【完結】大好きな先輩に恋人ができたと知った夜、俺は大嫌いな先輩の親友に何故か抱かれていました。

赤牙

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順番違いの恋だけど

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柔らかくて気持ちのいい苳也先輩の唇。
ぎゅっとスウェットを握りしめていた手を解かれて、苳也先輩の手が絡む。指先を絡め取られると同時に、触れていただけの先輩の唇が少し開き……ゆっくりと舌が入ってきた。
初めてのキスをしたばかりなのに、舌をいれてくるなんて早すぎないか? なんて考えも過ぎったが、初めから順番違いの俺達に早いも遅いもない。
ちょっぴり恥ずかしくなりながらも、先輩が絡めてきた舌を必死になって受け入れる。

「ん……んむ……」

くちゅくちゅと舌が絡まったかと思えば上顎を舌で優しく撫でられたりして、先輩の舌は俺の口の中を沢山気持ちよくしてくれる。
絡めた手をぎゅっと握り締めれば、先輩も答えてくれるように握り返してくれる。
それから数分ぐらいだろうか、先輩の唇が離れれば長い長い俺のファーストキスが終わる。
ちょっぴり息切れしながら先輩を見つめれば、先輩は幸せそうな顔をして微笑む。

「千景、大好き」

そう言って先輩は大きな体で俺を包み込んでくれる。苳也先輩からの真っ直ぐな好きって気持ちが両腕から伝わってくると、俺の心の中は幸せで満たされる。

「俺も大好きです。苳也先輩」

互いに好きだと気持ちを伝えあった俺達は、顔を見合わせて微笑むとまたキスをした。

それから苳也先輩お手製のオムライスで遅い朝食を済ませ、いつものようにゴロゴロしながら過ごす。
ただ、いつもと違うのはどんな時でも苳也先輩と触れ合う距離にいて、目が合えばキスをするところだ。
最初はキスされるのを恥ずかしがっていたけれど、先輩とのキスが気持ち良すぎていつの間にか先輩にキスを求めるように見つめてしまう。
そんな俺を見て先輩は意地悪く目を細める。

「千景~俺とキスするのにはまったな」
「なっ! ち、違いますよ」
「そうか? 今さっきも、物欲しそうに見つめてたと思ったんだけどなぁ~」

俺の下心を見抜かれて恥ずかしくて下を向くと、クスっと笑われる。

「まぁ、千景がそう思っててくれるんなら、俺はすごく嬉しいんだけどな」

両手で頬を挟まれてクイっと上を向かされると、先輩の綺麗な顔が迫ってきてまたキスをする。そんな意地悪なキスでさえ胸がときめいてしまうのは、本当に俺が苳也先輩の事を好きなんだって自覚させられた。
沢山キスしながら映画を見たりして過ごせば、あっという間に夜が来る。

もちろん今日も苳也先輩の家にお泊まりなので、母さんに先輩の家に泊まるとメッセージを送れば『先輩に迷惑かけないようにね』と、いつも通りの返事が返ってくる。

「千景は一人暮らししないのか? お前の実家から大学まで結構距離あるだろ?」

俺がメッセージを送っていると、苳也先輩が背後からのしっと覆いかぶさってくる。

「俺、家事とか苦手で一人暮らしをしても、まともな生活送れる自信がなかったんですよ」

アハハと苦笑いを浮かべると、苳也先輩は「ふ~ん」と言って俺を背後から抱きしめる。

「じゃあ、俺と一緒に住めばいいじゃん」
「えぇ!? いや……でも俺達付き合ったばっかだし……」
「そんなこと気にする付き合いしてないだろ。てか、今も半同棲みたいな感じだろ? この部屋だって、お前の私物で溢れかえってるんだしさ」

……確かに。
苳也先輩の部屋は元々物が少なかったが、俺が出入りするようになってからは徐々に物が増えていった。
部屋の中を見渡せば、お揃いのマグカップに茶碗に歯ブラシ。俺の服も半分くらいは苳也先輩の部屋に置いている。

「……なんか、色々とすみません」
「気にすんなって。可愛いペット飼ってると思ってるから」

ペットって……。
けど、そう言われても仕方のない現状。苳也先輩の優しさを与えられまくった俺は、すでに先輩に飼われていたのか。
俺の事をペット扱いする苳也先輩を怒れる立場でもないので納得し黙っていると、先輩が顔を覗き込んでくる。

「ん? 怒んないのか千景?」
「本当のことなんで怒るに怒れないんです。俺は苳也先輩に餌付けもされてるペットなんで」

プイッと顔を背けると、笑みを溢しながら苳也先輩が謝ってくる。

「ごめんごめん、千景はペットなんかじゃないよな。お前は俺の大切な恋人なんだから」

そう言って苳也先輩は俺をまた抱きしめる。
「もう……」なんて、少し不貞腐れながらも苳也先輩からの『大切な恋人』って言葉に俺の心は満たされるのだった。
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