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【番外編】二度目の人生番外編
隣国、ミャーム国編 ③
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パーティーが開かれる会場に一歩足を踏み入れ、まず目に入ったのは天井から吊るされた豪華なシャンデリア。そして、伝統的で優美な空間が広がり、俺たちはその雰囲気にのまれてしまう。
「これはまた……凄いですね」
「う、うん。何が凄いのかとにかく分からないくらいにすごいね……」
ジェイドとリエンも珍しく動揺しており、辺りを見渡していた。もちろん三人の中では俺が一番動揺している。
動揺している原因は、豪華絢爛な部屋の雰囲気もだが俺が手に持っている箱も原因の一つだ。
ミャーム国では生誕祭に招待された客は、プレゼントを一つ持ってくる事になっていると教えてもらった。
王子に渡すプレゼントなんて考えたこともない俺は父に相談する。
親族でない者のプレゼントは形式上のものだから高価なものでなくていいと言われた。
それでも、失礼に当たらないものを……と、考えて用意はしてきたが……。
実際に訪れれば、えらく歓迎され特別に部屋まで準備されていた。
そして、用意してくれた服は他の参列者よりも華やかで品のあるものだった。
——これを王子に送って失礼にあたらないかな……。
手に持った小箱を見つめ不安が強くなり、俺はくっと飲み物を流し込む。
衣装のせいか招待客の注目を浴びながらパーティーが始まるのを待っていると、緊張感からトイレに行きたくなる。
ジェイドに耳打ちしてトイレに行ってくると伝えれば「一人で大丈夫ですか?」なんて、子どもみたいな心配をされる。
俺は笑って大丈夫だと言い出ていったのだが……
「……完全に迷ってしまった」
ただでさえ、だだっ広い城内を歩き回り、ここかな? と、思って曲がった廊下は違う場所へと続いていた。
そして、気がつけば綺麗な庭園が広がる中庭へと辿り着いてしまった。
歩き疲れた俺はふらふらと中へ入り、庭にあった素敵な椅子に腰掛ける。
「この椅子も、ものすごく高いんだろうな……」
大きなため息を吐き空を見上げていると、中庭の奥から小さな人影が現れる。
現れたのは水色の瞳の褐色肌の幼い少年。俺と視線が合うとホワァっと嬉しそうに笑みを浮かべる。
小走りで駆け寄ってくるとパッと両腕を広げる。
「———母様!」
「…………え? え? えぇっ!?」
キョロキョロと辺りを見渡すが、俺以外に他の人物は見当たらない。そうこうしていると少年は俺のもとへと、どんどん近づいてくる。
思わず俺も腕を広げ、胸に飛び込んできた少年を抱きしめる。
少年はアルマン達よりも少し小さく、五~六歳くらいだろうか。俺の体を小さな腕で精一杯抱きしめると、嬉しそうに顔をあげる。
「母様……母様……。やっと会えた……」
「え!? あ、いや……俺は……」
「ノア!」
俺は君の母様ではないと伝えようとした時、背後から不機嫌な男性の声が聞こえる。体を小さく揺らし、恐る恐る声の方へと視線を向ければ背の高い美丈夫が険しい顔をしていた。
ミャーム国特有の彫りの深い顔に鋭い目つき。
そして、緩やかな癖っ毛の黒髪を一つにまとめた男性は、俺の顔を見て目を見開く。
「———っ! ……ノア。お客様にいきなり抱きつくのは失礼にあたるぞ」
「……父様、すみません。でも……」
『ノア』
それは、今回俺をミャーム国に招待してくれた第一王子と同じ名前だ。
つまり……今、俺が抱きしめている少年は……ノア王子!?
思わずパッと手を解くと、ノア王子は寂しそうに俯く。俺たちの様子を見ていた男性は、目頭を押さえ何やら考え込む。
というか、ノア王子が『父様』と呼んでいたということは、この男性は国王……?
