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【番外編】〜嫌われ者の兄はやり直しの義弟達の愛玩人形になる〜
兄さんは私のもの ②
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舞踏会までリエンとともに兄さんのダンスの練習相手をしていく。
練習前のシャルル兄さんは、なんとか足を踏まずに踊れる程度で女性のリードなどできる状態ではなかった。
リエンはそんな兄さんに合わせながら慣れた様子でダンスを踊る。
「兄様、もっと腰に手を当てないと~」
「う、うん。分かった」
シャルル兄さんはリエンに指導されながら、必死に練習しているが、どこか楽しそうにも見えた。
リエンが「疲れた~」と言って休憩している時も、兄さんは一人でステップの練習をしている。
ステップをうまく踏めず首を傾げる姿が面白く、手を差し伸べる。
「シャルル兄さん、まずは体の動きを覚えていきましょう。その動きに合わせてステップを踏むんです」
「体の……動き?」
さらに首を傾げる兄さんの姿に思わず笑ってしまう。
シャルル兄さんは恥ずかしそうに頬を赤くすると「笑うなよなぁ……」と小さく愚痴をこぼす。
そんな兄さんをなだめながら、兄さんの背後に回り手をとり動きをレクチャーしていくと、ぎこちないながらも兄さんは動きを覚えていく。
「そうです、兄さん上手ですよ」
「うん、ありがとうジェイド」
兄さんは私を見上げ無垢な笑顔を向けてくる。
その笑顔に答えるように微笑めば、兄さんは笑みを深くした。
◇
そして、舞踏会当日。
リエンに笑顔で見送られ、兄さんと二人馬車に乗り込む。
母がどうせ二人で行くのならと、シャルル兄さんと私はお揃いのアップバングの髪型にされた。
兄さんは前髪がないことが気になっているのか、何度も髪に触れている。
「シャルル兄さん、その髪型もよく似合っていますよ」
「そうか? こういう髪型って、なかなかしないから慣れないんだよな」
照れくさそうに笑う兄さんを褒めながら、舞踏会の会場となる公爵家に到着する。
多くの人で賑わうホールに到着すると、兄さんは緊張したようにぎこちない歩き方をする。
「緊張しているんですか?」
「雰囲気が慣れなくてさ。ジェイドは……二度目だから、こういう場は慣れているのか?」
囁くように問いかけてくるシャルル兄さんに肯定の意味で頷くと、何故だかホッとした表情を見せる。
「俺が何かおかしなことしてたら注意してくれよな」
そう言って照れくさそうに笑う兄さんにつられて私も思わず微笑んでしまう。
先ほどの会話で緊張がほぐれたのか、兄さんの足取りは軽くなっていた。
それからは、互いに友人に声をかけられ私たちは自然と離れていく。
途中、兄さんのことが気になり様子を伺うが友人たちと楽しそうに談笑していた。
兄さんの方を見ていると友人が揶揄うように声をかけてくる
「なぁジェイド、さっきからあっちの方ばかり見てるけど気になる女性でもいるのか?」
「ハハ、そんな人はいないよ」
「え~そんな風には見えなかったけどな~。今まで見たことないくらいにいい顔してたぞ」
友人の冗談に笑いながら兄さんから視線を外す。
ーー心配しすぎだな。
これからはシャルル兄さんも、社交の場に慣れてもらわないといけない。
ウォールマン家の長子として、兄さんは今後家督を継ぐのだから。
そして、私のそばにいてくれればいい。
そう思いながら、友人たちとたわいのない談笑を続けていく。
舞踏会が始まりしばらく経つと、音楽が流れ始める。
自然と男女が手を取り合い、音楽に合わせて中央のホールでダンスを踊る。
皆、緊張した様子で初々しくダンスを踊り始める。
私の周りにも女性たちが集まり、声をかけてもらうのを待っているのが分かったが、目を合わさずにやり過ごす。
それよりも、シャルル兄さんの姿を見失ってしまい辺りを見渡していると兄さんの姿が見えた。
ダンスホールの中心で楽しそうに踊り微笑む兄さん。
その相手は、ミルクティー色の髪の毛ゆらし、頬を赤らめ兄さんを見つめていた。
……マリアンヌ。
一度目の人生でシャルル兄さんと結ばれ、兄さんを見捨てた女との再会に鼓動が速くなる。
ーー二人は一度目もここで出会ったのか? なぜ、今回も二人は出会ってしまったのか……二人の出会いは避けられない運命なのだろうか。二人はこの人生でも結ばれ……
自分のもとからシャルル兄さんが去っていく姿を想像し吐き気がした。
ーー私のそばから離れないと誓ったのに、永遠だと誓ったのに。
二人が踊る数分間がとても長く感じる。
リードしようと一生懸命な兄さんの姿、腰に手を回されはにかむマリアンヌの笑顔、私には見せたことないシャルル兄さんの表情……
その、全てが気に食わない。
曲が終わり、少しの間があく。
