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千景の知らない空白の時間 ② 〜苳也Side〜
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ムクッと起き上がった千景は辺りをキョロキョロと見渡す。
「どうした? トイレか?」
「のど……かわいた……」
「あぁ、分かった。水やるから待って……あ、それビールだぞ」
千景は近くに置いていた俺の飲みかけのビールを両手で持つとグビグビと飲み……
「まじゅい……」
「おいおい……吐き出すなよなぁ……」
口からだぱーと、ビールを吐き千景の服はびっしょりと濡れてしまう。
「しぇんぱい……くしゃぃ……」
「お前が吐き出すからだろぉ……。ったく、ほら、さっさと上の服脱げ」
千景がもぞもぞと服を脱いでいる間に、着替えがないので直史の服を漁る。
「千景~トレーナーでもいいか~」
「あついのいやです……シャツがいい……」
「了解~」
直史のシャツを見つけだしたが、千景には結構デカいな……。
「おい、千景~。シャツ結構デカいけどこれでいい……か……?」
シャツを片手に千景の方を振り向けば……
下まで脱いでいて真っ裸になっていた……。
「おまっ……!? な、なんで下も脱いでんだよ……」
「だって、パンツも濡れて……気持ち悪かった……」
「あぁ~~……分かった分かった。さっさとシャツ着ろ」
あまりにも目に毒な光景を直視しないように千景にシャツを放り投げるように渡し、俺はもう一度直史のクローゼットを漁る。
「流石にパンツ貸りたら怒られっかなぁ……でも、下履かないのもなぁ……」
「とーやせんぱい! パンツ大丈夫っす。ほら」
シャツを着終わった千景は立ち上がり、大丈夫の意味を教えてくれる。
直史のシャツは千景をすっぽりと包み込み膝上10cmのワンピース状態になっており、下半身は綺麗に隠れている。
って、いやいや……大丈夫じゃねーだろ!
下手な座り方したら絶対見えるからなそれ!
って、思った通り見えてんじゃねーか!!
千景は直史のシャツを気に入ったのか着替えが終わると胡座をかいて可愛らしく座る。
そして、酔っ払って気にしていないせいかシャツはめくれて千景の際どい部分がチラリと見えている……。
「千景……ちゃんと座れ。見えてんぞ」
「ん? 見えてる……? あ、ほんとだぁ~」
ヘラヘラ笑う小悪魔に理性持っていかれそうになるが、ここはなんとか踏ん張る。
「ほら、今度はちゃんと水だから飲んどけ。次は溢すなよ」
「は~い」
水のペットボトルを渡せば千景はなんとか受け取りクピクピと水を飲み干す。
「とーや先輩。ありがとうです」
「おう。じゃあ、もう寝るぞ」
「もう寝るんすか?」
「そうだよ。直史もいねーし、お前は酔っ払ってめんどくせーから寝るんだよ」
「なおふみ……先輩……いない……」
直史の名前を出した途端、ご機嫌だった千景は眉をハの字にし一気にテンションを下げる……。
「なお……ふみ……せんぱい……。恋人……できちゃったぁ……」
「おいおいおい……。思い出し泣きすんなよなぁ……」
直史の前では我慢していた千景の涙は溢れ出し頬を伝う。
ふぇ~んと漫画のように泣く千景の傍にいき慰めようと思うが……一体どうやって慰めてやればいいのか分からずモタモタしてしまう。
直史だったら頭を撫でて「チカ……大丈夫?」なんて声をかけてやるだろうか……。
「千景……大丈夫か?」
「だいじょばないですぅ~」
「まぁ……そうだよな。好きな奴に恋人できたらショックだわな……」
俺も千景に恋人ができたら……こんなふうにショックをうけるんだろな……。
「そんなに直史のこと好きか……?」
「好き……好き……大好きぃ……ふぇ~ん……」
俺の胸の中で泣きじゃくる千景を見ていると、俺まで辛くなってしまう……。
「千景は直史と恋人になりたかったのか……?」
「………分かんない。でも……先輩が俺から離れちゃうのはいやぁ……」
「恋人ができたからって千景の事を嫌いになった訳じゃねーだろ。少し遊ぶ時間は減るだろうけど……」
「減るのもいやぁ~! なおふみしぇんぱ~い……」
