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【番外編】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 学園編 ①
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「シャルル兄さん。もうすぐ出発する時間ですよ」
「あぁ、分かった。今行くよ」
今日は兄さんと学園への初登校日。
久しぶりに制服へと腕を通せば気分も一気に若返った気になる。
そして、シャルル兄さんの制服姿はいつ見ても最高だ……。
兄さんは出発前にネクタイを手に取ると鏡の前で着けるのに苦戦している。
「兄さん。私がネクタイを結んでもいいですか?」
「ん? あぁ、いいけどジェイドはネクタイ結べるのか?」
「はい。任せてください」
シャルル兄さんは一度目でもネクタイを結ぶのが苦手でよく結んであげていた。オレンジと白のストライプのネクタイを兄さんの首にかけ、私は慣れた手つきでネクタイを結ぶ。
「ジェイドはネクタイを上手に結ぶな」
「はい、学園に行くのが楽しみだったので何度もネクタイを結ぶ練習をしましたから」
「そうか。俺もいい加減一人で結べるように練習しなきゃいけないよな……」
「ん~練習ですか……。別に必要ないんじゃないですか? 私が毎日こうやって兄さんのネクタイを結んであげますよ」
仕上げにキュッと結び目を上にあげれば今日も素敵なシャルル兄さんが完成する。
「そうか? もし崩れた時に自分でも直せるようにしたいんだけど……。あ、じゃあ、ジェイドで練習させてくれよ」
「私のですか……?」
「うん。毎日互いにやり合えばすぐに上達するだろ? ほら、ネクタイ貸して……」
シャルル兄さんはそう言うと私の黒と白のストライプのネクタイを手に取り私の首にかけてくれる。
シャルル兄さんは真剣な顔をしながらネクタイ結びに集中しているが……久しぶりに間近で見るシャルル兄さんの顔に私の鼓動は早くなる。
ネクタイへと視線を向け目を少し伏せているせいかやけに色っぽくて、集中し無意識に唇が開きシャルル兄さんの可愛らしい真っ赤な舌がチラリと見える……。
あぁ……このままキスしてしまいたい……。
舌を絡めとってむちゃくちゃに……。
昔の癖で徐々に顔をシャルル兄さんの方へと寄せていき……
「できたっ! どうだジェイド?」
シャルル兄さんの声に驚いた私はビクッと体を震わせていまう。同時に不埒な気持ちも消え去ってしまう。
シャルル兄さんは満足そうに自分で結んだ私のネクタイを見ている。
少し歪んでしまっているが……シャルル兄さんに結んでもらうのはとても嬉しい。
「シャルル兄さん。ありがとうございます。とても上手ですね」
「ハハ。どういたしまして。また明日も結んでやるからな」
「はい。お願いします、シャルル兄さん」
シャルル兄さんと行う毎日の日課を手に入れた私は楽しみができたと笑みを溢す。
それから学園について行きたいと無茶な我儘を言うリエンに見送られ私達は馬車に乗り込み学園へ……。
通い慣れた道に懐かしさを感じながら、久しぶりに見る景色に夢中になっていると大きな建物が見えてくる。
「ジェイド、着いたぞ。ここが今日から通うリベルテ学園だ」
伝統と威厳を感じられる歴史ある校舎はいつ見ても荘厳で、この大きな校舎に8歳から16歳の貴族の子供達が通っている。
学年毎に色が決まっており男子学生はネクタイ、女子学生はリボンで分かるようになっている。
私の学年のカラーは黒色で、シャルル兄さんの学年のカラーはオレンジだ。
シャルル兄さんに案内されながら学園内を歩いていけば他の生徒達からの視線が向けられる。
一度目の時もそうだったが、二度目のシャルル兄さんもなかなかの有名人のようだ……。
一度目の時、シャルル兄さんは色んな意味で注目を浴びていた。
再婚して義弟ができた事も話題になっていたが、何よりも本人自体の変化に皆注目していたようだ。
『ツンケンしていた黒猫シャルルが急に優しくなった』
優しいシャルル兄さんを黒猫に例えるなんて失礼な……と、当時の私は思っていたが二度目の人生で子ども時代のシャルル兄さんを見れば、悔しいがその表現に納得してしまう。
シャルル兄さんは基本人見知りで一人行動も多いのだが、心を開いた相手には自分から擦り寄ってきて甘えてくる。
その甘え方が可愛らしくて……ネコミミを付けたシャルル兄さんを想像すれば破壊力は抜群だった……。
きっと、二度目の今もシャルル兄さんは少しずつ変わっていて皆が注目しているのかもしれない。
そんな事を考えながらシャルル兄さんと学園の校舎を歩いていると、正面から派手な赤髪を揺らしながらやってくる耳障りな声の人物が……。
「おーい! シャルル! 今日から義弟と登校か?」
「あぁ、そうだけど」
「なぁなぁ、紹介してくれよ。元子爵様の義弟君を」
