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【番外編】二度目の人生番外編
隣国、ミャーム国編 ⑧
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ノア王子とマエル国王とともに馬車に乗り込み走ること一時間。
やってきたのは国が管理している森の中だった。
馬車の中では、ノア王子が俺の隣に座り馬車の小窓から見える景色を見て色々と話をしてくれる。
「今から向かう場所は、王家の家族や親しき友人など特別な人だけが入ることを許される場所なんです」
「えっ、そんな場所に私が行っても大丈夫なんですか?」
「はい。シャルル様は僕にとって特別な人ですから」
淡い水色の瞳を輝かせ微笑みかけてくるノア王子。
ノア王子の瞳は、俺を通して亡くなった王妃を思い浮かべているように見える。
でも、王家の許可がおりないと入れない場所って、一体どんな場所なんだろうか……。
俺は少し緊張してしまう。
「シャルル殿、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。向かっている場所は国が管理しているため、私たちの許可がいる場所なだけだから」
柔らかく微笑むマエル国王の言葉に頷くと、ノア王子がそっと手を繋いでくる。
ノア王子に視線を向けると、少し恥ずかしそうにはにかむ。
———手、繋ぎたかったのかな?
可愛らしいノア王子の行動に、俺も口元を綻ばせた。
そして、馬車は青々と茂る木々を掻き分けながら走り続け、開けた場所へ到着する。
馬車から降りると、とても大きな湖が目に入る。
コバルトブルーが広がり、太陽の光を浴びて水面はキラキラと煌めいている。
あまりにも壮大で綺麗な光景に思わず言葉を無くす。
「シャルル様、どうですか? すっごく綺麗でしょ?」
「はい! とても綺麗ですね」
思わずテンションが上がった声で返事をすると、ノア王子も満面の笑みを見せる。
「この場所は、母様のお気に入りの場所だったんです。病気がちだった母様と、元気になったら一緒に行こうねと約束していたんですが……それも叶いませんでした。だから、シャルル様と一緒に来れれば、母様との約束を守れるんじゃないかって思って……」
「ノア王子……」
幼くして母親を亡くした辛さは俺も痛いほど分かる。
俺も、病弱だった母と沢山の約束をした。
約束を交わすことで、母と自分に繋がりができた気がしたっけ……。
悲しげな表情を浮かべる優しい王子の手をぎゅっと握り締める。
「ノア王子の優しさは、きっと天国にいらっしゃるお母様に届いていますよ」
「そうでしょうか……」
「はい。こうやって、ずっと思い続けるだけでも、お母様は喜んでいらっしゃると思いますよ」
ノア王子の瞳は潤み涙が溢れだしてくる。
俺はしゃがみ込み、その涙をハンカチで拭う。
「今日は、お母様との思い出を沢山教えて下さい。そして、お母様と交わした約束を一緒に叶えていきましょう」
王子にそう伝えると、くしゃりと顔を歪め抱きついてくる。
「シャルル……様……。ありがとう……ございます……」
震える王子の背中に手を回し、俺も王子を抱きしめる。胸元で啜り泣く、小さな王子の背中を撫でていると、マエル国王がこちらに近寄り王子に声をかける。
「ノア、大丈夫か?」
「ぐす……はい、大丈夫、です」
王子は涙を手の甲で拭い、国王へと視線を向ける。
国王はしゃがみ込むと、ノア王子の頭を撫でる。
「私も、ノアとレシスが交わした約束のお手伝いをさせてくれないか?」
「……父様、いいんですか?」
「あぁ、もちろんだ。シャルル殿と一緒に、ノアの願いを叶えさせてくれ」
そう言うと、マエル国王は長い腕を伸ばし俺ごと王子を抱きしめる。
ノア王子を挟んで、国王の腕が俺を包み込み、一瞬ドキリとしてしまう。
国王と目が合えば、眉を下げ優しく笑いかけてくる。
———これは、ノア王子を思って抱きしめているんだよな……?
