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【番外編】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 学園編 ③
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カシムとキールは一度目と変わらず、すぐに打ち解けてくれる。
「なぁーなぁージェイド~。お前のとこの義兄さんって家帰ってもあんな感じで冷たいの?」
「シャルル兄さんは冷たい人じゃないよ。家ではよく笑うし、私や弟とも遊んでくれる優しい兄さんだよ」
「嘘だ~! いっつもエスタリア侯爵家のイザーク様と一緒にいてツンとしてるし、挨拶しても素っ気ないし怖いんだよなぁ……」
「それはカシムがバカみたいにデカい声で挨拶するから迷惑がっているんだろ」
「えぇ~? 俺の声デカいかなぁ~?」
「今でも十分デカい」
キールの言葉にカシムは不服そうに頬を膨らましながら「デカくないよ!」と、また大きめな声を出す。
二人の仲の良い掛け合いは大人になっても変わらず続き、二人と一緒にいると笑顔が絶えなかった。
学園での初日はイザークに絡まれる以外はそれといって大きなトラブルが起こることはなかった。
授業が終わり、馬車へと乗り込むと私よりも早く授業が終わったはずのシャルル兄さんが中にいた。
「あれ? シャルル兄さん。今日は早く授業が終わったはずじゃ……」
「あぁ、少し用事があって……帰りが遅くなったんだ。ほら、ジェイド馬車が出発するから早く座らないと」
「はい……」
シャルル兄さんに促され、兄さんの隣に座ると馬車は出発する。
「今日はどうだった? 友達はできたか?」
「はい。クラスの皆も優しくしてくれました」
「そうか。それは良かったな。なぁジェイド……その……今日はイザークが酷いこと言ってごめんな……」
申し訳なさそうにシャルル兄さんは私に謝ってくる。
もしかして……これを言うために私を待っていたのだろうか……。
「兄さんが謝ることじゃないですよ。それに私は大丈夫ですよ」
「そっか……。ジェイドは大人だな。イザークもあんなを事言うが、本当は悪い奴じゃないんだ……。ただ、親や兄さんがイザークに辛く当たるみたいでさ……自分より爵位が下だと分かるといつもあんな態度をとっちゃうんだ……」
「そうなんですか……」
私の知らないイザークの過去か……。
聞いたところで同情などはしないが、何故かシャルル兄さんが辛そうな顔をしているのが気になる。
「シャルル兄さん。辛そうですが……何か悩み事でもあるんですか?」
「ん……? いや……大丈夫だ……」
無理に笑顔を作り視線を逸らすシャルル兄さん……。
私はこの顔を良く知っている。
苦笑いしながら視線を下に落とす仕草は、何か気掛かりなことがある時に見せるシャルル兄さんの癖だ。
そして、その気掛かりになっている事を放っておくと、大概にして私にとって良くない事件が起こる。
特に酷かったのはシャルル兄さんが隣国の舞踏会に招待された時に、王家の人間だか知らないがシャルル兄さんに言い寄ってきて求婚までしてきて……。
それをシャルル兄さんは私達に言い出せずに黙っていて……あの時の事は思い出しただけでも腹が立つ……。
過去の嫌な記憶を思い出し私の表情が険しくなった事が気になったシャルル兄さんは「ジェイド……?」と、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「シャルル兄さん。何か悩んでいる事があったらなんでも話して下さいね」
「あぁ、ありがとうジェイド」
シャルル兄さんの手を取ると、兄さんは目を細めて私に微笑みかけてくれた。
屋敷に帰りつけば、待ってましたとリエンがシャルル兄さんに駆け寄り抱きつく。
「兄様~! お帰りなさい~」
「ただいまリエン。いい子にしてたか?」
「うん! ジェイド兄様もいなくて寂しかったけど……僕いい子にしてたよ!」
「そうか……。小さいのに偉いなリエン」
シャルル兄さんに褒めて欲しいと頭を差し出せば、兄さんは優しくリエンの銀髪を撫でる。
エヘヘ~と笑みを溢すリエンは満足いくまでシャルル兄様を堪能した後、私の部屋へとやってくる。
「ジェイド兄様。久しぶりの学園どうだった~? やっぱり何も変わらない?」
「そうだな。一度目とは少し違うこともあったが大まかには変わらないな。一つ気掛かりなのは、シャルル兄さんら何か悩みを抱えているようだ……」
「うわぁ……。それ、早く解決してあげないとまた一人で抱え込んで暴走しちゃうパターンじゃない?」
「それだけは阻止しないとな……。シャルル兄さんの言動には細心の注意を払う必要があるな」
「了解~。僕もそれとなく探ってみるね~」
リエンはそう言うとさっそくシャルル兄さんの所へ向かう。
