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【番外編】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 学園編 ④
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「シャルル兄さん、おはようございます」
「あぁ、おはようジェイド」
いつもと変わらず挨拶をして今日も私は兄さんのタイを結んであげる。
初登校の日からシャルル兄さんは特段変わりはない。ただ時折思い詰めたようなため息を吐くことがある。それが気になりリエンにも協力させ探りを入れるが悩みを打ち明けてくれる事はなかった……。
「兄さん。結び終わりましたよ」
今の年齢ではまだシャルル兄さんの方が私よりも背が高いので、新鮮な気持ちで兄さんを見上げる。
今日も上手く結べたので兄さんは頬を緩ませ「ありがとう」と頭を撫でてくれる。
学園へ向かう時間が迫り寂しいとわめくリエンに見送られ今日も二人きりの登校時間を満喫する。
シャルル兄さんの隣に座り、少しずつ距離を詰めていきピタリと横に座る。
出来る事ならば、一度目のように手を繋ぎ微笑み合いながらキスをして……なんて妄想していると兄さんから声をかけられる。
「なぁジェイド。友達とはどうだ?」
「順調ですよ。皆優しくしてくれます」
「そうか……。あのさ……爵位が変わったことで嫌なことを言われたりもないか……?」
私を見つめる兄さんは、そう質問すると不安気に瞳を揺らす。どうやら私がクラスでいじめられていないか、心配してくれているようだ。
心配そうな表情を浮かべる兄さんをよそに、私は自分のことを心配してくれている優しさが嬉しすぎて、思わず兄さんを抱きしめようと手が出かける。
だが、ここでリエンのようにいきなり抱き付けば兄さんを混乱させてしまいそうなので、必死に欲望を抑えながら、微笑むように兄さんに答えを返す。
「それは大丈夫ですよ。もし、言われたとしても侯爵家として相応しい人間だと認めてもらえるように行動しますので」
実際には私に『元子爵が偉そうに……』なんて言ってくる子もいたが、圧をかけるように笑みを浮かべそれなりの態度で対応すれば皆大人しくなった。
まぁ、少し大人げなかったと思うが貴族社会を生き残るためには自分の力を示す必要が時には必要だ。
「そうか……。ジェイドは強いな……」
そう言って微笑むシャルル兄さんの笑顔はやはり陰りがある。その理由が私なのか違うものなのか分からないが、私にとってシャルル兄さんは必要な存在なんだと言うことだけはしっかりと伝えておこう。
「私にはシャルル兄さんという大きな味方がいますからね。だから私は頑張れるんです。シャルル兄さんが傍にいてくれるからできる事なんですよ」
そっと兄さんの手を握りしめ声をかけると、少しだが表情が和らいだ気がする。
「そんな風に思われていると、なんだか緊張するな……。俺は兄の役目をこなせている自信はあまりないんだが……」
「そんなことありませんよ。兄さんはいつも私の事を気にかけてくれているじゃありませんか」
「そんなの……普通だろ」
「普通が出来ない人もいるんですよ。シャルル兄さん。自信を持って下さい」
ニコッと笑いかければ、シャルル兄さんも小さく笑顔を返してくれる。
シャルル兄さんの悩みの詳細を聞くにはもう少し時間をかけて探りを入れることにして、まずは少しだけでもシャルル兄さんの心の負担を軽減してあげなければいけない。
そんな事を思いながら、私は再度シャルル兄さんの手をぎゅっと握りしめた。
「あぁ、おはようジェイド」
いつもと変わらず挨拶をして今日も私は兄さんのタイを結んであげる。
初登校の日からシャルル兄さんは特段変わりはない。ただ時折思い詰めたようなため息を吐くことがある。それが気になりリエンにも協力させ探りを入れるが悩みを打ち明けてくれる事はなかった……。
「兄さん。結び終わりましたよ」
今の年齢ではまだシャルル兄さんの方が私よりも背が高いので、新鮮な気持ちで兄さんを見上げる。
今日も上手く結べたので兄さんは頬を緩ませ「ありがとう」と頭を撫でてくれる。
学園へ向かう時間が迫り寂しいとわめくリエンに見送られ今日も二人きりの登校時間を満喫する。
シャルル兄さんの隣に座り、少しずつ距離を詰めていきピタリと横に座る。
出来る事ならば、一度目のように手を繋ぎ微笑み合いながらキスをして……なんて妄想していると兄さんから声をかけられる。
「なぁジェイド。友達とはどうだ?」
「順調ですよ。皆優しくしてくれます」
「そうか……。あのさ……爵位が変わったことで嫌なことを言われたりもないか……?」
私を見つめる兄さんは、そう質問すると不安気に瞳を揺らす。どうやら私がクラスでいじめられていないか、心配してくれているようだ。
心配そうな表情を浮かべる兄さんをよそに、私は自分のことを心配してくれている優しさが嬉しすぎて、思わず兄さんを抱きしめようと手が出かける。
だが、ここでリエンのようにいきなり抱き付けば兄さんを混乱させてしまいそうなので、必死に欲望を抑えながら、微笑むように兄さんに答えを返す。
「それは大丈夫ですよ。もし、言われたとしても侯爵家として相応しい人間だと認めてもらえるように行動しますので」
実際には私に『元子爵が偉そうに……』なんて言ってくる子もいたが、圧をかけるように笑みを浮かべそれなりの態度で対応すれば皆大人しくなった。
まぁ、少し大人げなかったと思うが貴族社会を生き残るためには自分の力を示す必要が時には必要だ。
「そうか……。ジェイドは強いな……」
そう言って微笑むシャルル兄さんの笑顔はやはり陰りがある。その理由が私なのか違うものなのか分からないが、私にとってシャルル兄さんは必要な存在なんだと言うことだけはしっかりと伝えておこう。
「私にはシャルル兄さんという大きな味方がいますからね。だから私は頑張れるんです。シャルル兄さんが傍にいてくれるからできる事なんですよ」
そっと兄さんの手を握りしめ声をかけると、少しだが表情が和らいだ気がする。
「そんな風に思われていると、なんだか緊張するな……。俺は兄の役目をこなせている自信はあまりないんだが……」
「そんなことありませんよ。兄さんはいつも私の事を気にかけてくれているじゃありませんか」
「そんなの……普通だろ」
「普通が出来ない人もいるんですよ。シャルル兄さん。自信を持って下さい」
ニコッと笑いかければ、シャルル兄さんも小さく笑顔を返してくれる。
シャルル兄さんの悩みの詳細を聞くにはもう少し時間をかけて探りを入れることにして、まずは少しだけでもシャルル兄さんの心の負担を軽減してあげなければいけない。
そんな事を思いながら、私は再度シャルル兄さんの手をぎゅっと握りしめた。
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