二人は、互いにはにかみ何かを話している。
屈託のない笑顔を見せる兄さんに腹が立ち、ホールを突っ切って兄さんのもとへ歩み寄った。
練習前のシャルル兄さんは、なんとか足を踏まずに踊れる程度で女性のリードなどできる状態ではなかった。
リエンはそんな兄さんに合わせながら慣れた様子でダンスを踊る。
「兄様、もっと腰に手を当てないと~」
「う、うん。分かった」
シャルル兄さんはリエンに指導されながら、必死に練習しているが、どこか楽しそうにも見えた。
リエンが「疲れた~」と言って休憩している時も、兄さんは一人でステップの練習をしている。
ステップをうまく踏めず首を傾げる姿が面白く、手を差し伸べる。
「シャルル兄さん、まずは体の動きを覚えていきましょう。その動きに合わせてステップを踏むんです」
「体の……動き?」
さらに首を傾げる兄さんの姿に思わず笑ってしまう。
シャルル兄さんは恥ずかしそうに頬を赤くすると「笑うなよなぁ……」と小さく愚痴をこぼす。
そんな兄さんをなだめながら、兄さんの背後に回り手をとり動きをレクチャーしていくと、ぎこちないながらも兄さんは動きを覚えていく。
「そうです、兄さん上手ですよ」
「うん、ありがとうジェイド」
兄さんは私を見上げ無垢な笑顔を向けてくる。
その笑顔に答えるように微笑めば、兄さんは笑みを深くした。
◇
そして、舞踏会当日。
リエンに笑顔で見送られ、兄さんと二人馬車に乗り込む。
母がどうせ二人で行くのならと、シャルル兄さんと私はお揃いのアップバングの髪型にされた。
兄さんは前髪がないことが気になっているのか、何度も髪に触れている。
「シャルル兄さん、その髪型もよく似合っていますよ」
「そうか? こういう髪型って、なかなかしないから慣れないんだよな」
照れくさそうに笑う兄さんを褒めながら、舞踏会の会場となる公爵家に到着する。
多くの人で賑わうホールに到着すると、兄さんは緊張したようにぎこちない歩き方をする。
「緊張しているんですか?」
「雰囲気が慣れなくてさ。ジェイドは……二度目だから、こういう場は慣れているのか?」
囁くように問いかけてくるシャルル兄さんに肯定の意味で頷くと、何故だかホッとした表情を見せる。
「俺が何かおかしなことしてたら注意してくれよな」
そう言って照れくさそうに笑う兄さんにつられて私も思わず微笑んでしまう。
先ほどの会話で緊張がほぐれたのか、兄さんの足取りは軽くなっていた。
それからは、互いに友人に声をかけられ私たちは自然と離れていく。
途中、兄さんのことが気になり様子を伺うが友人たちと楽しそうに談笑していた。
兄さんの方を見ていると友人が揶揄うように声をかけてくる
「なぁジェイド、さっきからあっちの方ばかり見てるけど気になる女性でもいるのか?」
「ハハ、そんな人はいないよ」
「え~そんな風には見えなかったけどな~。今まで見たことないくらいにいい顔してたぞ」
友人の冗談に笑いながら兄さんから視線を外す。
ーー心配しすぎだな。
これからはシャルル兄さんも、社交の場に慣れてもらわないといけない。
ウォールマン家の長子として、兄さんは今後家督を継ぐのだから。
そして、私のそばにいてくれればいい。
そう思いながら、友人たちとたわいのない談笑を続けていく。
舞踏会が始まりしばらく経つと、音楽が流れ始める。
自然と男女が手を取り合い、音楽に合わせて中央のホールでダンスを踊る。
皆、緊張した様子で初々しくダンスを踊り始める。
私の周りにも女性たちが集まり、声をかけてもらうのを待っているのが分かったが、目を合わさずにやり過ごす。
それよりも、シャルル兄さんの姿を見失ってしまい辺りを見渡していると兄さんの姿が見えた。
ダンスホールの中心で楽しそうに踊り微笑む兄さん。
その相手は、ミルクティー色の髪の毛ゆらし、頬を赤らめ兄さんを見つめていた。
……マリアンヌ。
一度目の人生でシャルル兄さんと結ばれ、兄さんを見捨てた女との再会に鼓動が速くなる。
ーー二人は一度目もここで出会ったのか? なぜ、今回も二人は出会ってしまったのか……二人の出会いは避けられない運命なのだろうか。二人はこの人生でも結ばれ……
自分のもとからシャルル兄さんが去っていく姿を想像し吐き気がした。
ーー私のそばから離れないと誓ったのに、永遠だと誓ったのに。
二人が踊る数分間がとても長く感じる。
リードしようと一生懸命な兄さんの姿、腰に手を回されはにかむマリアンヌの笑顔、私には見せたことないシャルル兄さんの表情……
その、全てが気に食わない。
曲が終わり、少しの間があく。
二人は、互いにはにかみ何かを話している。
屈託のない笑顔を見せる兄さんに腹が立ち、ホールを突っ切って兄さんのもとへ歩み寄った。
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