少しドキッとしてしまったが、俺と国王に挟まれたノア王子のはじける笑顔を見れば、小さな疑問は打ち消された。
やってきたのは国が管理している森の中だった。
馬車の中では、ノア王子が俺の隣に座り馬車の小窓から見える景色を見て色々と話をしてくれる。
「今から向かう場所は、王家の家族や親しき友人など特別な人だけが入ることを許される場所なんです」
「えっ、そんな場所に私が行っても大丈夫なんですか?」
「はい。シャルル様は僕にとって特別な人ですから」
淡い水色の瞳を輝かせ微笑みかけてくるノア王子。
ノア王子の瞳は、俺を通して亡くなった王妃を思い浮かべているように見える。
でも、王家の許可がおりないと入れない場所って、一体どんな場所なんだろうか……。
俺は少し緊張してしまう。
「シャルル殿、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。向かっている場所は国が管理しているため、私たちの許可がいる場所なだけだから」
柔らかく微笑むマエル国王の言葉に頷くと、ノア王子がそっと手を繋いでくる。
ノア王子に視線を向けると、少し恥ずかしそうにはにかむ。
———手、繋ぎたかったのかな?
可愛らしいノア王子の行動に、俺も口元を綻ばせた。
そして、馬車は青々と茂る木々を掻き分けながら走り続け、開けた場所へ到着する。
馬車から降りると、とても大きな湖が目に入る。
コバルトブルーが広がり、太陽の光を浴びて水面はキラキラと煌めいている。
あまりにも壮大で綺麗な光景に思わず言葉を無くす。
「シャルル様、どうですか? すっごく綺麗でしょ?」
「はい! とても綺麗ですね」
思わずテンションが上がった声で返事をすると、ノア王子も満面の笑みを見せる。
「この場所は、母様のお気に入りの場所だったんです。病気がちだった母様と、元気になったら一緒に行こうねと約束していたんですが……それも叶いませんでした。だから、シャルル様と一緒に来れれば、母様との約束を守れるんじゃないかって思って……」
「ノア王子……」
幼くして母親を亡くした辛さは俺も痛いほど分かる。
俺も、病弱だった母と沢山の約束をした。
約束を交わすことで、母と自分に繋がりができた気がしたっけ……。
悲しげな表情を浮かべる優しい王子の手をぎゅっと握り締める。
「ノア王子の優しさは、きっと天国にいらっしゃるお母様に届いていますよ」
「そうでしょうか……」
「はい。こうやって、ずっと思い続けるだけでも、お母様は喜んでいらっしゃると思いますよ」
ノア王子の瞳は潤み涙が溢れだしてくる。
俺はしゃがみ込み、その涙をハンカチで拭う。
「今日は、お母様との思い出を沢山教えて下さい。そして、お母様と交わした約束を一緒に叶えていきましょう」
王子にそう伝えると、くしゃりと顔を歪め抱きついてくる。
「シャルル……様……。ありがとう……ございます……」
震える王子の背中に手を回し、俺も王子を抱きしめる。胸元で啜り泣く、小さな王子の背中を撫でていると、マエル国王がこちらに近寄り王子に声をかける。
「ノア、大丈夫か?」
「ぐす……はい、大丈夫、です」
王子は涙を手の甲で拭い、国王へと視線を向ける。
国王はしゃがみ込むと、ノア王子の頭を撫でる。
「私も、ノアとレシスが交わした約束のお手伝いをさせてくれないか?」
「……父様、いいんですか?」
「あぁ、もちろんだ。シャルル殿と一緒に、ノアの願いを叶えさせてくれ」
そう言うと、マエル国王は長い腕を伸ばし俺ごと王子を抱きしめる。
ノア王子を挟んで、国王の腕が俺を包み込み、一瞬ドキリとしてしまう。
国王と目が合えば、眉を下げ優しく笑いかけてくる。
———これは、ノア王子を思って抱きしめているんだよな……?
少しドキッとしてしまったが、俺と国王に挟まれたノア王子のはじける笑顔を見れば、小さな疑問は打ち消された。
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