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21話:幼馴染みとの別れ

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魔王の元へと近づいてゆくと瘴気を含んだ霧がどんどん濃ゆくなっていった。
皆瘴気の影響を受け体力が削られている。俺は加護のおかげが瘴気の影響は少なかった。

「はぁ…はぁ…」

「ベヌエット様…これ以上はもう…」

ベヌエット様は息もあがり歩くのがやっとだった。ベヌエット様の手をとり俺の近くにいれば瘴気も少しは和らぐかと思ったが加護の力もそこまでは防いでくれないようだった。

アレンさんも足取りは昨日よりも重く明らかに瘴気の影響を受けていた。

「テオ!これ以上はもう無理だ。一旦引き返そう」

「…そうだね。僕も少ししんどい…」

瘴気の影響を受けにくいテオも顔色が悪い。このままだと魔王どころか瘴気で全滅してしまう…

「ガルパス様。一度戻って体勢を整えましょう。」

振り返ると後ろをついて来ているはずのガルパス様が見当たらない。
まさか…すでに倒れてしまったのか!

俺は急いでガルパス様を探しに行こうとした時だった。

へ?

俺の体がふわりと浮く。
焦った俺は意味もなく手足をジタバタと動かす。

「な、なんだよこれ!」

俺の異常にテオが反応し駆け寄ろうとするが瘴気の影響が足にきているのか膝をついてしまう。
周りを見るとベヌエット様とアレンさんはすでに倒れ込んでいた。

「ベヌエット様!アレンさん!」

必死で2人の名前を呼ぶが反応がない…
まさか…そんな…

「テオ…2人が…どうしよう…」

「大丈夫だよ。シモン今行くから…待ってて…」

テオはなんとか立ち上がり宙に浮いている俺へと向かってくる。

このまま俺達はここで死んでしまうのか…
死への恐怖が襲う。

近づいてくるテオに必死になって手を伸ばす。
あと少し…テオ…テオ…


「重力負荷」

俺の後ろから聞き覚えのある声で重力魔法がテオに向かって放たれ目の前でテオは体勢を崩し動かなくなる。

「テオ!!」

俺は必死にテオの方へ向かおうと手足を動かすが空を切るだけだった。

「ふむ。ようやくここへ辿り着いたな勇者テオよ。そして番様を愛しよくぞここまで育てた」

声のする方へと顔を向けるとガルパス様が和かに笑いながら立っていた。
ガルパス様が何を言っているのか意味が分からなかった…

「ガルパス様…一体何を言ってるんですか?なんでテオに魔法を…」

「もう此奴の勇者としての役目は終わったんじゃ。お前さんは魔王様に捧げる大事な供物。すまんがお前達はここで永遠のお別れだ」


そうガルパス様が告げると俺は眩しい光に包まれテオの目の前から姿を消した。
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