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【番外編】〜嫌われ者の兄はやり直しの義弟達の愛玩人形になる〜
新たな感情
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二度目の人生が始まり、早いもので二年が経った。
苦しんで日々を過ごしていた一度目とは違い、今は何不自由なく過ごせている。
兄さんは私たちのお願いごとなら、なんでも聞いてくれる優しい兄へと生まれ変わった。
最初は、私たちを避けて逃げ出したり、私たちのお願いごとを拒否して我儘なことを言うこともあった。
だが、時間をかけて兄さんを躾けていけば、兄さんは従順になっていく。
声をかけるたびに、今度は何をやらされるのだろうと不安な表情を見せる兄さんを最近では愛らしいと感じることもある。
学園でも屋敷でも、私たちを虐げるものはいなくなった。
それも全て私のシャルル兄さんのおかげだ。
そして、今日も兄さんを呼び出し戯れる。
「シャルル兄さん、課題で分からないところがあるので教えていただけませんか?」
「……あぁ」
声をかけると、体を小さく揺らし頷く。
私の部屋にやってくる兄さんの足取りは重い。
「ここが分からないのですが」
シャルル兄さんのレベルでは難しい内容を提示すれば、兄さんはかしげ考え込み小さく首を振る。
「……俺にはわからない」
「そうですか、それは残念です。侯爵家の長男である兄さんならば、簡単に解けると思ったのですが……」
意地悪く兄さんの自尊心を傷つける言葉を投げかけると、兄さんは瞳を潤ませる。
最近の兄さんは、感情が高ぶると涙を見せることが多くなった。
行き場のない怒りは、涙へと変わり、そんな自分が情けないのか、さらに涙は溢れてきている。
「シャルル兄さん、大丈夫ですか?」
「大、丈夫だ……」
声を詰まらせ必死に涙をこらえる兄さんに、背筋がゾクリと疼く。
———ここで、優しくすれば涙をこぼし私に泣きつくのだろうか?
ふと湧き上がる好奇心。
兄さんの手に触れ、優しく声をかける。
「すみません、シャルル兄さん。いつも頼ってばかりで……。やはり迷惑でしたか?」
「いや、そんなことは……ない」
「よかった。シャルル兄さんがそばにいてくれると、すごく安心するんですよ。シャルル兄さんが私の兄になってくださって本当に幸せです」
普段はあまり見せない笑顔を向ければ、兄さんは頬を赤らめる。
意外な反応を見せる兄さんに興味を抱く。
「顔が赤いですが、体調でも悪いのですか?」
「わ、悪くない……」
「ふふ。よかったです。では、兄さん。課題の続きを手伝ってくれますか?」
「うん……」
手を重ねたまま再度微笑めば、また頬を赤らめる兄さん。
まるで、恋心を抱いた少女のような反応を見せる兄さんが面白く私は、兄さんと話す時には体に触れることが多くなる。
ソファーに腰掛ける兄さんの隣に座り、緊張して握りしめられた拳に手を重ね話しかける。
頬を赤く染め緊張と不安な顔をしながらも、私を見つめる瞳は以前とは違い何か求めているようにも感じた。
求めるものは、私の好意や優しさだろうか……?
