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もやもやのクリスマスイヴ ②
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直史先輩の手伝いが終わりホールへと向かえば苳也先輩は一人で奥の座敷で団体客の準備をしていた。
そっちの手伝いに行かないといけないのだが……昨日の事を思い出してしまいなんだか少し気まずい……。
「おい、千景。ちんたらしてないでこっち手伝え」
「ひゃい!」
もじもじしている俺に気づいた苳也先輩に怒られ俺は慌てて座敷へと向かう。黙々と二人でやればあっという間に終わり、なんとか開店までに準備が終わる。
「今日の団体は常連の山田のおっさんとこが来るからな」
「げっ……。あの人ですか……」
山田のおっさんはよくこの店を利用している中年の男性で、俺はよく揶揄われるのであまり好きではない。
いつも昔はモテて女を取っ替え引っ替えだったとか話してきて、チビな俺見てそんなんじゃモテないよなぁ~なんて頭ガシガシ触ってくるし……とにかくあのノリも苦手だ……。
しかも、今日のフリーは俺だから……飛び入りの団体は俺が担当にさせられる可能性が高い……。
あぁ~最悪だぁぁぁ……。
「千景、ここの担当は俺が入るからお前は俺のとこよろしくな」
「へ? 先輩は今日違う担当じゃ……」
「お前、二日酔いで本調子じゃねーだろ」
「え……いいんすか……?」
「まぁ、今日は特別だからな。その代わり後でコーヒー奢れよ」
ニカッと笑う苳也先輩の笑顔に胸がキュンと高鳴る。
見慣れたはずの苳也先輩の笑顔が何故だかカッコよく……
いやいやいや!
色々ありすぎて俺の頭すんごいバグってる……。
もっと冷静になんなきゃ……
「おい千景。ぼーっとしてるけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫です!」
「ならいーけど。今日も予約客多いから頼むぞ」
「………うっす」
いつものように苳也先輩にポンと頭を撫でられ……撫でられた場所がやけに熱く感じた……。
店が開店すればイヴだというのに客は続々とやってくる。家族連れやカップルに一人で飲みに来る客も多かった。
ホールを慌ただしく動き回っている間は、何も考えずにいられる。直史先輩のことや苳也先輩のことも……。
「チカ。12番テーブルの料理できたよ」
「ありがとうございます!」
直史先輩は大量の注文に追われ忙しそうにしていた。苳也先輩が担当している奥の座敷も大盛り上がりで……山田のおっさんのバカデカイ笑い声がよく響いてくる。
苳也先輩は座敷に付きっきりな為、今日はあまり顔を合わせていない。
いつもならちょこちょこ話したり、冗談言い合ったりしていのだが……なんて考えていると座敷の方で「ガシャーン!」何かが割れる音とお客さんの驚いた声が聞こえてくる。
タオルを持って急いで座敷へと向かえば、グラスが床に落ち割れていて苳也先輩が片付けをしていた。
「先輩。大丈夫ですか? 袋持ってきますね」
「あぁ頼む」
どうやら酔っ払った客がグラスを落としてしまっただけのようだ。お客さんも一緒に片付けをしてくれて綺麗になり退散しようとした時、タイミング良くトイレに行っていた山田のおっさんが降臨する……。
「ん? なんだ~俺の帰りをみんなで待っててくれたのかぁ~? おっ! ちび太~今日もしっかり仕事してるかぁ~?」
「ハハ……。頑張ってま~す……」
ゲッ……! と、思った時には遅く山田のおっさんに絡まれてしまう。こうなるとおっさんの自慢話が終わらないと離してくんね~んだよなぁ……。
「クリスマスイヴっていうのに働かなきゃいけねーなんてちび太も寂しい奴だな~。俺の若い時にはクリスマスもクリスマスイヴも大忙しだったぞ~」
今日も始まりました。山田のおっさんのモテ話……。
おっさんと一緒に来ていたお客さんも、また始まったという顔をして苦笑いを浮かべている。
「ちび太は彼女もいね~のか?」
「ハハ……。そうですねぇ……」
「寂しい奴だなお前は! なぁ、兄ちゃん!」
そう言って山田のおっさんは苳也先輩に話を振ると、苳也先輩は営業スマイルを見せる。
「山田さん、俺もコイツと一緒で寂しい奴なんですよ」
「はぁ~意外だな。兄ちゃんみたいに俺に似たイケメンなら女なんて取っ替え引っ替えだろ」
「いやいや……。俺はずっと片想い中なんで」
苳也先輩の片想い発言に山田のおっさんは飛びつき、俺は解放される。苳也先輩は俺に目配せするとホールに戻れと手で追い払われる。
俺は苳也先輩に小さく頭を下げると、座敷から離れホールへ戻る……。
ホールに戻り仕事をこなすが……さっきの苳也先輩の言葉がグルグルと回る。
『俺はずっと片想い中なんで』
苳也先輩……ずっと片想いしてる相手がいんの?
