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【番外編】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 ①
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シャルル兄さんがこの世を去ってから数年が経ち私にも迎えがやってきた。
最後に思い浮かべるのはシャルル兄さんと過ごした楽しい思い出ばかりだ。
兄さんは最後の最後まで私達を愛し幸せをくれた。
私とリエンもそれに応えるようにシャルル兄さんを愛したつもりだが、到底兄さんの愛情の深さには叶わなかった……
「ジェイド兄様……」
ベッドに横たわり、起きている時間も短くなってきた私の手を寂しくないようにとリエンはずっと握りしめてくれている。
兄弟として、時にはシャルル兄さんを取り合う恋敵として、リエンとは長い時間を共に過ごしてきた。
リエンの方へと視線を向けると優しく笑みを溢す。
笑い皺の深さに互いに歳をとったんだなと、しみじみ感じてしまう。
「ねぇジェイド兄様。今日はシャルル兄様の命日だよ。兄様の代わりにシャルル兄様のお墓に花を供えてきたから安心してね」
そうか、今日はシャルル兄さんの命日だったか……
毎年シャルル兄さんの命日には必ず花を供えに行っていたのにな。
大切な日すら記憶の中から消えかけている自分自身に落胆してしまう。そんな私のことをリエンは気遣いながら話を続ける。
「シャルル兄様が死ぬ少し前に三人でした約束の事覚えてる?」
その言葉に小さく頷くとリエンは目尻を下げる。
三人で交わした約束……
それはシャルル兄さんが死ぬ間際に、冗談で言った一言から始まった。
「なぁ。もし、二人が一度目の俺の所へ行ったら……また俺を愛してくれるか?」
「一度目……ですか?」
「うん……一度目では、お前達に酷い事をしてしまったけれど、一度目の俺にもこの幸せを分けてやりたいなって思ってさ。俺ばかりこんなに幸せでいいのかなって最近思うんだ」
シャルル兄さんの看病で付き添っていた私達は、兄さんから掛けられた言葉の意味を理解するのに少し時間がかかってしまう。
シャルル兄さんが言う『一度目の兄さん』の話は、時折話題になる事があったので大体の状況は把握している。
確かに一度目のシャルル兄さんの人生は絶望的だ……。
出来る事なら一度目のシャルル兄さんを幸せにしてあげたいと思った事は何度もある。
「もし一度目に行く事ができれば、もちろんシャルル兄さんを幸せにしますよ。もしかしたら今以上に幸せにしてしまうかもしれませんね……」
「はは。頼もしい言葉だな。でも、一度目の俺はなかなか手強いぞ」
「大丈夫大丈夫! 僕とジェイド兄様がいれば、必ず幸せになるんだから」
私達の言葉を聞きシャルル兄さんは目尻を下げる。
「確かに……そうだな。俺は二人がいてくれたから幸せになれたんだ……。じゃあ、もしも一度目に行く事があったら頼んだよ」
そう言ってシャルル兄さんは嬉しそうな笑顔を溢した。
「一度目のシャルル兄さんを幸せにするって約束だろ? 覚えているよ」
「ふふ。よかった。もしかしたら、ジェイド兄様はすぐにでも一度目に行けちゃうかもしれないから……僕とも約束して欲しいんだ。僕が来るまでは一人で抜け駆けしないでね! シャルル兄様を独り占めなんてしてたら恨むからね~」
そう言って年甲斐もなく頬を膨らますリエンが可笑しくて笑いが止まらなかった。
「はは。リエンに恨まれると後が怖いからな……。ちゃんと待っているよリエンが来るまで」
「うん。約束だよジェイド兄様。また、二人でシャルル兄様を幸せにしてあげようね」
「あぁ。そうだな……」
そんな約束を交わした半年後……。
私はリエンやアルマン、ソフィアの家族に囲まれて最後の時を迎えた……。
そして、次に目を覚ますと懐かしい光景が広がる……
ここは幼い時の私の部屋によく似ているな。
いや、私の記憶から再現された本当の部屋なのかもしれないな。
死後の世界でも意識を保ったまま過ごすことができるなど思いもしなかった私は、ベッドから起き上がると部屋の中を歩いて回る。
この部屋はまだウォールマン家に行く前に住んでいた家で……亡き父との思い出が沢山残っていた。
「懐かしいな……」
亡き父から貰った大切なオモチャを手に取り昔の事を思い出しながら死後の世界を堪能していると、バタバタバタバタと荒っぽい足音が聞こえドアの扉がバンッと開く。