兄さんにとって、この屋敷では私とリエンだけが兄さんの味方だ。
私たちがいなければ、一度目と同じく叔父に利用され捨てられ惨めに死んでいく人生を辿る兄さん。
そう考えると、兄さんが可哀想な捨て猫のように見えてくる。
哀れな兄さんを私とリエンで躾ながら飼ってやるのも楽しいかもしれない。
———たまには、優しくしてやるのも飼い主の役目か。
重ねた手で拳を撫で、優しく話しかければ緊張が解けたのか兄さんが微かに笑みを浮かべる。
初めて見た、兄さんの微笑み。
喜びで淡く揺れる水色の瞳が私だけを映す。
そんな兄さんの表情に、なぜか心が満たされる。
兄さんに抱く新たな感情は、少しずつ少しずつ私の心を蝕んでいった。
苦しんで日々を過ごしていた一度目とは違い、今は何不自由なく過ごせている。
兄さんは私たちのお願いごとなら、なんでも聞いてくれる優しい兄へと生まれ変わった。
最初は、私たちを避けて逃げ出したり、私たちのお願いごとを拒否して我儘なことを言うこともあった。
だが、時間をかけて兄さんを躾けていけば、兄さんは従順になっていく。
声をかけるたびに、今度は何をやらされるのだろうと不安な表情を見せる兄さんを最近では愛らしいと感じることもある。
学園でも屋敷でも、私たちを虐げるものはいなくなった。
それも全て私のシャルル兄さんのおかげだ。
そして、今日も兄さんを呼び出し戯れる。
「シャルル兄さん、課題で分からないところがあるので教えていただけませんか?」
「……あぁ」
声をかけると、体を小さく揺らし頷く。
私の部屋にやってくる兄さんの足取りは重い。
「ここが分からないのですが」
シャルル兄さんのレベルでは難しい内容を提示すれば、兄さんはかしげ考え込み小さく首を振る。
「……俺にはわからない」
「そうですか、それは残念です。侯爵家の長男である兄さんならば、簡単に解けると思ったのですが……」
意地悪く兄さんの自尊心を傷つける言葉を投げかけると、兄さんは瞳を潤ませる。
最近の兄さんは、感情が高ぶると涙を見せることが多くなった。
行き場のない怒りは、涙へと変わり、そんな自分が情けないのか、さらに涙は溢れてきている。
「シャルル兄さん、大丈夫ですか?」
「大、丈夫だ……」
声を詰まらせ必死に涙をこらえる兄さんに、背筋がゾクリと疼く。
———ここで、優しくすれば涙をこぼし私に泣きつくのだろうか?
ふと湧き上がる好奇心。
兄さんの手に触れ、優しく声をかける。
「すみません、シャルル兄さん。いつも頼ってばかりで……。やはり迷惑でしたか?」
「いや、そんなことは……ない」
「よかった。シャルル兄さんがそばにいてくれると、すごく安心するんですよ。シャルル兄さんが私の兄になってくださって本当に幸せです」
普段はあまり見せない笑顔を向ければ、兄さんは頬を赤らめる。
意外な反応を見せる兄さんに興味を抱く。
「顔が赤いですが、体調でも悪いのですか?」
「わ、悪くない……」
「ふふ。よかったです。では、兄さん。課題の続きを手伝ってくれますか?」
「うん……」
手を重ねたまま再度微笑めば、また頬を赤らめる兄さん。
まるで、恋心を抱いた少女のような反応を見せる兄さんが面白く私は、兄さんと話す時には体に触れることが多くなる。
ソファーに腰掛ける兄さんの隣に座り、緊張して握りしめられた拳に手を重ね話しかける。
頬を赤く染め緊張と不安な顔をしながらも、私を見つめる瞳は以前とは違い何か求めているようにも感じた。
求めるものは、私の好意や優しさだろうか……?
兄さんにとって、この屋敷では私とリエンだけが兄さんの味方だ。
私たちがいなければ、一度目と同じく叔父に利用され捨てられ惨めに死んでいく人生を辿る兄さん。
そう考えると、兄さんが可哀想な捨て猫のように見えてくる。
哀れな兄さんを私とリエンで躾ながら飼ってやるのも楽しいかもしれない。
———たまには、優しくしてやるのも飼い主の役目か。
重ねた手で拳を撫で、優しく話しかければ緊張が解けたのか兄さんが微かに笑みを浮かべる。
初めて見た、兄さんの微笑み。
喜びで淡く揺れる水色の瞳が私だけを映す。
そんな兄さんの表情に、なぜか心が満たされる。
兄さんに抱く新たな感情は、少しずつ少しずつ私の心を蝕んでいった。
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