【完結】大好きな先輩に恋人ができたと知った夜、俺は大嫌いな先輩の親友に何故か抱かれていました。

赤牙

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ゆく年くる年……。 ①

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「お~千景。遅かったなぁ~」
「……うっす」

大晦日の夜。
俺は苳也先輩に呼ばれ、先輩の部屋へと訪れる。
例年ならばそこには直史先輩の姿もあるのだが……恋人がいる直史先輩に声などかけられず今年は二人きりとなった。

クリスマスに苳也先輩に告白されてからの俺達の関係性というと変わったような変わっていないような……。
苳也先輩から向けられる笑顔も増えて、俺に触れてくることも増えたきがしたけれど、よく考えれば前からそうだったのかもしれない。

そして、今日はクリスマス以来の二人きりの時間……。ほんの少し緊張しながらソファーに座れば、苳也先輩が飲み物を出してくれる。
温かいカフェオレを飲んでいると、隣に先輩も座りコーヒーを飲みはじめる。

「外、寒かっただろ?」
「はい……」
「今日は泊まってくんだろ? 風呂どうする?」
「風呂は……入ってきました……」
「そっか……」

な、なんだこの会話?
まるで俺が抱かれる覚悟でやってきたみたいな感じになってないか?
俺は決して抱かれるつもりなど……ない……はずだ……。

なんて、自意識過剰な俺は自分の返答にもやもやしていると苳也先輩はプッと吹き出す。

「千景、なんだよその顔」
「へっ……?」
「緊張した面してると思ったら、一人で恥ずかしがったり困った顔したり……。どうせ、俺に何かされるんじゃないかって自意識過剰になってんだろ」

苳也先輩にズバリ言い当てられ、言葉を詰まらせているとポンと頭を撫でられる。

「俺はお前の気持ちが俺に向くまでは手はださないから安心しろ」
「……俺の尻に指突っ込んだ人から言われても」
「あん時はお前が腹壊さないか心配してやったんだから仕方ないだろ。尻から俺の精液垂らしながら帰るよりマシだろ」

全くもってデリカシーのない苳也先輩の言葉と、前回の場面を思い出し顔が熱くなる。

「そ、そういうところですよ苳也先輩!」
「あ? 何がだよ」
「もっとこう……優しい言い方ってものがあるでしょう!」
「じゃあ、どう言えばよかったんだよ」
「えっと……あの時はお前の体が心配だったんだ。ごめんな。とか……」

俺の言葉に苳也先輩はふむ……と少し考え、真面目な顔して俺の方を向く。

「千景……あの時はお前の体が心配だったからって強引すぎたな……ごめん。もう、あんな無茶な事しないから……許してくれないか?」

いつもはヘラヘラしている苳也先輩の真剣な表情と言葉と……最後にコテンと首を傾げる仕草にキュンと胸が跳ねる。

こ、これだからイケメンは嫌いだぁぁあ……。

熱くなる頬と早くなる鼓動に戸惑いながら、ムスッと唇を尖らせる。

「つ、次は気をつけてくださいね……」
「おう!」

へへッと可愛らしく笑う苳也先輩の笑顔に、またドキドキしてしまう……。

一週間前までは直史先輩が好きだったのに、今では意識してしまうのは苳也先輩で……。
失恋してぽっかりと空いた穴を埋めてくれる苳也先輩の存在はとても心地がいい。好きか嫌いか答えも出さずに、図々しく先輩の隣にいるが……今だけは少し甘えてもいいだろうか?

そんな事を考えながら、俺達は今年一年のくだらない思い出を話しながら過ごしていった。







◇◇◇◇◇◇◇

千景くんと苳也先輩の両想いからのゲロ甘初夜までの投稿開始します☆
お付き合いの程よろしくお願いします!
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