この我儘め……。それなら……。
「チカ……。俺はチカの傍から離れたりしないよ。だから泣かないで」
直史の声を真似て直史の言いそうな事を言ってみれば千景は頬を赤らめ、恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋める。
「なおふみしぇんぱい………。でも、匂いがちがぅ~」
すんすんと匂い胸元の匂いを嗅ぎ千景は不満気な視線を向けてくる。
「はいはいはいはい。着替えてくりゃいーんだろ」
直史のクローゼットをあさり手頃なパーカーがあったのでそれを被り千景の側へと戻ると、俺の膝の上に乗るように抱きついてきてパーカーに顔を埋めながらアホ顔を晒す。
「なおふみ先輩……すきぃ……」
直史だったらこいつからこんなに愛されんのか……
「チカ……。俺も好きだよ……」
出来心で千景の耳元で「好き」と呟くと、千景ははわわわぁ……と顔を赤くして俺をぎゅうぎゅうに抱きしめてくる。
「嬉しい……。俺も大好きです、先輩……好き……」
やっちゃいけない事だとは分かってるが……今は千景を慰めるのが最優先だから許して欲しい。
小さな千景の頭を撫でてやれば、まだまだ絶賛酔っ払いの千景は俺の手に頭を擦り寄せ気持ち良さそうな表情を浮かべた後、こちらを見上げてくる。
「先輩も……ぎゅうして……」
「………はぁ?」
思わず、はぁ?なんて言ってしまったが、その言葉に千景は頬を膨らます。
「……いやなんすか?」
「いやじゃ……ねーけど……」
「なおふみ先輩なら絶対ぎゅうしてくれますよ!」
「分かったよ……。抱きしめりゃいいんだろ……」
直史の名前を出されるとなんだかイラッとするが、今は千景のいいようにしてやる。
柔らかな千景の体を抱きしめてやれば嬉しそうに千景も抱きしめ返してくる。
頬に千景の癖っ毛が触れこそばゆい……。千景の首元に顔を埋めれば「くすぐったいですよ~」と、可愛らしく笑う。
あぁ……これやべ~わ。
俺の理性が持ってかれそうだわ……。
千景は無邪気に「好き好き大好き~」と何度も繰り返し直史の代わりの俺に愛を囁いてくれる。
だが俺の下半身と強靭な理性もそろそろ限界な訳で……。
いい加減に寝るぞと声をかけようとした時、千景は俺の太腿に腰を擦り付けてくる……。
太腿には千景の硬くなったアノ感触がががががが……。
「な!? ちょっ! 千景……お前……」
「エヘヘ……。俺……たっちゃいました……」
「どうした? トイレか?」
「のど……かわいた……」
「あぁ、分かった。水やるから待って……あ、それビールだぞ」
千景は近くに置いていた俺の飲みかけのビールを両手で持つとグビグビと飲み……
「まじゅい……」
「おいおい……吐き出すなよなぁ……」
口からだぱーと、ビールを吐き千景の服はびっしょりと濡れてしまう。
「しぇんぱい……くしゃぃ……」
「お前が吐き出すからだろぉ……。ったく、ほら、さっさと上の服脱げ」
千景がもぞもぞと服を脱いでいる間に、着替えがないので直史の服を漁る。
「千景~トレーナーでもいいか~」
「あついのいやです……シャツがいい……」
「了解~」
直史のシャツを見つけだしたが、千景には結構デカいな……。
「おい、千景~。シャツ結構デカいけどこれでいい……か……?」
シャツを片手に千景の方を振り向けば……
下まで脱いでいて真っ裸になっていた……。
「おまっ……!? な、なんで下も脱いでんだよ……」
「だって、パンツも濡れて……気持ち悪かった……」
「あぁ~~……分かった分かった。さっさとシャツ着ろ」
あまりにも目に毒な光景を直視しないように千景にシャツを放り投げるように渡し、俺はもう一度直史のクローゼットを漁る。
「流石にパンツ貸りたら怒られっかなぁ……でも、下履かないのもなぁ……」
「とーやせんぱい! パンツ大丈夫っす。ほら」
シャツを着終わった千景は立ち上がり、大丈夫の意味を教えてくれる。
直史のシャツは千景をすっぽりと包み込み膝上10cmのワンピース状態になっており、下半身は綺麗に隠れている。
って、いやいや……大丈夫じゃねーだろ!
下手な座り方したら絶対見えるからなそれ!
って、思った通り見えてんじゃねーか!!
