21 / 98
連載
【本編番外編】 二度目の人生 ③ー29歳ー
しおりを挟む
「ではシャルル様、書斎での撮影から始めていきますね。最後の準備を行いますので少々お待ちください」
撮影が行われる書斎前でスタッフの女性にそう言われた俺は大人しく書斎前で準備が出来るのを待つ。今まで身に纏った事などない高級なシャツやジャケットがなんだか窮屈に感じ一人ソワソワしていると「シャルル様!」と、声をかけられ振り向けば遅れてやって来たマットが俺の方へと近寄ってきた。
「シャルル様、遅れて申し訳ありません……」
「大丈夫だよ。撮影はこれからだからさ」
いつものようにマットへと笑いかけるが、何故かマットはよそよそしく視線を合わせようとしない。
いつもならニコニコと優しい笑顔で見てくれるのに……
もしかしてこの格好や髪型はやはり俺には似合わないのか!?
変だから……視線を合わせないのか?
「なぁマット。この格好やっぱり俺には似合ってないかな?。こんな高そうな服なんて滅多に着ないからさ。なんだか服に着られているような感じがして……」
俺がそう言うとマットはブンブンと顔を横に振る。
「に、似合っていますよシャルル様! 服もいいものだと思いますが、それを着ているのがシャルル様なので、さらに素敵に見えます。髪型も普段とは違うシャルル様の雰囲気に合っていますし…………おデコが……とても可愛いです……」
マットは俺の言葉を勢いよく否定した後、少し恥ずかしがりながら沢山褒めてくれる。
最後の方の言葉はゴニョゴニョと小さな声で聞き取れなかったが、褒められれば少し自信がつく。
「そうかな。なんだか自信がなかったけれど、マットが褒めてくれるなら大丈夫だな!」
「は、はい……」
マットとそんな話をしていると書斎の準備ができたとスタッフの女性が声をかけてきて、いよいよ撮影が始まった。
マットに褒めてもらい頑張れそうな気がしていたのだが……
「シャルル様~リラックス! リラックスですよ~」
「は、はい……」
「シャルル様、笑顔が引き攣っていますので、もう少し自然に……」
「は、はぃ……」
カメラを向けられる度にカメラマンは俺に優しくアドバイスをくれるのだが、緊張してそれどころではない俺の表情は硬い。
周りではマリアンヌやマット、ロザリーが応援してくれているのも見えるが、やはりド素人の俺には難しくポーズも表情さえも上手く出来ずに撮影は難航してしまう。
「ん~少し休憩を入れましょうか。じゃあ、十五分後に再開で!」
ダイスさんの言葉に俺はハァァ……と、深くため息をつく。休憩に入るとマリアンヌ達が少しずついい感じになっていると励ましてくれるが……もう心は折れそうだった。
すると、落ち込んでいる俺にダイスさんは一つ提案をしてくれる。
「シャルル様。先に三人での撮影に変更しましょうか。そうすれば少しはリラックスできるかもしれませんよ」
「三人……?」
「えぇ。書斎でのシャルル様の撮影が終わった後に予定していたのはジェイド様とリエン様も含めたスリーショットでしたので」
「あ……はい…」
そういえば三人での撮影もあったなと思い出していると書斎のドアが開く。
そこには俺と色違いの服をビシってと着こなした恐ろしく格好いいジェイドとリエンの姿が……。
二人と目が合えば満面の笑みを向けられる。
「シャルル兄様~! うわぁ……! 可愛さと格好良さが増し増しだよぉ~」
「シャルル兄さん。とても素敵です」
「二人の方こそ……」
俺の目の前までやってきた二人の眩しさに一瞬目が眩みそうになる。
普段でも格好いいのに、こんな姿見せられたら……。
「兄さんがとても緊張しているとダイスさんから聞きましたよ。予定は変更しましたが、撮影頑張りましょうね」
「僕達も頑張るから、兄様も頑張ろ?」
「う、うん……」
二人の言葉に俺は顔を赤くしながらコクコクと頷く。
そして二人に手を取られ……撮影は再開された。
撮影が行われる書斎前でスタッフの女性にそう言われた俺は大人しく書斎前で準備が出来るのを待つ。今まで身に纏った事などない高級なシャツやジャケットがなんだか窮屈に感じ一人ソワソワしていると「シャルル様!」と、声をかけられ振り向けば遅れてやって来たマットが俺の方へと近寄ってきた。
「シャルル様、遅れて申し訳ありません……」
「大丈夫だよ。撮影はこれからだからさ」
いつものようにマットへと笑いかけるが、何故かマットはよそよそしく視線を合わせようとしない。
いつもならニコニコと優しい笑顔で見てくれるのに……
もしかしてこの格好や髪型はやはり俺には似合わないのか!?
