嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

赤牙

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【番外編】二度目の人生番外編

隣国、ミャーム国編 ⑦

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喉の渇きで目が覚める。
しっとりと汗ばんだ肌が少し気持ち悪くて、ベッドの中で体を動かすと、二人の腕が俺を離してくれない。
すやすやと眠る二人の顔は、昨日とは違い穏やかなものだった。
なんとか二人の腕から逃げ出し、ベッドに腰掛け太ももを見れば……沢山の赤い鬱血痕が目に入る。

「うわぁ……。着替える時どうしよう……」

どうしようと考えたところで、どうしようもないので大きくため息を吐いて諦めることにする。
窓の方を見れば、空は薄明るくなっている。
シャツを羽織り、バルコニーに続く窓を開くと、柔らかな風が入ってくる。

「綺麗……」

バルコニーからは城の庭園が見え、綺麗な花々が朝日の光を浴び輝いている。そよ風に揺られる、大きな木々の葉の音を聞きながら、目一杯空気を吸い込み深呼吸する。
この綺麗な風景を二人と一緒に見たいと思った俺は、眠るジェイドとリエンのもとへ。

「ジェイド、リエン。朝焼けがすっごく綺麗だぞ」
「ん……。もぅ起きたの兄さまぁ、おはよ~」

リエンは眠い目を擦りのそりと起き上がる。朝に弱いジェイドは、しかめ面してまた布団の中に。

「おはよう、リエン。景色が綺麗だったから、一緒に見たいなって思ってさ」
「そうなんだ。ジェイド兄様は……これは起きないね」
「だな」

大きな体を丸めるジェイドを見て、くすくすと二人で笑う。リエンとともにバルコニーへ。
太陽はさっきよりも顔を出し、オレンジの光が強くなる。

「うわぁ、すっごく綺麗だね~」
「そうだろ。こんなに綺麗な景色を一人で見るのは勿体ないなって思って、寝てる二人を起こしちゃったんだ」
「そっか~。兄様、起こしてくれてありがとう」

リエンは背後から俺を抱きしめると頬を擦り寄せてくれる。リエンの柔らかな癖っ毛が頬に触れて少しくすぐったい。
リエンに抱きしめられたまま、太陽がのぼる様子を二人で見つめ、素敵な朝のひと時を過ごした。

しばらくして、ジェイドが目を覚ます。
リエンが朝の様子を自慢げに話すと、ちょっぴり不機嫌な顔をして「明日は絶対に起こして下さいね」と、念押ししてくる。
子どものようなジェイドの姿に、思わず笑いが込み上げてしまった。

それから、執事長が部屋へ訪れると約束していたノア王子との朝食に誘われる。
ジェイドとリエンに行ってくると手を振り部屋を出ると、まずは着替えに。
用意されていた服に袖を通していく。服は、昨日着ていたものより少し落ち着いた雰囲気だ。
淡い水色のゆったりとした襟のない長袖のシャツを羽織る。ズボンも動きやすい軽い感じのもので、肌触りもすごくいい。
最後に長くなった髪を結われると準備が終わる。

そして、執事長が連れて行ってくれたのは城の庭園。手がかけられた庭を歩いていくと、木々に囲まれたガゼボが見える。
その中には机と椅子が並べられ、椅子に座る二つの人影が見える。小さな人影がこちらに気付くと、大きく手を振る。

「マエル国王、ノア王子、お待たせしました」
「私たちも今来たところだ。さぁ、座ってくれ」

マエル国王に促され、席に着くとノア王子は笑顔でこちらを見てくる。

「シャルル様、今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします、ノア王子」

二人に挨拶をすませると、朝食が運ばれる。
ふんわりとした蒸しパンにスープ、スパイスの効いた具沢山のオムレツなどミャーム国の朝食はどれも新鮮で美味しかった。
ノア王子は俺の様子をチラチラと見てくるので、美味しいですよと微笑めば微笑み返してくれる。
食事が終わると、お茶が振る舞われる。

「ノア王子、今日は行きたい場所があるとおっしゃっていましたね」
「はい。シャルル様に見せたい素敵な場所があるんです」
「そうですか。それは楽しみですね」

エヘヘと微笑むノア王子。

「今日は父様も一緒に過ごしてくれるので、すごく嬉しいです」

ノア王子の言葉に、マエル国王へ視線を向けると目を細め笑みを深くする。

「今日はよろしく頼むよ、シャルル殿」
「は、はい!」

国王の微笑みに俺は少し緊張してしまった。
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