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双子の一度目の人生 ②〜アルマンSide〜
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コンコン……と、ノックをすると少し時間を置いてシスターから「はい……」と少し疲れた返事が返ってくる。
「シスター、入ります……」
泣き止まないソフィアの手を引いて部屋へと入ると、僕達の姿を見てシスターはハッと息を呑む。
「———ッ!? アルマン……ソフィア……。いつから……」
シスターの姿を見たソフィアは、わっと泣き出してしまい僕も下唇をぐっと噛み涙を我慢する。
シスターは僕達を見るなり傍へと駆け寄ってきてギュッと僕達を抱きしめてくれる。
その温もりに安心感を覚えるが、実の父親から向けられた蔑むような冷めた視線を思い出すと心の中は一気に冷えていく。
「シスター。さっき来ていた人は……僕たちのお父さんなの……?」
僕の言葉にシスターは口をつぐみ俯き考え込むが……しばらくすると重々しく口を開く。
「えぇ……そうよ。貴方達がここに来た本当の理由をいつか話さないといけないと思っていたけれど、今がその時なのかしらね……」
シスターはそう言うと、僕とソフィアがこの孤児院にいる理由を話し始めた。
母さんと父さんの事……。
母さんが僕達の事をどれだけ大切に思い産んだのか……。
僕達の名前の意味……。
そして最後に、シスターは僕達に渡す物があると言って部屋の奥に置いてある棚へと向かい一つの箱を取り出す。
大切に抱えたその箱を僕達の前で開けると銀色のピアスが二つ入っていた。
「これは貴方達のお母さんから預かっていた物よ。大切な物だから貴方達がこのピアスを大切にできる年頃になったら渡そうと思っていたのよ」
そう言ってシスターは僕とソフィアにピアスを一つずつ渡してくれる。
母さんの……ピアス……。
渡されたピアスには小さめなのブルーの宝石がついておりキラリと輝いていた。
「アルマン、綺麗だね……」
「うん。凄く綺麗だ……」
「貴方達のお母さんから聞いた話だけれど……このピアスはお父さんからもらった大切な物でもあるらしいわ」
「そうなんだ……」
母さんが残してくれた大切なピアスが父さんからの贈り物だと思うと少しだけ複雑な気持ちになる。
あの態度や視線……そして投げかけられた言葉を思い出すと父さんと分かっていても恐怖が強くなる。
僕達が思い描いていた『父親』とは、あの人はあまりにもかけ離れていた……。
僕とソフィアが母さんの形見のピアスをじっ……と暗い顔をして見つめ続けていると、シスターは僕達の頭を優しく撫でながら、このピアスの話をしてくれる。
「このピアスの前の持ち主は、領主様の奥様だったみたいよ。貴方達のお父さんはその奥様の弟だったんですって」
突然『領主様』という言葉が飛び出して僕とソフィアは驚いた顔でシスターを見上げる。
「今は領主様もその奥様も亡くなられているけれど、その二人の御子息であるシャルル様に貴方達はよく似ているわ……」
「シャルル……様?僕達はその人に似てるの?」
「えぇ。その綺麗な水色の瞳や黒髪もシャルル様の小さな頃にそっくりよ」
「僕達にそっくりな人……。ねぇシスター。その人は……僕達の家族?」
「そうねぇ、親戚にはあたるから家族なのかしらね」
「そうなんだ……シャルル様は僕達の家族なんだ……」
シスターから教えてもらった父さん以外の『家族』の存在を知り僕はなんだか胸がドキドキした。
夕食を食べ明日の準備を済ませいつものようにソフィアと一緒のベッドへと潜り込めばソフィアがヒソヒソと話しかけてくる。
「ねぇアルマン。シスターの話は本当かな?」
「シャルル様のこと?」
「うん! 私達によく似てるって言ってたけど……」
「どうだろう? 見てみないと分からないよね……」
「そうだよね。アルマンは……シャルル様に会ってみたい?」
ソフィアの質問に僕はドキリとしてしまう。
僕もソフィアに同じ事を聞きたかったから……。
「会って……みたいかも。ソフィアはどう?」
「私も会ってみたい」
「じゃあ、コッソリ会いに行こう」
「うん!」
それからソフィアといつ会いに行くか、どうやってバレないように抜け出すか話し合う。ソフィアとそんな事を話していると怒られる事をしているのに段々と楽しくなってきてしまう。
「シャルル様ってどんな人かな? 僕達と似てる人かぁ……。楽しみだね」
「うん。お父さんは怖い人だったからシャルル様は優しいといいなぁ」
「そうだね……」
僕とソフィアは父さん以外の『家族』の存在に心を躍らせた。
一週間後にシャルル様がいる領主の屋敷を訪ねることに決め僕とソフィアはピアスを開けた。
ソフィアとの初めてのお揃いの物が母さんから譲り受けたピアスなのが嬉しくてピアスを開ける痛みも吹き飛んでしまう。
僕は左耳に、ソフィアは右耳にピアスをつけ鏡を見ながら二人ではしゃいだ。