変だから……視線を合わせないのか?
「なぁマット。この格好やっぱり俺には似合ってないかな?。こんな高そうな服なんて滅多に着ないからさ。なんだか服に着られているような感じがして……」
俺がそう言うとマットはブンブンと顔を横に振る。
「に、似合っていますよシャルル様! 服もいいものだと思いますが、それを着ているのがシャルル様なので、さらに素敵に見えます。髪型も普段とは違うシャルル様の雰囲気に合っていますし…………おデコが……とても可愛いです……」
マットは俺の言葉を勢いよく否定した後、少し恥ずかしがりながら沢山褒めてくれる。
最後の方の言葉はゴニョゴニョと小さな声で聞き取れなかったが、褒められれば少し自信がつく。
「そうかな。なんだか自信がなかったけれど、マットが褒めてくれるなら大丈夫だな!」
「は、はい……」
マットとそんな話をしていると書斎の準備ができたとスタッフの女性が声をかけてきて、いよいよ撮影が始まった。
マットに褒めてもらい頑張れそうな気がしていたのだが……
「シャルル様~リラックス! リラックスですよ~」
「は、はい……」
「シャルル様、笑顔が引き攣っていますので、もう少し自然に……」
「は、はぃ……」
カメラを向けられる度にカメラマンは俺に優しくアドバイスをくれるのだが、緊張してそれどころではない俺の表情は硬い。
周りではマリアンヌやマット、ロザリーが応援してくれているのも見えるが、やはりド素人の俺には難しくポーズも表情さえも上手く出来ずに撮影は難航してしまう。
「ん~少し休憩を入れましょうか。じゃあ、十五分後に再開で!」
ダイスさんの言葉に俺はハァァ……と、深くため息をつく。休憩に入るとマリアンヌ達が少しずついい感じになっていると励ましてくれるが……もう心は折れそうだった。
すると、落ち込んでいる俺にダイスさんは一つ提案をしてくれる。
「シャルル様。先に三人での撮影に変更しましょうか。そうすれば少しはリラックスできるかもしれませんよ」
「三人……?」
「えぇ。書斎でのシャルル様の撮影が終わった後に予定していたのはジェイド様とリエン様も含めたスリーショットでしたので」
「あ……はい…」
そういえば三人での撮影もあったなと思い出していると書斎のドアが開く。
そこには俺と色違いの服をビシってと着こなした恐ろしく格好いいジェイドとリエンの姿が……。
二人と目が合えば満面の笑みを向けられる。
「シャルル兄様~! うわぁ……! 可愛さと格好良さが増し増しだよぉ~」
「シャルル兄さん。とても素敵です」
「二人の方こそ……」
俺の目の前までやってきた二人の眩しさに一瞬目が眩みそうになる。
普段でも格好いいのに、こんな姿見せられたら……。
「兄さんがとても緊張しているとダイスさんから聞きましたよ。予定は変更しましたが、撮影頑張りましょうね」
「僕達も頑張るから、兄様も頑張ろ?」
「う、うん……」
二人の言葉に俺は顔を赤くしながらコクコクと頷く。
そして二人に手を取られ……撮影は再開された。
113
お気に入りに追加
7,540
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな?
そして今日も何故かオレの服が脱げそうです?
そんなある日、義弟の親友と出会って…。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。