なのに俺と勢いでやっちゃったの……?
仕事中、俺のモヤモヤはずっと晴れる事はなかった……。
そっちの手伝いに行かないといけないのだが……昨日の事を思い出してしまいなんだか少し気まずい……。
「おい、千景。ちんたらしてないでこっち手伝え」
「ひゃい!」
もじもじしている俺に気づいた苳也先輩に怒られ俺は慌てて座敷へと向かう。黙々と二人でやればあっという間に終わり、なんとか開店までに準備が終わる。
「今日の団体は常連の山田のおっさんとこが来るからな」
「げっ……。あの人ですか……」
山田のおっさんはよくこの店を利用している中年の男性で、俺はよく揶揄われるのであまり好きではない。
いつも昔はモテて女を取っ替え引っ替えだったとか話してきて、チビな俺見てそんなんじゃモテないよなぁ~なんて頭ガシガシ触ってくるし……とにかくあのノリも苦手だ……。
しかも、今日のフリーは俺だから……飛び入りの団体は俺が担当にさせられる可能性が高い……。
あぁ~最悪だぁぁぁ……。
「千景、ここの担当は俺が入るからお前は俺のとこよろしくな」
「へ? 先輩は今日違う担当じゃ……」
「お前、二日酔いで本調子じゃねーだろ」
「え……いいんすか……?」
「まぁ、今日は特別だからな。その代わり後でコーヒー奢れよ」
ニカッと笑う苳也先輩の笑顔に胸がキュンと高鳴る。
見慣れたはずの苳也先輩の笑顔が何故だかカッコよく……
いやいやいや!
色々ありすぎて俺の頭すんごいバグってる……。
もっと冷静になんなきゃ……
「おい千景。ぼーっとしてるけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫です!」
「ならいーけど。今日も予約客多いから頼むぞ」
「………うっす」
いつものように苳也先輩にポンと頭を撫でられ……撫でられた場所がやけに熱く感じた……。
店が開店すればイヴだというのに客は続々とやってくる。家族連れやカップルに一人で飲みに来る客も多かった。
ホールを慌ただしく動き回っている間は、何も考えずにいられる。直史先輩のことや苳也先輩のことも……。
「チカ。12番テーブルの料理できたよ」
「ありがとうございます!」
直史先輩は大量の注文に追われ忙しそうにしていた。苳也先輩が担当している奥の座敷も大盛り上がりで……山田のおっさんのバカデカイ笑い声がよく響いてくる。
苳也先輩は座敷に付きっきりな為、今日はあまり顔を合わせていない。
いつもならちょこちょこ話したり、冗談言い合ったりしていのだが……なんて考えていると座敷の方で「ガシャーン!」何かが割れる音とお客さんの驚いた声が聞こえてくる。
タオルを持って急いで座敷へと向かえば、グラスが床に落ち割れていて苳也先輩が片付けをしていた。
「先輩。大丈夫ですか? 袋持ってきますね」
「あぁ頼む」
どうやら酔っ払った客がグラスを落としてしまっただけのようだ。お客さんも一緒に片付けをしてくれて綺麗になり退散しようとした時、タイミング良くトイレに行っていた山田のおっさんが降臨する……。
「ん? なんだ~俺の帰りをみんなで待っててくれたのかぁ~? おっ! ちび太~今日もしっかり仕事してるかぁ~?」
「ハハ……。頑張ってま~す……」
ゲッ……! と、思った時には遅く山田のおっさんに絡まれてしまう。こうなるとおっさんの自慢話が終わらないと離してくんね~んだよなぁ……。
「クリスマスイヴっていうのに働かなきゃいけねーなんてちび太も寂しい奴だな~。俺の若い時にはクリスマスもクリスマスイヴも大忙しだったぞ~」
今日も始まりました。山田のおっさんのモテ話……。
おっさんと一緒に来ていたお客さんも、また始まったという顔をして苦笑いを浮かべている。
「ちび太は彼女もいね~のか?」
「ハハ……。そうですねぇ……」
「寂しい奴だなお前は! なぁ、兄ちゃん!」
そう言って山田のおっさんは苳也先輩に話を振ると、苳也先輩は営業スマイルを見せる。
「山田さん、俺もコイツと一緒で寂しい奴なんですよ」
「はぁ~意外だな。兄ちゃんみたいに俺に似たイケメンなら女なんて取っ替え引っ替えだろ」
「いやいや……。俺はずっと片想い中なんで」
苳也先輩の片想い発言に山田のおっさんは飛びつき、俺は解放される。苳也先輩は俺に目配せするとホールに戻れと手で追い払われる。
俺は苳也先輩に小さく頭を下げると、座敷から離れホールへ戻る……。
ホールに戻り仕事をこなすが……さっきの苳也先輩の言葉がグルグルと回る。
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