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【番外編】〜嫌われ者の兄はやり直しの義弟達の愛玩人形になる〜
兄さんは私のもの ③
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「シャルル兄さん」
いつもより余裕のない声で兄さんの名を呼べば、シャルル兄さんは少し驚いた顔をして振り向く。
「あぁ、ジェイドか。どうしたんだ?」
兄さんは普段と変わりなく返事をするが、それも気に食わなくて返答する前に兄さんの手を引き歩き出す。
「え? あ、ちょっとジェイド!?」
「———っ、シャルル様、あの……」
後ろでマリアンヌが兄さんの名を呼ぶ声が聞こえたが無視したままホールを抜けて人気のないバルコニーへと向かった。
外に出ると冷えた空気が頬を撫でると、気持ちがいくらか落ち着く。
足を止め掴んでいた兄さんの腕を解放すると、震える声で私に声をかけてくる。
「なぁ、ジェイド……? どう、したんだ? 何か怒ってるのか?」
兄さんの方を振り向くと、先程まで掴んでいた手首に触れ怯えた顔をしている。
満月に照らされた水色の瞳は不安気に揺れていた。
「……先ほど一緒に踊っていた女性は? 以前からのお知り合いですか?」
「え? あ、あぁマリアンヌさんとは今日が初めて会ったんだ」
「では、なぜ彼女とダンスを?」
「なぜって……一人でいたから声をかけたら踊ってくれたんだ。マリアンヌさんはダンスが上手で俺の方がリードされちゃったよ」
兄さんはマリアンヌのことを思い出し、笑顔を見せる。
その表情を見ているだけで胸がざわつき、怒りとは違う感情が湧き上がってくる。
「そうですか。シャルル兄さんは、その方が気になるのですか?」
「え? いや、それは……出会ったばかりだから気になるかって聞かれてもわからないよ。でも、とても優しくて感じのいい人だったよ」
私の質問に照れくさそうに答える兄さんを見て、思わず兄さんの腕を掴む。
シャルル兄さんは戸惑った視線を私に向け「どうしたんだ?」と問いかける。
「兄さんは私たちのそばにいてくれるんですよね?」
「え……?」
「何があってもそばにいてくれると、約束しましたよね? 私のそばから離れないと」
ぐっと顔を近づけると、シャルル兄さんの表情がこわばる。
困ったように眉を下げる兄さんを見ていると何故だか心が落ち着く。
ーーそうですよ兄さん。私のことだけを考えてください。
そう思っていると、兄さんの背後で物音がした。
視線を向けると物陰に人の姿が見える。
月明かりに照らされ見えた人物はマリアンヌだった。
兄さんを追いかけてきた邪魔者に気分がまた悪くなる。
ーー兄さんがあの女と結ばれ、愛を語り合うなど……許されない。
不安できつく結ばれた兄さんの唇に目を落とし、この唇からマリアンヌへの愛が囁かれるかと思うとゾッとした。
兄さんの頬にゆっくりと触れると、私の行動に小さく体を震わる。
指先を滑らせ、兄さんの唇の端に触れると戸惑ったように見上げてくる。
兄さんの全ては私のものなんだ。
もう、二度と離さない。誰にも渡しはしない。
兄さんの唇を指先で撫でると唇を震わせ、開かれた瞳には自分の顔がうつる。
兄さんに囚われた愚かな男の姿に思わず笑いがでる。
「ジェイ、ド……?」
兄さんに名を呼ばれると心が落ち着く。
そうだ、兄さんは私だけのものなんだ。
ーー心も体も私のものにしなくては……
マリアンヌに視線を向けると、食い入るように私たちを見ている。
まずは、あの邪魔者に兄さんが誰のものなのか分からせなくてはいけない。
シャルル兄さんの腰に手を回し、私の方へと体を引き寄せる。
兄さんの華奢な体が私の腕の中で収まり、不安気な瞳に笑いかける。
「兄さん、もう一度誓って下さい。あなたが私のそばから離れないと」
私の言葉に、兄さんは小さく口を開き答えてくれる。
「俺は、ずっとジェイドのそばにいるよ」
「永遠に?」
「うん……」
「では、兄さんの心と……体を私にくれますか?」
「……うん。ジェイドこそ、俺と……一緒にいてくれるんだよな?」
その言葉に口角が自然と上がる。
私との永遠を誓った唇を指先で優しくなで、「もちろん一緒にいますよ」と返事をする代わりに、ゆっくりと顔を近づけ口付けを交わす。
兄さんは少し驚いたのか、私の胸元のシャツを握りしめてくる。