そして一週間後。
理由をつけて僕とソフィアは孤児院を抜け出しシャルル様の住むお屋敷へと向かった。
「シスター、入ります……」
泣き止まないソフィアの手を引いて部屋へと入ると、僕達の姿を見てシスターはハッと息を呑む。
「———ッ!? アルマン……ソフィア……。いつから……」
シスターの姿を見たソフィアは、わっと泣き出してしまい僕も下唇をぐっと噛み涙を我慢する。
シスターは僕達を見るなり傍へと駆け寄ってきてギュッと僕達を抱きしめてくれる。
その温もりに安心感を覚えるが、実の父親から向けられた蔑むような冷めた視線を思い出すと心の中は一気に冷えていく。
「シスター。さっき来ていた人は……僕たちのお父さんなの……?」
僕の言葉にシスターは口をつぐみ俯き考え込むが……しばらくすると重々しく口を開く。
「えぇ……そうよ。貴方達がここに来た本当の理由をいつか話さないといけないと思っていたけれど、今がその時なのかしらね……」
シスターはそう言うと、僕とソフィアがこの孤児院にいる理由を話し始めた。
母さんと父さんの事……。
母さんが僕達の事をどれだけ大切に思い産んだのか……。
僕達の名前の意味……。
そして最後に、シスターは僕達に渡す物があると言って部屋の奥に置いてある棚へと向かい一つの箱を取り出す。
大切に抱えたその箱を僕達の前で開けると銀色のピアスが二つ入っていた。
「これは貴方達のお母さんから預かっていた物よ。大切な物だから貴方達がこのピアスを大切にできる年頃になったら渡そうと思っていたのよ」
そう言ってシスターは僕とソフィアにピアスを一つずつ渡してくれる。
母さんの……ピアス……。
渡されたピアスには小さめなのブルーの宝石がついておりキラリと輝いていた。
「アルマン、綺麗だね……」
「うん。凄く綺麗だ……」
「貴方達のお母さんから聞いた話だけれど……このピアスはお父さんからもらった大切な物でもあるらしいわ」
「そうなんだ……」
母さんが残してくれた大切なピアスが父さんからの贈り物だと思うと少しだけ複雑な気持ちになる。
あの態度や視線……そして投げかけられた言葉を思い出すと父さんと分かっていても恐怖が強くなる。
僕達が思い描いていた『父親』とは、あの人はあまりにもかけ離れていた……。
僕とソフィアが母さんの形見のピアスをじっ……と暗い顔をして見つめ続けていると、シスターは僕達の頭を優しく撫でながら、このピアスの話をしてくれる。
「このピアスの前の持ち主は、領主様の奥様だったみたいよ。貴方達のお父さんはその奥様の弟だったんですって」
突然『領主様』という言葉が飛び出して僕とソフィアは驚いた顔でシスターを見上げる。
「今は領主様もその奥様も亡くなられているけれど、その二人の御子息であるシャルル様に貴方達はよく似ているわ……」
「シャルル……様?僕達はその人に似てるの?」
「えぇ。その綺麗な水色の瞳や黒髪もシャルル様の小さな頃にそっくりよ」
「僕達にそっくりな人……。ねぇシスター。その人は……僕達の家族?」
「そうねぇ、親戚にはあたるから家族なのかしらね」
「そうなんだ……シャルル様は僕達の家族なんだ……」
シスターから教えてもらった父さん以外の『家族』の存在を知り僕はなんだか胸がドキドキした。
夕食を食べ明日の準備を済ませいつものようにソフィアと一緒のベッドへと潜り込めばソフィアがヒソヒソと話しかけてくる。
「ねぇアルマン。シスターの話は本当かな?」
「シャルル様のこと?」
「うん! 私達によく似てるって言ってたけど……」
「どうだろう? 見てみないと分からないよね……」
「そうだよね。アルマンは……シャルル様に会ってみたい?」
ソフィアの質問に僕はドキリとしてしまう。
僕もソフィアに同じ事を聞きたかったから……。
「会って……みたいかも。ソフィアはどう?」
「私も会ってみたい」
「じゃあ、コッソリ会いに行こう」
「うん!」
それからソフィアといつ会いに行くか、どうやってバレないように抜け出すか話し合う。ソフィアとそんな事を話していると怒られる事をしているのに段々と楽しくなってきてしまう。
「シャルル様ってどんな人かな? 僕達と似てる人かぁ……。楽しみだね」
「うん。お父さんは怖い人だったからシャルル様は優しいといいなぁ」
「そうだね……」
僕とソフィアは父さん以外の『家族』の存在に心を躍らせた。
一週間後にシャルル様がいる領主の屋敷を訪ねることに決め僕とソフィアはピアスを開けた。
ソフィアとの初めてのお揃いの物が母さんから譲り受けたピアスなのが嬉しくてピアスを開ける痛みも吹き飛んでしまう。
僕は左耳に、ソフィアは右耳にピアスをつけ鏡を見ながら二人ではしゃいだ。
そして一週間後。
理由をつけて僕とソフィアは孤児院を抜け出しシャルル様の住むお屋敷へと向かった。
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