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大学でも一緒に……
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苳也先輩に直史先輩と過ごす貴重な貴重な時間を削られながらも俺は直史先輩との思い出を少しずつ増やしていく。
体育祭に文化祭……直史先輩とは沢山の写真を撮った。
けど、そこには苳也先輩も高い頻度で写り込んでいて……ぶつくさ文句を言いながら必死にトリミングした。
そして、直史先輩の卒業の日が訪れ……もちろん俺は半泣きになりながら先輩を見送る。
「直史しぇんぱい……俺……絶対にしぇんぱいの大学に……行きますから……」
「ハハ。そっかそっか……またチカと一緒に学校生活が送れるのを楽しみに待ってるよ。勉強頑張るんだぞ」
「ひゃい……俺、頑張りますぅ~」
ズビズビと鼻を啜りながら直史先輩と約束を交わし、俺はその日から直史先輩の大学目指して猛勉強する。
直史先輩からくる応援メールに元気づけられ必死に勉強していると、苳也先輩から直史先輩との楽しそうなツーショット写真が送られてきてイラっとしたり……。
邪魔されながらも俺はどうにか……ギリギリのギリで大学に合格する。
大好きな直史先輩との素敵な素敵なキャンパスライフに胸を高鳴らせながら入学式当日を迎え、直史先輩と待ち合わせをする。
大学の正門を入って左側にある時計台の下で待ち合わせする事になり、早く着いてしまった俺はソワソワしながら直史先輩を待つ。
大学に入学するにあたって髪型と髪色も少し変えてみた。緩くパーマもかけて、髪色は前に雑誌を見ていた時に直史先輩が好きだって言っていたやや暗めのオレンジベージュに思い切って染めてみた。
髪……変じゃないかな……?
そんな事を考えていると、俺の体は長い腕で包み込まれる。
「チカ。合格おめでとう。お前の事……ずっと待ってたんだぞ」
突然、背後からギュッと抱きしめられて耳元でそんなことを直史先輩に囁かれた俺は心臓が飛び出してしまうんじゃないかと思うほどにドキドキしてしまう。
どどどどどうしよう……。
俺を待ってたって……どういう意味で……?
もしかして直史先輩……俺のこと……
「直史せんぱい……あの………………げっ!!」
頬を赤く染め乙女な顔して先輩の方へと振り向けば……そこにいたのは直史先輩では無く、小憎たらしい顔してにやけている苳也先輩が……。
「相変わらずのマヌケ面だな千景~。めちゃくちゃ似てただろ直史の声に」
「うぬぅーーー! もう、離れて下さいよ苳也先輩!」
「ハハッ。やだよ~。てか、髪どうしたんだ? 大学デビューか?」
「別にいいじゃないですか! 髪の毛なんて、誰でも染めてるでしょ!」
「チビ助も色気づくんだなぁ~。まぁ、大学に入っても彼女なんてそう簡単にできないから期待するなよ」
「してませんよっ!」
二人でいつものようにギャーギャー言いあっていると、遠くから直史先輩が手を振りながらやってくる。
「チカ~お待たせ~。相変わらず苳也と仲がいいな~」
全っっっ然よくないですよっ!