小さく震える唇から離れ、兄さんを見つめると驚きで見開かれた瞳が私だけをうつす。
そして、邪魔者の姿はいつの間にか消えていた。
いつもより余裕のない声で兄さんの名を呼べば、シャルル兄さんは少し驚いた顔をして振り向く。
「あぁ、ジェイドか。どうしたんだ?」
兄さんは普段と変わりなく返事をするが、それも気に食わなくて返答する前に兄さんの手を引き歩き出す。
「え? あ、ちょっとジェイド!?」
「———っ、シャルル様、あの……」
後ろでマリアンヌが兄さんの名を呼ぶ声が聞こえたが無視したままホールを抜けて人気のないバルコニーへと向かった。
外に出ると冷えた空気が頬を撫でると、気持ちがいくらか落ち着く。
足を止め掴んでいた兄さんの腕を解放すると、震える声で私に声をかけてくる。
「なぁ、ジェイド……? どう、したんだ? 何か怒ってるのか?」
兄さんの方を振り向くと、先程まで掴んでいた手首に触れ怯えた顔をしている。
満月に照らされた水色の瞳は不安気に揺れていた。
「……先ほど一緒に踊っていた女性は? 以前からのお知り合いですか?」
「え? あ、あぁマリアンヌさんとは今日が初めて会ったんだ」
「では、なぜ彼女とダンスを?」
「なぜって……一人でいたから声をかけたら踊ってくれたんだ。マリアンヌさんはダンスが上手で俺の方がリードされちゃったよ」
兄さんはマリアンヌのことを思い出し、笑顔を見せる。
その表情を見ているだけで胸がざわつき、怒りとは違う感情が湧き上がってくる。
「そうですか。シャルル兄さんは、その方が気になるのですか?」
「え? いや、それは……出会ったばかりだから気になるかって聞かれてもわからないよ。でも、とても優しくて感じのいい人だったよ」
私の質問に照れくさそうに答える兄さんを見て、思わず兄さんの腕を掴む。
シャルル兄さんは戸惑った視線を私に向け「どうしたんだ?」と問いかける。
「兄さんは私たちのそばにいてくれるんですよね?」
「え……?」
「何があってもそばにいてくれると、約束しましたよね? 私のそばから離れないと」
ぐっと顔を近づけると、シャルル兄さんの表情がこわばる。
困ったように眉を下げる兄さんを見ていると何故だか心が落ち着く。
ーーそうですよ兄さん。私のことだけを考えてください。
そう思っていると、兄さんの背後で物音がした。
視線を向けると物陰に人の姿が見える。
月明かりに照らされ見えた人物はマリアンヌだった。
兄さんを追いかけてきた邪魔者に気分がまた悪くなる。
ーー兄さんがあの女と結ばれ、愛を語り合うなど……許されない。
不安できつく結ばれた兄さんの唇に目を落とし、この唇からマリアンヌへの愛が囁かれるかと思うとゾッとした。
兄さんの頬にゆっくりと触れると、私の行動に小さく体を震わる。
指先を滑らせ、兄さんの唇の端に触れると戸惑ったように見上げてくる。
兄さんの全ては私のものなんだ。
もう、二度と離さない。誰にも渡しはしない。
兄さんの唇を指先で撫でると唇を震わせ、開かれた瞳には自分の顔がうつる。
兄さんに囚われた愚かな男の姿に思わず笑いがでる。
「ジェイ、ド……?」
兄さんに名を呼ばれると心が落ち着く。
そうだ、兄さんは私だけのものなんだ。
ーー心も体も私のものにしなくては……
マリアンヌに視線を向けると、食い入るように私たちを見ている。
まずは、あの邪魔者に兄さんが誰のものなのか分からせなくてはいけない。
シャルル兄さんの腰に手を回し、私の方へと体を引き寄せる。
兄さんの華奢な体が私の腕の中で収まり、不安気な瞳に笑いかける。
「兄さん、もう一度誓って下さい。あなたが私のそばから離れないと」
私の言葉に、兄さんは小さく口を開き答えてくれる。
「俺は、ずっとジェイドのそばにいるよ」
「永遠に?」
「うん……」
「では、兄さんの心と……体を私にくれますか?」
「……うん。ジェイドこそ、俺と……一緒にいてくれるんだよな?」
その言葉に口角が自然と上がる。
私との永遠を誓った唇を指先で優しくなで、「もちろん一緒にいますよ」と返事をする代わりに、ゆっくりと顔を近づけ口付けを交わす。
兄さんは少し驚いたのか、私の胸元のシャツを握りしめてくる。
小さく震える唇から離れ、兄さんを見つめると驚きで見開かれた瞳が私だけをうつす。
そして、邪魔者の姿はいつの間にか消えていた。
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