美醜逆転した世界に転がり落ちたらイケメンたちに囲われました。

本章

プロローグ：俺はブス専じゃねーよ。

「お兄さん、今夜どう？」


俺は今日も花街で客を取る。　


有村　薫　十八歳。
どこにでもいる大学生だった俺は、ある日異世界へと迷い込んでしまった。
迷い込んだ先は美醜が逆転している男だけの世界。

そんな世界で何故か監禁され新しい扉を開かされ、そこからなんとか逃げ出し今は自分の身一つでどうにかこの世界で暮らしている。

イケメンが不細工と言われ蔑まれ不遇な対応を受け差別される世界。
俺は娼館で断られた不細工イケメンな客に声を掛けるフリーの男娼だ。

そんな俺の事を皆こう言う。

『ブス専のカオル』

おい。
なんかムカつく二つ名だけど、ブタみたいな傲慢オヤジに抱かれるよりも、優しいイケメンに抱かれる方がいい。

自分でいうのもなんだが俺の顔は平凡だ。
いわゆるモブ顔。
真っ平な顔、目つきの悪い三白眼、塩顔よりも薄い顔に筋肉なしのチビでヒョロガリ。

こんな俺がこの世界では可愛い分類に入るらしい。
世も末だな。

そして今日もまた、この世界の不細工さん達に癒しを与える使命を胸に、俺は生活費と老後資金を稼ぐべくせっせと働くのであった。