馴れ馴れしくシャルル兄さんの肩を抱き、ニヤニヤと見下すような笑顔を私に向けてくるイザーク・エスタリア……。
私はこいつが大っ嫌いだ。
「あぁ、分かった。今行くよ」
今日は兄さんと学園への初登校日。
久しぶりに制服へと腕を通せば気分も一気に若返った気になる。
そして、シャルル兄さんの制服姿はいつ見ても最高だ……。
兄さんは出発前にネクタイを手に取ると鏡の前で着けるのに苦戦している。
「兄さん。私がネクタイを結んでもいいですか?」
「ん? あぁ、いいけどジェイドはネクタイ結べるのか?」
「はい。任せてください」
シャルル兄さんは一度目でもネクタイを結ぶのが苦手でよく結んであげていた。オレンジと白のストライプのネクタイを兄さんの首にかけ、私は慣れた手つきでネクタイを結ぶ。
「ジェイドはネクタイを上手に結ぶな」
「はい、学園に行くのが楽しみだったので何度もネクタイを結ぶ練習をしましたから」
「そうか。俺もいい加減一人で結べるように練習しなきゃいけないよな……」
「ん~練習ですか……。別に必要ないんじゃないですか? 私が毎日こうやって兄さんのネクタイを結んであげますよ」
仕上げにキュッと結び目を上にあげれば今日も素敵なシャルル兄さんが完成する。
「そうか? もし崩れた時に自分でも直せるようにしたいんだけど……。あ、じゃあ、ジェイドで練習させてくれよ」
「私のですか……?」
「うん。毎日互いにやり合えばすぐに上達するだろ? ほら、ネクタイ貸して……」
シャルル兄さんはそう言うと私の黒と白のストライプのネクタイを手に取り私の首にかけてくれる。
シャルル兄さんは真剣な顔をしながらネクタイ結びに集中しているが……久しぶりに間近で見るシャルル兄さんの顔に私の鼓動は早くなる。
ネクタイへと視線を向け目を少し伏せているせいかやけに色っぽくて、集中し無意識に唇が開きシャルル兄さんの可愛らしい真っ赤な舌がチラリと見える……。
あぁ……このままキスしてしまいたい……。
舌を絡めとってむちゃくちゃに……。
昔の癖で徐々に顔をシャルル兄さんの方へと寄せていき……
「できたっ! どうだジェイド?」
シャルル兄さんの声に驚いた私はビクッと体を震わせていまう。同時に不埒な気持ちも消え去ってしまう。
シャルル兄さんは満足そうに自分で結んだ私のネクタイを見ている。
少し歪んでしまっているが……シャルル兄さんに結んでもらうのはとても嬉しい。
「シャルル兄さん。ありがとうございます。とても上手ですね」
「ハハ。どういたしまして。また明日も結んでやるからな」
「はい。お願いします、シャルル兄さん」
シャルル兄さんと行う毎日の日課を手に入れた私は楽しみができたと笑みを溢す。
それから学園について行きたいと無茶な我儘を言うリエンに見送られ私達は馬車に乗り込み学園へ……。
通い慣れた道に懐かしさを感じながら、久しぶりに見る景色に夢中になっていると大きな建物が見えてくる。
「ジェイド、着いたぞ。ここが今日から通うリベルテ学園だ」
伝統と威厳を感じられる歴史ある校舎はいつ見ても荘厳で、この大きな校舎に8歳から16歳の貴族の子供達が通っている。
学年毎に色が決まっており男子学生はネクタイ、女子学生はリボンで分かるようになっている。
私の学年のカラーは黒色で、シャルル兄さんの学年のカラーはオレンジだ。
シャルル兄さんに案内されながら学園内を歩いていけば他の生徒達からの視線が向けられる。
一度目の時もそうだったが、二度目のシャルル兄さんもなかなかの有名人のようだ……。
一度目の時、シャルル兄さんは色んな意味で注目を浴びていた。
再婚して義弟ができた事も話題になっていたが、何よりも本人自体の変化に皆注目していたようだ。
『ツンケンしていた黒猫シャルルが急に優しくなった』
優しいシャルル兄さんを黒猫に例えるなんて失礼な……と、当時の私は思っていたが二度目の人生で子ども時代のシャルル兄さんを見れば、悔しいがその表現に納得してしまう。
シャルル兄さんは基本人見知りで一人行動も多いのだが、心を開いた相手には自分から擦り寄ってきて甘えてくる。
その甘え方が可愛らしくて……ネコミミを付けたシャルル兄さんを想像すれば破壊力は抜群だった……。
きっと、二度目の今もシャルル兄さんは少しずつ変わっていて皆が注目しているのかもしれない。
そんな事を考えながらシャルル兄さんと学園の校舎を歩いていると、正面から派手な赤髪を揺らしながらやってくる耳障りな声の人物が……。
「おーい! シャルル! 今日から義弟と登校か?」
「あぁ、そうだけど」
「なぁなぁ、紹介してくれよ。元子爵様の義弟君を」
馴れ馴れしくシャルル兄さんの肩を抱き、ニヤニヤと見下すような笑顔を私に向けてくるイザーク・エスタリア……。
私はこいつが大っ嫌いだ。
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