と、心の中で叫びながらどうにか苳也先輩の腕の中から抜け出し直史先輩の元へ……。
「直史先輩。あの……その……大学でもよろしくお願いします!」
「ハハ。改まってどうしたのチカ? じゃあ……これからもよろしくな、チカ」
先輩の大きな手で頭をポンポンされると幸せで天にも登れそうだ……。
「おい、千景。俺にもちゃんと挨拶しろよ」
「あ~はいはい。苳也先輩、どうぞよろしくです~」
「お前……直史と全然違うじゃねーか!」
「わっ! 頭ぐしゃぐしゃにしないで下さいよ! 今から入学式なんですからね!」
「チビ助の事なんて誰も眼中にないから気にするだけ無駄だ、無・駄」
相変わらずデリカシーのカケラもない苳也先輩に俺は腹を立てながら、大事な大学生活一日目がスタートしてしまった……。
体育祭に文化祭……直史先輩とは沢山の写真を撮った。
けど、そこには苳也先輩も高い頻度で写り込んでいて……ぶつくさ文句を言いながら必死にトリミングした。
そして、直史先輩の卒業の日が訪れ……もちろん俺は半泣きになりながら先輩を見送る。
「直史しぇんぱい……俺……絶対にしぇんぱいの大学に……行きますから……」
「ハハ。そっかそっか……またチカと一緒に学校生活が送れるのを楽しみに待ってるよ。勉強頑張るんだぞ」
「ひゃい……俺、頑張りますぅ~」
ズビズビと鼻を啜りながら直史先輩と約束を交わし、俺はその日から直史先輩の大学目指して猛勉強する。
直史先輩からくる応援メールに元気づけられ必死に勉強していると、苳也先輩から直史先輩との楽しそうなツーショット写真が送られてきてイラっとしたり……。
邪魔されながらも俺はどうにか……ギリギリのギリで大学に合格する。
大好きな直史先輩との素敵な素敵なキャンパスライフに胸を高鳴らせながら入学式当日を迎え、直史先輩と待ち合わせをする。
大学の正門を入って左側にある時計台の下で待ち合わせする事になり、早く着いてしまった俺はソワソワしながら直史先輩を待つ。
大学に入学するにあたって髪型と髪色も少し変えてみた。緩くパーマもかけて、髪色は前に雑誌を見ていた時に直史先輩が好きだって言っていたやや暗めのオレンジベージュに思い切って染めてみた。
髪……変じゃないかな……?
そんな事を考えていると、俺の体は長い腕で包み込まれる。
「チカ。合格おめでとう。お前の事……ずっと待ってたんだぞ」
突然、背後からギュッと抱きしめられて耳元でそんなことを直史先輩に囁かれた俺は心臓が飛び出してしまうんじゃないかと思うほどにドキドキしてしまう。
どどどどどうしよう……。
俺を待ってたって……どういう意味で……?
もしかして直史先輩……俺のこと……
「直史せんぱい……あの………………げっ!!」
頬を赤く染め乙女な顔して先輩の方へと振り向けば……そこにいたのは直史先輩では無く、小憎たらしい顔してにやけている苳也先輩が……。
「相変わらずのマヌケ面だな千景~。めちゃくちゃ似てただろ直史の声に」
「うぬぅーーー! もう、離れて下さいよ苳也先輩!」
「ハハッ。やだよ~。てか、髪どうしたんだ? 大学デビューか?」
「別にいいじゃないですか! 髪の毛なんて、誰でも染めてるでしょ!」
「チビ助も色気づくんだなぁ~。まぁ、大学に入っても彼女なんてそう簡単にできないから期待するなよ」
「してませんよっ!」
二人でいつものようにギャーギャー言いあっていると、遠くから直史先輩が手を振りながらやってくる。
「チカ~お待たせ~。相変わらず苳也と仲がいいな~」
全っっっ然よくないですよっ!
と、心の中で叫びながらどうにか苳也先輩の腕の中から抜け出し直史先輩の元へ……。
「直史先輩。あの……その……大学でもよろしくお願いします!」
「ハハ。改まってどうしたのチカ? じゃあ……これからもよろしくな、チカ」
先輩の大きな手で頭をポンポンされると幸せで天にも登れそうだ……。
「おい、千景。俺にもちゃんと挨拶しろよ」
「あ~はいはい。苳也先輩、どうぞよろしくです~」
「お前……直史と全然違うじゃねーか!」
「わっ! 頭ぐしゃぐしゃにしないで下さいよ! 今から入学式なんですからね!」
「チビ助の事なんて誰も眼中にないから気にするだけ無駄だ、無・駄」
相変わらずデリカシーのカケラもない苳也先輩に俺は腹を立てながら、大事な大学生活一日目がスタートしてしまった……。
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