今のシャルル兄さんが抱えている問題は、なんとなくだがイザークが絡んでいる気がする。
あまり関わりたくない相手だが、シャルル兄さんの悩みの原因ならば排除する事も考えなければいけないな……。
「なぁーなぁージェイド~。お前のとこの義兄さんって家帰ってもあんな感じで冷たいの?」
「シャルル兄さんは冷たい人じゃないよ。家ではよく笑うし、私や弟とも遊んでくれる優しい兄さんだよ」
「嘘だ~! いっつもエスタリア侯爵家のイザーク様と一緒にいてツンとしてるし、挨拶しても素っ気ないし怖いんだよなぁ……」
「それはカシムがバカみたいにデカい声で挨拶するから迷惑がっているんだろ」
「えぇ~? 俺の声デカいかなぁ~?」
「今でも十分デカい」
キールの言葉にカシムは不服そうに頬を膨らましながら「デカくないよ!」と、また大きめな声を出す。
二人の仲の良い掛け合いは大人になっても変わらず続き、二人と一緒にいると笑顔が絶えなかった。
学園での初日はイザークに絡まれる以外はそれといって大きなトラブルが起こることはなかった。
授業が終わり、馬車へと乗り込むと私よりも早く授業が終わったはずのシャルル兄さんが中にいた。
「あれ? シャルル兄さん。今日は早く授業が終わったはずじゃ……」
「あぁ、少し用事があって……帰りが遅くなったんだ。ほら、ジェイド馬車が出発するから早く座らないと」
「はい……」
シャルル兄さんに促され、兄さんの隣に座ると馬車は出発する。
「今日はどうだった? 友達はできたか?」
「はい。クラスの皆も優しくしてくれました」
「そうか。それは良かったな。なぁジェイド……その……今日はイザークが酷いこと言ってごめんな……」
申し訳なさそうにシャルル兄さんは私に謝ってくる。
もしかして……これを言うために私を待っていたのだろうか……。
「兄さんが謝ることじゃないですよ。それに私は大丈夫ですよ」
「そっか……。ジェイドは大人だな。イザークもあんなを事言うが、本当は悪い奴じゃないんだ……。ただ、親や兄さんがイザークに辛く当たるみたいでさ……自分より爵位が下だと分かるといつもあんな態度をとっちゃうんだ……」
「そうなんですか……」
私の知らないイザークの過去か……。
聞いたところで同情などはしないが、何故かシャルル兄さんが辛そうな顔をしているのが気になる。
「シャルル兄さん。辛そうですが……何か悩み事でもあるんですか?」
「ん……? いや……大丈夫だ……」
無理に笑顔を作り視線を逸らすシャルル兄さん……。
私はこの顔を良く知っている。
苦笑いしながら視線を下に落とす仕草は、何か気掛かりなことがある時に見せるシャルル兄さんの癖だ。
そして、その気掛かりになっている事を放っておくと、大概にして私にとって良くない事件が起こる。
特に酷かったのはシャルル兄さんが隣国の舞踏会に招待された時に、王家の人間だか知らないがシャルル兄さんに言い寄ってきて求婚までしてきて……。
それをシャルル兄さんは私達に言い出せずに黙っていて……あの時の事は思い出しただけでも腹が立つ……。
過去の嫌な記憶を思い出し私の表情が険しくなった事が気になったシャルル兄さんは「ジェイド……?」と、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「シャルル兄さん。何か悩んでいる事があったらなんでも話して下さいね」
「あぁ、ありがとうジェイド」
シャルル兄さんの手を取ると、兄さんは目を細めて私に微笑みかけてくれた。
屋敷に帰りつけば、待ってましたとリエンがシャルル兄さんに駆け寄り抱きつく。
「兄様~! お帰りなさい~」
「ただいまリエン。いい子にしてたか?」
「うん! ジェイド兄様もいなくて寂しかったけど……僕いい子にしてたよ!」
「そうか……。小さいのに偉いなリエン」
シャルル兄さんに褒めて欲しいと頭を差し出せば、兄さんは優しくリエンの銀髪を撫でる。
エヘヘ~と笑みを溢すリエンは満足いくまでシャルル兄様を堪能した後、私の部屋へとやってくる。
「ジェイド兄様。久しぶりの学園どうだった~? やっぱり何も変わらない?」
「そうだな。一度目とは少し違うこともあったが大まかには変わらないな。一つ気掛かりなのは、シャルル兄さんら何か悩みを抱えているようだ……」
「うわぁ……。それ、早く解決してあげないとまた一人で抱え込んで暴走しちゃうパターンじゃない?」
「それだけは阻止しないとな……。シャルル兄さんの言動には細心の注意を払う必要があるな」
「了解~。僕もそれとなく探ってみるね~」
リエンはそう言うとさっそくシャルル兄さんの所へ向かう。
今のシャルル兄さんが抱えている問題は、なんとなくだがイザークが絡んでいる気がする。
あまり関わりたくない相手だが、シャルル兄さんの悩みの原因ならば排除する事も考えなければいけないな……。
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