「ジェイド兄様! 僕達……本当に一度目に来ちゃってるよ!!」
「…………え?」
興奮した様子の小さなリエンを目の前に、私は状況を把握する事が出来ず固まってしまった……。
最後に思い浮かべるのはシャルル兄さんと過ごした楽しい思い出ばかりだ。
兄さんは最後の最後まで私達を愛し幸せをくれた。
私とリエンもそれに応えるようにシャルル兄さんを愛したつもりだが、到底兄さんの愛情の深さには叶わなかった……
「ジェイド兄様……」
ベッドに横たわり、起きている時間も短くなってきた私の手を寂しくないようにとリエンはずっと握りしめてくれている。
兄弟として、時にはシャルル兄さんを取り合う恋敵として、リエンとは長い時間を共に過ごしてきた。
リエンの方へと視線を向けると優しく笑みを溢す。
笑い皺の深さに互いに歳をとったんだなと、しみじみ感じてしまう。
「ねぇジェイド兄様。今日はシャルル兄様の命日だよ。兄様の代わりにシャルル兄様のお墓に花を供えてきたから安心してね」
そうか、今日はシャルル兄さんの命日だったか……
毎年シャルル兄さんの命日には必ず花を供えに行っていたのにな。
大切な日すら記憶の中から消えかけている自分自身に落胆してしまう。そんな私のことをリエンは気遣いながら話を続ける。
「シャルル兄様が死ぬ少し前に三人でした約束の事覚えてる?」
その言葉に小さく頷くとリエンは目尻を下げる。
三人で交わした約束……
それはシャルル兄さんが死ぬ間際に、冗談で言った一言から始まった。
「なぁ。もし、二人が一度目の俺の所へ行ったら……また俺を愛してくれるか?」
「一度目……ですか?」
「うん……一度目では、お前達に酷い事をしてしまったけれど、一度目の俺にもこの幸せを分けてやりたいなって思ってさ。俺ばかりこんなに幸せでいいのかなって最近思うんだ」
シャルル兄さんの看病で付き添っていた私達は、兄さんから掛けられた言葉の意味を理解するのに少し時間がかかってしまう。
シャルル兄さんが言う『一度目の兄さん』の話は、時折話題になる事があったので大体の状況は把握している。
確かに一度目のシャルル兄さんの人生は絶望的だ……。
出来る事なら一度目のシャルル兄さんを幸せにしてあげたいと思った事は何度もある。
「もし一度目に行く事ができれば、もちろんシャルル兄さんを幸せにしますよ。もしかしたら今以上に幸せにしてしまうかもしれませんね……」
「はは。頼もしい言葉だな。でも、一度目の俺はなかなか手強いぞ」
「大丈夫大丈夫! 僕とジェイド兄様がいれば、必ず幸せになるんだから」
私達の言葉を聞きシャルル兄さんは目尻を下げる。
「確かに……そうだな。俺は二人がいてくれたから幸せになれたんだ……。じゃあ、もしも一度目に行く事があったら頼んだよ」
そう言ってシャルル兄さんは嬉しそうな笑顔を溢した。
「一度目のシャルル兄さんを幸せにするって約束だろ? 覚えているよ」
「ふふ。よかった。もしかしたら、ジェイド兄様はすぐにでも一度目に行けちゃうかもしれないから……僕とも約束して欲しいんだ。僕が来るまでは一人で抜け駆けしないでね! シャルル兄様を独り占めなんてしてたら恨むからね~」
そう言って年甲斐もなく頬を膨らますリエンが可笑しくて笑いが止まらなかった。
「はは。リエンに恨まれると後が怖いからな……。ちゃんと待っているよリエンが来るまで」
「うん。約束だよジェイド兄様。また、二人でシャルル兄様を幸せにしてあげようね」
「あぁ。そうだな……」
そんな約束を交わした半年後……。
私はリエンやアルマン、ソフィアの家族に囲まれて最後の時を迎えた……。
そして、次に目を覚ますと懐かしい光景が広がる……
ここは幼い時の私の部屋によく似ているな。
いや、私の記憶から再現された本当の部屋なのかもしれないな。
死後の世界でも意識を保ったまま過ごすことができるなど思いもしなかった私は、ベッドから起き上がると部屋の中を歩いて回る。
この部屋はまだウォールマン家に行く前に住んでいた家で……亡き父との思い出が沢山残っていた。
「懐かしいな……」
亡き父から貰った大切なオモチャを手に取り昔の事を思い出しながら死後の世界を堪能していると、バタバタバタバタと荒っぽい足音が聞こえドアの扉がバンッと開く。
「ジェイド兄様! 僕達……本当に一度目に来ちゃってるよ!!」
「…………え?」
興奮した様子の小さなリエンを目の前に、私は状況を把握する事が出来ず固まってしまった……。
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