千景は直史のシャツを気に入ったのか着替えが終わると胡座をかいて可愛らしく座る。
そして、酔っ払って気にしていないせいかシャツはめくれて千景の際どい部分がチラリと見えている……。
「千景……ちゃんと座れ。見えてんぞ」
「ん? 見えてる……? あ、ほんとだぁ~」
ヘラヘラ笑う小悪魔に理性持っていかれそうになるが、ここはなんとか踏ん張る。
「ほら、今度はちゃんと水だから飲んどけ。次は溢すなよ」
「は~い」
水のペットボトルを渡せば千景はなんとか受け取りクピクピと水を飲み干す。
「とーや先輩。ありがとうです」
「おう。じゃあ、もう寝るぞ」
「もう寝るんすか?」
「そうだよ。直史もいねーし、お前は酔っ払ってめんどくせーから寝るんだよ」
「なおふみ……先輩……いない……」
直史の名前を出した途端、ご機嫌だった千景は眉をハの字にし一気にテンションを下げる……。
「なお……ふみ……せんぱい……。恋人……できちゃったぁ……」
「おいおいおい……。思い出し泣きすんなよなぁ……」
直史の前では我慢していた千景の涙は溢れ出し頬を伝う。
ふぇ~んと漫画のように泣く千景の傍にいき慰めようと思うが……一体どうやって慰めてやればいいのか分からずモタモタしてしまう。
直史だったら頭を撫でて「チカ……大丈夫?」なんて声をかけてやるだろうか……。
「千景……大丈夫か?」
「だいじょばないですぅ~」
「まぁ……そうだよな。好きな奴に恋人できたらショックだわな……」
俺も千景に恋人ができたら……こんなふうにショックをうけるんだろな……。
「そんなに直史のこと好きか……?」
「好き……好き……大好きぃ……ふぇ~ん……」
俺の胸の中で泣きじゃくる千景を見ていると、俺まで辛くなってしまう……。
「千景は直史と恋人になりたかったのか……?」
「………分かんない。でも……先輩が俺から離れちゃうのはいやぁ……」
「恋人ができたからって千景の事を嫌いになった訳じゃねーだろ。少し遊ぶ時間は減るだろうけど……」
「減るのもいやぁ~! なおふみしぇんぱ~い……」
この我儘め……。それなら……。
「チカ……。俺はチカの傍から離れたりしないよ。だから泣かないで」
直史の声を真似て直史の言いそうな事を言ってみれば千景は頬を赤らめ、恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋める。
「なおふみしぇんぱい………。でも、匂いがちがぅ~」
すんすんと匂い胸元の匂いを嗅ぎ千景は不満気な視線を向けてくる。
「はいはいはいはい。着替えてくりゃいーんだろ」
直史のクローゼットをあさり手頃なパーカーがあったのでそれを被り千景の側へと戻ると、俺の膝の上に乗るように抱きついてきてパーカーに顔を埋めながらアホ顔を晒す。
「なおふみ先輩……すきぃ……」
直史だったらこいつからこんなに愛されんのか……
「チカ……。俺も好きだよ……」
出来心で千景の耳元で「好き」と呟くと、千景ははわわわぁ……と顔を赤くして俺をぎゅうぎゅうに抱きしめてくる。
「嬉しい……。俺も大好きです、先輩……好き……」
やっちゃいけない事だとは分かってるが……今は千景を慰めるのが最優先だから許して欲しい。
小さな千景の頭を撫でてやれば、まだまだ絶賛酔っ払いの千景は俺の手に頭を擦り寄せ気持ち良さそうな表情を浮かべた後、こちらを見上げてくる。
「先輩も……ぎゅうして……」
「………はぁ?」
思わず、はぁ?なんて言ってしまったが、その言葉に千景は頬を膨らます。
「……いやなんすか?」
「いやじゃ……ねーけど……」
「なおふみ先輩なら絶対ぎゅうしてくれますよ!」
「分かったよ……。抱きしめりゃいいんだろ……」
直史の名前を出されるとなんだかイラッとするが、今は千景のいいようにしてやる。
柔らかな千景の体を抱きしめてやれば嬉しそうに千景も抱きしめ返してくる。
頬に千景の癖っ毛が触れこそばゆい……。千景の首元に顔を埋めれば「くすぐったいですよ~」と、可愛らしく笑う。
あぁ……これやべ~わ。
俺の理性が持ってかれそうだわ……。
千景は無邪気に「好き好き大好き~」と何度も繰り返し直史の代わりの俺に愛を囁いてくれる。
だが俺の下半身と強靭な理性もそろそろ限界な訳で……。
いい加減に寝るぞと声をかけようとした時、千景は俺の太腿に腰を擦り付けてくる……。
太腿には千景の硬くなったアノ感触がががががが……。
「な!? ちょっ! 千景……お前……」
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