【完結】招き猫は幸せと愛を両腕に抱えて

赤牙

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5話:幸せなひととき

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 ラミアフィッシュ完食。
 
 SSたち肥大化。

「……俺より大きくなっちゃって」

 俺の1.5倍だな。

「「「……ごめんなさい」」」

「分裂する?」

 またもや分裂することでサイズダウンしたよ。

「増えちゃったなー。まあいいか」

 俺より二回り小さいスライムが6匹になった。

「「「よろしくおねがいします」」」

 新しく増えたSSレア・スライムたちが上半身をペコッと折り、お辞儀をしたよ。
  
 内訳を説明すると、
 ボーンキラー・ウルフのときに分裂したスライム3匹がレベル3。
 いま分裂で生まれた3匹がレベル1。
 8レベの俺を含め、総勢7匹のチームだよ。

 どうやら、SSがいくら分裂してもSにはならないみたいだし、俺が全員の親みたい。
 試しにレベル3とレベル1のSSたちのステータスを見てみたら、どちらも能力は『変形』『分裂』『ステータス確認』だけ、俺に比べて制約があるみたい。

「せっかくだから、レベル1の新人さんたちに、この池の宝箱を探してもらおうかな」

 中央の宝箱以外にも、まだありそうな予感がするんだよね。

「「「はーい!」」」

 素直だな。
 そうだよ、みんな俺の分身だもん素直で優しくてあたり前。

 俺が人間のときもそうだった。
 嫌なこと苦手なこと、困ったこと。友人や仕事仲間がよく俺に頼んできたっけ。

 俺って断り切れないから、友人の借金の保証人になったんだけど、友人が夜逃げしちゃって。
 残った200万を完済せずに俺死んじゃったけど、アレどうなったんだろう……。
 もう良いよね、俺死んで日本にいないんだもん。

 スライムたちは下半身を笹舟状にし、上半身の一部をオールにして宝箱にまっしぐらだよ。
 こっちのスライムは身体を蛇みたいにして、くねくね泳いでいるね。
 あっちのはカエルに変身して、スイスイ泳いでいる。
 
 同じSSでも個性があるみたい。

「ヘイヘイホー!」

 見つけたらヘイヘイホーと叫ぶように言っている。
 宝箱を開ける楽しみは、親である俺だよ。
 開けた途端、中身が襲って来るかもしれないしね。

 行こうと海底を蹴ったら、ビュンッ! と風切音がして、宝箱の前に移動していた。
 慌てて急ブレーキ。
 勢い余って停止すると、俺の身体がぶるるんと揺れたよ。

「び、ビビった……なに今の?」

 後ろを振り返ると、俺が通った海面部分だけが白くざわめき、波が遅れてやって来る。
 俺、いま……海面スレスレを飛んだ……と言うより、まるで瞬間移動。 
 素早さが11392だから?

「す、すごい……」

 スライムが呟く。

「スライムの神さま」 

 ぞくぞくとSSたちが集まってくる。

「「「「スラ神さま……」」」」

 一同礼。
 
 ペコッ。

 なんだか照れるなあ。


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