娠しちゃう』という日本での浅い知識しかなかったのでお腹を撫で一安心する。


「卵珠はね教会でしか貰えないんだ。教会で相手と契りを交わしその場で貰うから誰でも入手できる訳じゃないけど、裏では時折取り引きされてるからね……カオルくんはこれからも娼夫として生活していくの?」

「えっ?」

「カオルくんが心配なんだ……よかったら僕の所に来ない?こう見えても稼ぎだけはいいからカオルくん一人くらい養っていけるよ」

アルクさんはそう言うと俺の事をぎゅっと抱きしめてくれる。


アルクさんの申し出は凄く嬉しい。
本当に本当に嬉しい。
前の俺なら喜んで転がり込んで養ってもらいグータラ生活を送っただろう。

しかし、今の俺は違う…クリスで学習した。

『うまい話には裏がある』

正直アルクさんの事は優しくて好きなのだがクリスの例もある。
最初は優しかったのに、いきなり監禁からの孕ませプレイは俺の中では軽いトラウマだ。

「アルクさんの提案は凄く嬉しいです。でも、俺は自分の力でちゃんと生きていきたいんです。だから…ごめんなさい」
「カオルくん……」

アルクさんは銀色の瞳をうるうると潤ませ『そんな事言わないで…』と訴えかけてくる…

うぅっ……
イケメンの切なげなおねだり顔は反則だ。そんな顔されたら俺の決意が揺らぎそうなんですけど…

けれど、俺とアルクさんは娼夫と客の関係。
きっとアルクさんの気持ちも一時のもの…
時間が経てば俺のことなんてどうでもいいと思うようになるだろうし…

自分で言っててなんか悲しくなってきたぞ。

「また…俺に会いに来て欲しいです。アルクさんにぎゅっとしてもらいたいです」

そう言いながら俺はアルクさんを抱きしめると、さらにぎゅっと抱きしめられる。

「絶対…絶対会いにくるから…」

それから時間が許すまで俺達は抱きしめあいキスをして過ごした。



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