屈んでいた体を起こし、俺は会釈する。
「も、申し訳ありません。ノア王子とは知らず、ご無礼な態度を……」
「………いや、こちらこそすまない。ノアも普段は、こんな失礼なことはしないんだが……貴方を前にすると感情が抑えられないようだ……」
「??」
ミャーム国の国王であるマエル国王は神妙な顔をする。そして、ノア王子も。
状況が掴めない俺は二人の間で小さく首をかしげた。
「これはまた……凄いですね」
「う、うん。何が凄いのかとにかく分からないくらいにすごいね……」
ジェイドとリエンも珍しく動揺しており、辺りを見渡していた。もちろん三人の中では俺が一番動揺している。
動揺している原因は、豪華絢爛な部屋の雰囲気もだが俺が手に持っている箱も原因の一つだ。
ミャーム国では生誕祭に招待された客は、プレゼントを一つ持ってくる事になっていると教えてもらった。
王子に渡すプレゼントなんて考えたこともない俺は父に相談する。
親族でない者のプレゼントは形式上のものだから高価なものでなくていいと言われた。
それでも、失礼に当たらないものを……と、考えて用意はしてきたが……。
実際に訪れれば、えらく歓迎され特別に部屋まで準備されていた。
そして、用意してくれた服は他の参列者よりも華やかで品のあるものだった。
——これを王子に送って失礼にあたらないかな……。
手に持った小箱を見つめ不安が強くなり、俺はくっと飲み物を流し込む。
衣装のせいか招待客の注目を浴びながらパーティーが始まるのを待っていると、緊張感からトイレに行きたくなる。
ジェイドに耳打ちしてトイレに行ってくると伝えれば「一人で大丈夫ですか?」なんて、子どもみたいな心配をされる。
俺は笑って大丈夫だと言い出ていったのだが……
「……完全に迷ってしまった」
ただでさえ、だだっ広い城内を歩き回り、ここかな? と、思って曲がった廊下は違う場所へと続いていた。
そして、気がつけば綺麗な庭園が広がる中庭へと辿り着いてしまった。
歩き疲れた俺はふらふらと中へ入り、庭にあった素敵な椅子に腰掛ける。
「この椅子も、ものすごく高いんだろうな……」
大きなため息を吐き空を見上げていると、中庭の奥から小さな人影が現れる。
現れたのは水色の瞳の褐色肌の幼い少年。俺と視線が合うとホワァっと嬉しそうに笑みを浮かべる。
小走りで駆け寄ってくるとパッと両腕を広げる。
「———母様!」
「…………え? え? えぇっ!?」
キョロキョロと辺りを見渡すが、俺以外に他の人物は見当たらない。そうこうしていると少年は俺のもとへと、どんどん近づいてくる。
思わず俺も腕を広げ、胸に飛び込んできた少年を抱きしめる。
少年はアルマン達よりも少し小さく、五~六歳くらいだろうか。俺の体を小さな腕で精一杯抱きしめると、嬉しそうに顔をあげる。
「母様……母様……。やっと会えた……」
「え!? あ、いや……俺は……」
「ノア!」
俺は君の母様ではないと伝えようとした時、背後から不機嫌な男性の声が聞こえる。体を小さく揺らし、恐る恐る声の方へと視線を向ければ背の高い美丈夫が険しい顔をしていた。
ミャーム国特有の彫りの深い顔に鋭い目つき。
そして、緩やかな癖っ毛の黒髪を一つにまとめた男性は、俺の顔を見て目を見開く。
「———っ! ……ノア。お客様にいきなり抱きつくのは失礼にあたるぞ」
「……父様、すみません。でも……」
『ノア』
それは、今回俺をミャーム国に招待してくれた第一王子と同じ名前だ。
つまり……今、俺が抱きしめている少年は……ノア王子!?
思わずパッと手を解くと、ノア王子は寂しそうに俯く。俺たちの様子を見ていた男性は、目頭を押さえ何やら考え込む。
というか、ノア王子が『父様』と呼んでいたということは、この男性は国王……?
屈んでいた体を起こし、俺は会釈する。
「も、申し訳ありません。ノア王子とは知らず、ご無礼な態度を……」
「………いや、こちらこそすまない。ノアも普段は、こんな失礼なことはしないんだが……貴方を前にすると感情が抑えられないようだ……」
「??」
ミャーム国の国王であるマエル国王は神妙な顔をする。そして、ノア王子も。
状況が掴めない俺は二人の間で小さく首をかしげた。
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