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本章

14.5話:森のイケメンさんの事情〜クリスSide〜③

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「あぁ…やっと帰れる」

今日は朝早くから転移の魔道具を使い王宮へと飛んだ。『狩りに行く』と言った日は王宮へと戻り溜め込んだ仕事を片付け家へと帰宅している。

それに今日は教会に行って『卵珠』を受け取りに行った為いつもより遅くなってしまった。

「カオル怒っているだろうな…」

帰りが遅い時はいつも腹が減ったと言い少し機嫌が悪くなる。
膨れっ面をした機嫌の悪いカオルの顔を思い浮かべながら、今日の晩ご飯はカオルの好きなシチューにしてあげようと献立を考える。

そして苦労してやっと手に入れた『卵珠』を見て思わずニヤついてしまう。
今日、カオルの中に『卵珠』を入れ込んで私の精液を注ぎ込めばカオルは私との子を身篭る…。

早くカオルに会いたい…そして、早く私との子を…。
そう思いながら転移の魔道具を使用し急いで家へと帰っていった。


✳︎

家へと帰りつくとやけに静かで…家を出た時とは違う感じを受けた。

とても嫌な予感がする…。

急いでカオルのいる寝室へ向かうと閉めて出て行ったはずのドアが開いている。
まさか…いやそんな事はない…
最悪の状況が脳裏をよぎる。

「カオル…?」

声をかけ恐る恐る部屋の中を覗き込むと…


誰もいない空っぽのベッドと…外された首輪が目に入った。


「嘘だ…嘘だ嘘だ…嘘だぁぁぁぁあ!!」

私は狂ったように叫び部屋の中を探し回る。
カオルがいない。カオルがいない。カオルが……

現実を受け入れられず私は崩れ落ち狂ったように床に拳を叩きつける。
それからの記憶はとても曖昧で家の中、森、近くの村と探し回った。

「カオル…カオル…カオル…」

いるはずのないカオルの名前を呼び続け私は絶望に打ちひしがれた。

見つけないと…
カオルを見つける為ならばどんなことでも…。

カオルのいない現実に発狂してしまいそうだったが、なんとか気持ちを立て直しカオルを見つけ出すため王宮へと戻ることにする。

必ず見つけだしカオルを捕まえたら今度こそ絶対に離さない…
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